Text & Photo/Eiko Oizumi
韓国・仁川のクラブ72CCオーシャンコースで9月7日から開催された、日・韓・アジア男子ツアー共催試合の「シンハンドンヘ(新韓東海)オープン」。最終日は、最終ラウンドで9つスコアを伸ばしたアジアンツアーのファチャラ・コンワットマイ(タイ)と、最終組で首位タイから発進した韓国ツアーのコ・グンテク(韓国)が通算19アンダーで並び、プレーオフに。1ホール目でグリーン手前の池に入れたコンワットマイとは対象的に、コは確実にグリーンに乗せ、プレーオフを制した。彼はこの優勝で、今季3勝目。韓国ツアーの賞金ランキングで1位に浮上した。
「プロ入りして3年間は、まったく優勝がなかった。今年、今までの経験が蓄積されて、ようやく開花する時期が来たと思う。1勝目はすごく大変だったが、それ以降は1勝目の経験を糧に2勝目以降の力に変えることができた。1勝目よりは2勝目、3勝目の方がやさしかった」
さて、今大会で優勝すると、韓国ツアー5年、日本ツアー(JGTO)2年、アジアンツアー2年のシード権が与えられるが、彼は今後、いったいどんなプランを立てて、どのツアーでプレーしていきたいと思うのか?
「実は軍隊に入ろうと考えていて、先週申し込んだばかりだった。(申請が)キャンセルできるのかどうか、わからない。だから今は具体的な計画はない。多くの先輩から、日本ツアーの環境はすごくよくて、そこで経験を積むことがゴルフの実力アップに役立つと聞いている。韓国の若手も日本ツアーには興味はあるが、兵役申請をキャンセルして、日本ツアーに行けるのかどうかわからないし、自分がどのツアーで戦いたいのかは不明」
と語った。
プロゴルファーとしての活動の幅が、今大会の優勝によって大きく広がったのだが、2年間の兵役のタイミングの問題もあり、韓国人選手にとっては非常に悩ましい問題だ。
韓国には徴兵制度があり、兵役法で全ての成人男子に兵役の義務が課されている。満18歳の韓国人男性が徴兵検査対象者となり、19歳になる年に兵役判定の検査を受けることになっている。28歳の誕生日を迎える前までに入隊しなければならず、入隊期間は所属する軍にもよるが、最低18ヶ月以上。ただし、文化勲章または文化褒章を受けた者で、国威宣揚に顕著な功労がある者は30歳まで延期できる、という兵役法に、2020年改正された。
また過去、日本ツアーで大活躍していたキム・キョンテのように「アジア大会」で金メダルを獲った者、「オリンピック」のメダリスト(金・銀・銅)は兵役が免除される。以前、PGAツアーメンバーとして活躍していたベ・サンムンは、年齢制限ギリギリのタイミングまで兵役に行かず、なんとか延長してもらおうと画策していたこともあったが、結局2015年の「プレジデンツカップ」に出場した直後に兵役についた。また、ドンファン、ハン・ジュンゴン、ソン・ヨンハンらも兵役を終了している。
今年の10月、中国の広州で開催される「アジア大会」にはイム・ソンジェ、キム・シウー、チョ・ウヨンらが出場することになっているが、彼らの最大の目的は、金メダルを獲得して、兵役免除の特典を得ることにあると言える。
活躍している最中に2年間、兵役につくということは、プロゴルファー人生において、非常にリスクの高いことと言っていいだろう。プロゴルファーは兵役中もゴルフの練習をすることができる、と某韓国人選手から聞いたことがあったが、それにしてもツアーから遠ざかり、試合感も失ってしまう、という環境を経験し、兵役から復帰後に、以前と同じ実力を備えてツアーで戦うことは非常に難しい。それゆえ、韓国男子にとって、「兵役は、非常に繊細な問題だ」と韓国メディアが教えてくれた。