2023年初のアジア開催!LIV GOLFシンガポール潜入レポート
2023年4月28日~30日/セントーサGCセラポンコース(シンガポール)
LIV史上初!
テーラー・グーチ、豪州に続きシンガポールで2週連続優勝!
前週の「アデレード大会」に続き、「シンガポール大会」でも個人戦で優勝したテーラー・グーチ(米国)。
2週連続優勝に、本人同様、キャディも大喜びだ。
シンガポールといえば、この風景。マーライオンの向こうに見える3棟の建物は、屋上にプールがあることで有名なマリーナ・ベイ・サンズ(ホテル)だ。
シンガポールの最高級のホテルで、コロニアル建築様式。トーマス・ラッフルズにちなんで名付けられ、1887年に建てられた。日本軍が陸軍将校の宿泊施設にしていたことも。
世界的に有名なカクテル「シンガポールスリング」は、ラッフルズホテルのロングバーが発祥の地。
開催地は、セントーサGCセラポンコース。「シンガポールオープン」や「HSBC世界女子選手権」でもおなじみのコースで、シンガポールならではの景観が広がっている。
2週間で12億円超の荒稼ぎ!
LIVゴルフ史上初の、2週連続優勝者が誕生した。
前週のアデレード(豪州)とシンガポールで優勝したのは、レンジゴーツGC(ババ・ワトソンがキャプテン)のテーラー・グーチ。
最終日、セルヒオ・ガルシアと終始、首位の座を争い、互角のプレーを展開していたが、54ホールを終えて17アンダーだった2人は、その決着をプレーオフに持ち込んだ。
パー5の最終18番ホールで行なわれたプレーオフ1ホール目、ガルシアのティーショットをオーバードライブしたグーチは、ガルシアが2打目を右手前のバンカーに入れたのに対し、2オンに成功。
3打目のパットで確実にバーディ圏内の位置に寄せた。一方、ガルシアは3打目のバンカーショットが失敗し、グリーンに乗らずにラフからのアプローチとなったが、寄せきれずボギーを叩いたところで万事休す。
グーチの優勝が決まった。彼は団体戦でも優勝し、彼の属するレンジゴーツGCを初めて、優勝に押し上げた。ガルシアがキャプテンを務めるファイヤーボールズGCとは3打差だった。
「ゴルフの神様が、僕に勝たせたいと思った1日だった」テーラー・グーチ
団体戦で初優勝した「レンジゴーツGC」。キャプテンはババ・ワトソンで、昨年までは「ニブリックスGC」だった。左からトーマス・ピータース、テーラー・グーチ、ババ・ワトソン、ハロルド・バーナーⅢ。
セルヒオ・ガルシアとのプレーオフを制し、優勝したグーチ(右)。
フェアウェイキープ率、パーオン率が3日間で1位だったグーチ。ショットの正確さが好成績に現れている。
「ずっと表彰台に上がることをチームで話していたんだ。それは時間の問題だった。本当に最高だ」
「(優勝して、表彰台で)シャンパンのボトルを開けるのを、できるだけ長い間続けたいけど、このゴルフのレベルでずっと戦うことは無理なのは知っている。だからそういうタイミングが来たら、その機会をエンジョイし、できるだけそれが長く続くようにトライするだけだ。そしてそれが途切れてしまったら、できるだけ早くもう一度軌道修正するだけ」
今年のLIVゴルフの初戦・マヤコバでも最終ラウンドを首位タイで迎えたグーチだが、その時は「自分が優勝するときではない」と思ったという。
だが、シンガポールの最終日は、「ゴルフの神様が僕に勝たせたいと思う日々のうちの1日だった」と語る。
1大会の個人戦優勝者に与えられる優勝賞金は、4ミリオンドル(約5億4500万円)で、2週連続優勝を果たしたグーチは、たった2週間で約11億円を荒稼ぎしたことになる。
しかも団体戦ではアデレードで2位に入り、シンガポールで優勝したので、約1億5000万円を獲得。
この2週間で彼はなんと9・12ミリオン(約12億4200万円)も獲得している。
この大金をどんなことに使うつもりなのかを優勝会見で聞かれると、「妻と素敵なちょっとしたディナーに行くつもりだよ。それと彼女に何か買ってあげようかな」と語った。
昨年は、ダスティン・ジョンソン率いる4エイシズGCに属し、何度も団体戦優勝を経験したグーチだが、今オフにババ・ワトソン率いるレンジゴーツGCに移籍。
同組メンバーの友人、ハロルド・バーナーⅢと同じチームに入りたいということで、ダスティン・ジョンソンに相談したという。
圧倒的な強さを誇る4エイシズを抜け、レンジゴーツGCで戦うことを決意したグーチは、自らの力で優勝に貢献し、4エイシズに負けないチームを作りたかったことだろう。
全部で48人で争われるLIVゴルフで、しかも世界ランキングポイントも与えられないが、今のグーチは他のどのツアーの優勝者と比べても、引けを取らないほどの強さを誇っている。
個人戦・最終成績
優勝 | テーラー・グーチ | −17 |
2位 | セルヒオ・ガルシア | −17 |
3位 | ブルックス・ケプカ | −16 |
4位 | スコット・ビンセント | −15 |
5位 | ミト・ペレイラ | −14 |
6位 | ジェイソン・コクラック キャメロン・スミス | −12 |
8位 | チャールズ・ハウエルⅢ ハロルド・バーナーⅢ ホアキン・ニーマン | −11 |
13位 | フィル・ミケルソン | −9 |
19位 | ブライソン・デシャンボー | −7 |
23位 | ダスティン・ジョンソン ババ・ワトソン | −6 |
団体戦・最終成績
優勝 | レンジゴーツGC | (ババ・ワトソン) |
2位 | ファイヤーボールズGC | (セルヒオ・ガルシア) |
3位 | クラッシャーズGC | (ブライソン・デシャンボー) |
4位 | トルクGC | (ホアキン・ニーマン) |
5位 | スマッシュGC | (ブルックス・ケプカ) |
6位 | リッパーGC | (キャメロン・スミス) |
7位 | アイアンヘッズGC | (ケビン・ナ) |
8位 | ハイフライヤーズGC | (フィル・ミケルソン) |
9位 | 4エイシズGC | (ダスティン・ジョンソン) |
10位 | スティンガーGC | (ルイ・ウーストハイゼン) |
11位 | マジェスティックスGC | (H・ステンソン、L・ウエストウッド、 I・ポールター) |
12位 | クリークスGC | (マーティン・カイマー) |
※カッコ内は、キャプテン
Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF