Text/Eiko Oizumi
Photo/Augusta National GC
今年で40回連続で「マスターズ」に出場したラリー・マイズは、リーダーボードを眺めながら、懐かしさに浸っていた。今から50年前、オーガスタ出身のラリー少年は、「マスターズ」のリーダーボード上のスコアをアップデートする係としてボランティア活動をしていたのだという。
「50年前のいい思い出が蘇ってきたよ。とても特別な思い出だ」
マイズは、1980年にプロ入りし、「マスターズ」に初めて出場したのは1984年のこと。初「マスターズ」は11位タイに終わったが、それから3年後の1987年には、グレッグ・ノーマンとセベ・バレステロスとの3人のプレーオフで優勝し、メジャー1勝を挙げた。
1994年までは11回連続・予選通過を果たしていたが、1995年に初めて予選落ちを喫し、2000年以降、昨年までは23回出場中、わずか6回しか予選通過できていなかった。そして40回目を迎える節目の年で、引退することを事前に宣言していたのだ。
「優勝しても、人間的には何も変わったとは思わないが、それ以外はいろいろなことが変わった。たくさんの機会が与えられ、人から認められるようになった。言葉にするのは難しいが、ここで優勝できたことは、非常に喜ばしいこと。そして私の人生をよりよく変えてくれたのは間違いない」
懐かしい思い出とともに、最終ラウンドを迎えていたマイズだが、第2ラウンド終盤で思わぬアクシデントを目の当たりにした。16番グリーンでパッティングのラインを読んでいた時のこと。突如、17番ティ付近の松の大木3本が倒れ、場内は大騒ぎとなった。すぐ近くにいたマイズは、その時の様子を見て、次のように語った。
「ショックだった。怖かったね。ゴルフ場であんなの見たことがない。大きな枝が落ちるのは見たことがあるが、こんなにすごくはなかった。ケガ人が出なくて本当によかった。奇跡だよ。悲鳴を上げている人も見たしね」
2日間で通算164ストローク(79、80)で予選落ちをしたマイズ。明日の最終日を家族と共に楽しむという。