ゴルフの経済を知ればビジネスのヒントも見つかる!
今回のテーマは「ゴルフクラブの売れ行きが好調だが、ウクライナ情勢、円安により価格はUPという実情」です。
ゴルフ用品の売り上げが好調で、開発投資余力は増大か?!
カーボンの開発が今後のカギ?
2023年モデルのクラブが、次々に発売されている。
ピンのG430シリーズ、タイトリストのTSRシリーズ、ダンロップのスリクソンZX MkⅡアイアンシリーズのほか、テーラーメイドのステルス2、キャロウェイのパラダイムなどだ。
今回のテーラーメイドのステルス2は昨年のステルスに続いて、フェース部にカーボンを採用したカーボンウッド。
キャロウェイは、フェースにカーボンを採用せず、チタンを採用している。
カーボンに比べて反発係数が高いことが採用の理由であろう。
テーラーメイドは「20年以上カーボンの可能性について研究し続け、カーボンフェースはチタンに比べ、フェース部分を50%以上軽量化でき、エネルギー伝達効率が良くなり、その効果でボールスピードを上げることが出来る」と説明している。
一方、キャロウェイはボディ部分に業界初の360度カーボンシャーシを採用し最大限軽量化し、余剰重量を使って機能を上げている。
ゴルフ用品の売り上げは好調だ。テーラーメイドは売上等は公表していないが、ステルスは世界で100万本前後は売れたとの関係者の話である。
キャロウェイの2022年の第3四半期までの9か月間の売上は31億4400万ドル(前年比+34・4%)で、ゴルフ用品の売上が好調なのがよくわかる。
開発への投資余力も大きいのではないか、と想像できる。
カーボンをどのように使っていくかが、今後の開発のキーになることは間違いない。
フルチタンの打感を含めて良さにこだわっているメーカーもあり、ゴルファーがどのクラブを選択するか注目である。
一方、円安、ウクライナ情勢を含め、燃料、金属材料、樹脂などクラブの生産に欠かせない原材料の高騰が、クラブ価格を押し上げている。
現モデルと前モデルでは構造が違っていたり、使用する素材が違っていたりするので、単純な比較はできないが、2023年モデルが前モデルよりも20%近くアップしているメーカーもある。
ゴルファーにとっては、新商品は欲しいが、悩ましいところでもあるだろう。
Text/Hirato Shimasaki
Illustration/Koji Kitamura