世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。
彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。
世界のゴルフフォトグラファーの巨匠「デビッド・キャノン」の私の愛したゴルフコース、第2回はロイヤルリバプールゴルフクラブを紹介する。
ROYAL LIVERPOOL GOLF CLUB
ホイレークでは強い風が吹きつけるが、強いチャンピオンを育てる」(バーナード・ダーウィン)
このダーウィンの素晴らしい引用句は、私にとってホイレークがいかに大事なものであるかを一文でうまく表現してくれている。
私は長年に渡り、ロイヤルリバプールGC、通称〝ホイレーク〟のメンバーなのだが、訪れるたびに、この素晴らしいリンクスの考え抜かれた設計に驚かされるのだ。
このような素晴らしいゴルフクラブのメンバーであることは、私にとって大きな特権。
このクラブの歴史や、栄光に満ちたリンクスで優勝したチャンピオンたちの顔ぶれを振り返ると、このコースで定期的にプレーすることがいかに魅力的なことか、的確な言葉で言い表すのが難しい。
昨年、開場150年を迎えたロイヤルリバプールGCは特別なコースだ。
全英オープンで優勝した3人のアマチュアのうちの2人、ジョン・ボールとハロルド・ヒルトンがこのクラブのメンバーであった。
そして全英オープンで優勝したもう1人のアマチュアはボビー・ジョーンズだが、彼が見事にグランド・スラムを達成し1930年に、ホイレークで開催された全英オープンで優勝している。
駐車場からクラブハウスに向かって歩いていくと、一見その景色があまりにもありきたりでガッカリすることがあるが、1番ホールの難しいドッグレッグでティーアップすると、ロイヤルリバプールが、ゴルファーにとって壮大なテストであることがわかる。
1番ホールはバンカーがなく、楽しく回れる気軽さがあるが、次からの17ホールには数多くのバンカーが無防備なプレーヤーたちを待ち受けている。
とにかくバンカーを避けることが大切だ。
Friendly Welcome!
ここには数多くの忘れられないホールがあるが、ディー川の河口近くに広がる9番から13番ティーがおそらく最も素晴らしい。
パー3の11番ホール「通称アルプス」(全英オープンのルートでは13番ホール)は、このコースのシグネチャーホールで、一度ここでホイレークの「強風」に向かってショットしたことがあるが、1打目の4Wのショットがビーチへ行ってしまい、打ち直しになったことがあった。
北ウェールズへの水面にわたって驚くほど美しい景色が広がり、写真家にとって素晴らしいホール。
日が昇ってくる早朝に外に出て、海鳥の夜明けのコーラスと付き合っている間に、ホイレークでの最高の写真の何枚かを撮影できた。
全英オープンの会場の中でも、ここほどフレンドリーな印象を持つコースはない。
メンバーであることを非常に誇りに思う。
球聖ボビー・ジョーンズがグランドスラムを達成。タイガー、マキロイらもチャンピオンに名を連ねるイングランドで2番目に古い名門コース。
Club House
過去12回、全英オープンが開催されているロイヤルリバプールGC。次回は2022年に開催予定。
左はグランドスラムを達成したボビー・ジョーンズの肖像画が飾られており、150年間の歴史を感じることができる。
デビッドのお気に入りの一枚。11番ホール(全英オープンでは13番ホール)、パー3(198ヤード)で、通称「アルプス」と呼ばれている。
2014年にはローリー・マキロイが初の全英オープンタイトルをこの地で獲得した。
ロイヤルリバプールゴルフクラブ
ROYAL LIVERPOOL GOLF CLUB
●設計:ロバート・チャンバーズ、ジョージ・モリス
●全長:7312ヤード(パー72)
●備考:1869年に開場した当時は9ホールのコースだったが、のちに18ホールに延長された。
もともとこの地はゴルフ場であり、競馬場だったという。
マンチェスター空港から車で約1時間。HPから予約することができる(夏場で約220ポンド)。
David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)
海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。
自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。
アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。Getty Images所属。
Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)