侍ジャパンのスターが「ZOZOチャンピオンシップ」最終日に現る!
ベージュのトレーナーにジーンズという、ごくありふれた服装で現れた一人の男が、ホールアウト後のリッキー・ファウラーと話し込んでいる。
よく見ると、今年の3月に行なわれた「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で日本代表「侍ジャパン」の優勝に貢献した、ラーズ・ヌートバーではないか!
最終日に習志野CCに姿を現した彼は、メディアのバッジをぶら下げて、世界のトッププロたちを表敬訪問。
ファウラーと面識はなさそうな雰囲気だったが、20分あまり話し込んでいた。
最初はヌートバーの存在に気づかなかったゴルフファンも、次第に「ヌートバー」と大声で呼ぶシーンも。
子供たちにサインを始めると、場内騒然となったが、ファウラーとともにファンサービスに応えていた。
この日はプライベートだから、とメディアの取材には応じなかったが、思わぬスターの登場に、みな大喜びだった。
MとHの1文字違いに「ややこしい!」と堀川未来夢
初日を終えて、日本勢最上位の5アンダー、2位タイで発進した堀川未来夢。
6アンダーのコリン・モリカワが単独首位に躍り出たが、プレー中の堀川がリーダーボードを見た時に、自分の名前が一番上にあると勘違いしたのだという。
「ややこしいですね(笑)。PGAで活躍している選手で、名前が似ているので意識はしていますけど、ライバルでもなんでもないです。少しでも追いつけるように頑張ります(笑)」と語った。
ちなみに今大会にはKAWAの文字が入る選手に、堀川の他、石川(遼)、蟬川(泰果)も。
通常、日本ツアーのリーダーボードは漢字表記だが、英語表記のあるPGAツアーならではの珍事だ。
来季からPGAツアー
姉のミンジー同様、米国を主戦場に
現在、DPワールドツアーの「レース・トゥ・ドバイ」ランキングで6位のミンウー・リー。
彼はLPGAで活躍中のミンジー・リーの弟だが、いよいよ姉と同様に、来シーズンから念願の米ツアーを主戦場に戦うことになりそうだ(有資格者を除く上位10名が来シーズンのPGAツアーのシード権を獲得する)。
今回の「ZOZOチャンピオンシップ」にも出場していた彼は、6位タイに入賞。
最終日の1番ホール・パー4ではチップインイーグルを決め、同組のイム・ソンジェとハイタッチ。
中途半端な距離だったそうだが、ウェッジで柔らかく打った結果、1バウンドでカップインしたそうだ。
今のゴルフの内容からしたらこの順位は仕方ない
第3回大会(2021年)の優勝者、松山英樹が、今年も「ZOZOチャンピオンシップ」に出場。
彼は今年の8月、フェデックスカップ・プレーオフ第2戦「BMW選手権」で、背中の痛みで第2ラウンドを前に棄権。
それ以降の2ヶ月間をケガの回復と練習に費やした。
「ケガで(スケジュールを)空けざるを得なかったが、いい準備ができたと思う。2年前のようなプレーができればいいが、久々の試合なので、わからない。全力でプレーしたい」と語っていた。
試合が始まると「緊張もしたし、ハーフターンするまでは浮ついている感じだった」と初日を終えて語っていたが、それでもアンダーパーで終了。
最終的には5オーバーの51位タイに終わり、「1ヶ月ちょっと練習したことが全てダメだとわかったので、それはよかった。ショットとパット、ショートゲームの内容からしたら、この順位は仕方がない。4日間いいところはほぼなかったが、それでもたくさん応援してくれたので嬉しかった。次の試合はしっかりいいプレーができるようにしたい」と語った。
1ヶ月先の「ダンロップフェニックス」での松山の活躍に期待だ。
昨年のZOZOの好成績が今シーズンの自信につながった
ファウラーも日本人のルーツを持ち、祖父は田中豊さん。
彼のミドルネームの「ユタカ」は田中さんの名前に由来している。
そんな彼は昨年、優勝争いの末、惜しくも2位タイに。
「昨年は良いフィニッシュができてよかった。それが今シーズンの自信や勢いにつながった」と語った。
ローマでの「ライダーカップ」に出場した後は、娘との時間を過ごしたり、釣りやゴルフをして時間を過ごしたというファウラー。
今回は、アリソン夫人とトレーナー、キャディと来日し、ゴルフも日本も楽しんだようだ。
実はプロデビュー戦は「ISPSハンダグローバルカップ」
日本育ちの台湾人の母を持ち、今も祖父母が渋谷に住んでいるザンダー・シャウフェレ。
「2020東京オリンピック」では金メダルを獲得し、何かと日本と縁が深いが、「東京に戻ってくることは、特別。
自分のキャリアの中でも金メダルを獲得したことは、トップの方にランクされること。
時が経つに連れて特別感が増しますね」と語っている。
さて、彼にはもう一つ、日本が特別な理由がある。
それは、プロデビュー戦が日本だったということ。
2015年、山梨で開催された「ISPSハンダグローバルカップ」がプロ転向後1戦目だったのだ。
この時は予選落ちに終わったが、「プロとして初めての試合で地に足つけて戦うのは難しかった。プロデビュー戦が日本というのは嬉しいね」と言う。
Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe