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【PGAツアーレポート】 PGAツアーは今後どうなる?コミッショナー ジェイ・モナハンの一問一答で読み解く未来

 PGAツアー、今後はどうなる?
PGAコミッショナー ジェイ・モナハンの一問一 答で読み解く

©Getty Images

LIVゴルフの影響を受けて、賞金額アップなど、次々と新しい施策を打ち出すPGAツアー。
短期間のうちに様々なプランが追加され、正直言って何がどうなっているのか、理解できない人も多いだろう。
ここでは、「プレーヤーズ選手権」会場で開かれた記者会見のQ&Aをもとに、誰もが抱く疑問を解決する。

出場人数限定・予選落ちなしの「指定試合」でスター選手たちの4日間を確保し、ファンの期待に応えることが最重要事項

Q:指定された指定試合(出場者数は70〜80人で、予選落ちなし)は全部で8試合あるが、指定試合になりたいスポンサーは8試合以上あると言われている。
これらの8試合をどのように決定するのか? また、これらの指定試合を交代ではなく、毎年決まった試合に固定する理由は何か?

モナハン:どの試合が指定試合になるかは、スケジュールの「流れ」を考慮して決定する。
交代で毎年指定試合を変えることに反対する理由はないが、現時点では、特定のトーナメントを指定試合に固定することで、それらの試合がPGAツアーで重要な試合であることを示す良い機会だと考えている。
絶対に交代しないとは言わないが、ローテーションに関しては、トーナメントやファンの意見に耳を傾け、その必要性がある場合は交代することになるだろう。
だが、現時点では2024年に向けてはそのような計画はない。

Q:指定試合ではない大会の主催者たちと話し合う時の懸念事項はあるか?
トップ20~30の選手たちは、指定試合に出ることを考えているが、指定試合ではない大会において、彼らが自分たちの試合を最も効果的に宣伝するにはどうしたら良いと思うか?

モナハン:2023年の時点では、いくつかのトーナメントから懸念の声が届いている。
指定試合と指定試合の合間の、孤立した週になりたくない、と。
我々は今後、トーナメントのスポンサーたちと話し合いを持つが、大会自体がいかに良い選手に出場してもらうかを競うことになる試合は、選手たちにどういうアピールをすべきか?
これは今までも行なわれてきたことではあるが……。
今後のPGAツアーにおいて、指定試合に出場できる選手かできない選手かによっては、選手たちはシーズン初めにスタートダッシュしなければならない。
だから選手たちは1年の最初の段階で、できるだけ良いポジションにいたいと思うし、スケジュールを調整するだろう。
そして6月下旬~「ウィンダム選手権(8月3~6日)」までの期間には、指定試合ではない試合が6~7試合あるので、選手たちはシーズン終盤に向けて猛烈に戦い、最終戦の「ツアー選手権」に行けるよう、トップ50、あるいはフェデックスカップ・プレーオフに出ることを目指すことになるだろう。
それがかなわない場合は、秋に備えてシード権を維持するための準備をすることになる。

よりパワーアップするためにシーズン終盤のプレーオフの人数を減らし、競争力をあおるPGAツアー

Q:来年からの指定試合について発表された時、出場者が限定されていること、予選落ちのないことがLIVゴルフがやっていることと非常に似ているという意見が多かったが、なぜ来年のPGAツアーの主要イベント8試合に予選落ちを設けなかったのか?

モナハン:我々は本当に、LIVと同じように見えますか? と問いたい。
来年、新しいフォーマットで戦う選手たちは、フェデックスカップでトップ50以内に入るか、秋の試合でいい成績を残すなどでシード権を得ることになるが、我々の組織は常に、限定された出場者数、予選落ちのない72ホールのストロークイベントを行なってきた。
実際その形式で、ジャック・ニクラスは17勝、アーノルド・パーマーは23勝、タイガー・ウッズは26勝を挙げているが、この形式だからといって、その勝利や業績を貶めることはない。
2024年、2025年、2026年にも同じことが当てはまると考えている。
予選落ちがない形式が適切かどうかについては、今でも多くの議論があるが、将来、このやり方を維持するためには、スター選手たちが4日間プレーすることが保証されることが非常に重要な要素だ。
実際、70~80人の選手で構成されたフィールドサイズと、トップ10フィニッシュした選手に対する高い報酬を考えると、すでに限定された出場人数の中で、下位にいる選手でもトップ10入りするチャンスはあり、そのような選手が優勝するチャンスもある。
それはファンにとっても選手にとっても非常に魅力的だと思う。

Q:LIVゴルフに移籍した選手が、PGAツアーに復帰する道はあるのか?

モナハン:LIVゴルフでプレーする選手たちは契約上、そこでプレーすることが義務付けられている。
その質問に対しては、我々の立場は変わっていない(つまり、復帰する道はない)。

Q:PGAツアーの再編が有益なのは誰もが理解できると思うが、この変更が(戦略的アライアンス契約を結ぶ)DPワールドツアーにどのような利益をもたらすことになるのか?

モナハン:DPワールドツアーは、我々が基盤になっている1億4100万ドルの賞金をかけてプレーしているし、欧州ツアープロダクションに1億ドルの投資を行なった。
私たちはチームで協力しあい、キース(ペリーCEO)と彼のチームと一緒にDPワールドツアーのビジネスの重要な部分について、毎日取り組んでいる。

Q:どうしてPGAツアーはここ数年にわたり方針を見直す必要があったのか? LIVの出現を待たなければならなかったのか?

モナハン:PGAツアーはビジネスを運営しており、2017年~2018年にかけては大学フットボールやNFLの開幕前にフェデックスカップを終了させることが重要だと考え、4試合から3試合に減らした。
また、「ツアー選手権」では2つのトロフィーを争っていた時期もあったが(フェデックスカップ総合優勝のトロフィーと、ツアー選手権の優勝トロフィー)、シーズン全体のパフォーマンスに焦点を絞るため、一人のチャンピオン、一つの優勝トロフィーに移行。同時にレギュラーシーズンのボーナスも初めて導入した。
コロナウイルスの早期対応、ネットフリックスとの契約など、PGAツアーをより強力に、かつ競争力のあるものにするための新しいアイデアを提案し続けてきた。
そしてフェデックスカップ・プレーオフの規模を125人(1試合目)→70人(2試合目)→30人(最終戦)から、70人(1試合目)→50人(2試合目)→30人(最終戦)と縮小することで、より競争力のあるものにする。
このように数年間の出来事を振り返ることが重要だと思う(LIVの影響を受けているわけではない)。

Text/Eiko Oizumi Photo/Getty Images

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