姉ミンジーとともに豪州の真のスターになったミンウー・リー
豪州のメジャー2試合で圧倒的な活躍を見せたミンウー・リー
ミンウー・リーは、「ISPSハンダ・オーストラリアンオープン」では僅かに優勝に及ばなかったが、2023年シーズン後半で「フォーティネット・オーストラリアPGA選手権」など2試合で優勝。
豪州のゴルフ界で、最もエキサイティングな選手として、彼の将来は確実なものととなった。
25歳のリーは、姉のミンジーとともに、有望な若い姉弟として注目されてきた。
そして今、彼は最も輝いている選手であり、彼は驚異的な飛距離、リスクを冒したアグレッシブな攻め、観客との交流を通じてのエンターテイメントを見せた。
SNSで大勢のフォロワーを獲得し、ロイヤル・クイーンズランドGCの17番ホール、別名「パーティホール」でシェフの帽子をかぶり、「バイキング・サンダークラップ」として知られる、両手を頭上に上げて行なう手拍子をギャラリーに求め、場内を大いに盛り上げた。
ミンウー・リーは、ロイヤル・クイーンズランドでの4日間のラウンドを64、66、66、68で終え、星野陸也に3打差で勝利した。
これはアジアンツアー「マカオオープン」でリーが優勝してからわずか1か月後のことであり、キャリア最高の世界ランキング38位に浮上。
1週間後の「ISPSハンダ・オーストラリアンオープン」では3位に入り、世界ランクを35位へ上げた。
そして彼は、今年から念願のPGAツアーに本格参戦しているが、彼にはさらにもう一つの大きな目標「オリンピック」出場がある。
現在、豪州男子代表の2枠のうち、1つを獲得するのに十分な位置にいるが、ちなみに姉のミンジーは、オリンピック女子ゴルフに確実に出場できる位置につけている。
「アジア・パシフィックアマチュア選手権」で優勝したジャスパー・スタッブズが、オーガスタへ
サンドベルト地帯のコースで腕を磨いたアマチュアがオーガスタへ
「アジア・パシフィックアマチュア選手権(以下AAC)」で優勝を果たしたジャスパー・スタッブズ。
今年の「マスターズ」の出場権も獲得した。
彼は昨年10月にロイヤルメルボルンGCで行なわれた第14回「AAC」では、プレーオフの末、勝利。
この大会を制した4人目の豪州人選手となった。
2022年にタイで開催された大会で優勝したハリソン・クロウの勝利に続く、2年連続の豪州人優勝者となったのである。
この勝利によって「マスターズ」出場の機会を提供されただけでなく、「全英オープン」や「全英アマチュア選手権」の出場権も獲得した。
21歳のスタッブズは、メルボルンのサンドベルトコースで腕を磨いた経験を生かし、ロイヤルメルボルンでの3人のプレーオフを制したのである。
彼はまた、「ISPSハンダ・オーストラリアンオープン」でも実力を発揮。
21位タイでローアマを獲得した。
2022年に「ニュージーランド・アマチュア選手権」を制覇したにもかかわらず、スタッブズは世界アマチュアゴルフランキングで476位だった。
2011年に優勝する前は544位だった松山英樹ほど無名ではなかったが、大会のオープニングショットを彼が放った時点では、オーガスタとR&A関係者で、彼の存在を認識していた者はいなかった。
スタッブズは、メルボルンのサンドベルト地域の南端にあるペニンシュラ・キングスウッドのメンバーだが、彼はロイヤルメルボルンで何度もプレーしてきた。
彼の姉、パイパーは、ロイヤルメルボルンのクラブチャンピオンで、現在はアメリカの大学ゴルフ奨学金を受けてプレーしている。
もう1人、活躍しているビクトリア州のアマチュアがいる。
11月に「クイーンズランドPGA選手権」で優勝し、そのポテンシャルの高さを示したフェニックス・キャンベルだ。
本大会の97年の歴史の中で、アマチュアが優勝に最も近づいたのは、2005年のジェイソン・デイだったが、22歳のキャンベルは、最終ラウンドで5アンダーを叩き出し、混戦のリーダーボードから浮上。
7人のプロが2位タイで競り合う中、優勝した。もし彼がプロだったら、優勝賞金4万5000豪州ドルを受け取るところだった。
20年ぶりにアマチュアとして競技に復活したゴール
アマチュアからプロへ転向するのは一般的だが、ある1人のオーストラリア人は驚異的な成績を伴い、逆の道をたどった。
ナディン・ゴールは1990年代にオーストラリア、日本、ヨーロッパでツアープロとして活躍し、1996年の「デンマークオープン」で優勝。
その後、家庭を持ち、20年以上にわたって休眠状態にあった。
2019年にアマチュアとしての復帰を申請し、認められると、2023年、オーストラリアの全6州のシニアアマチュアタイトルと「オーストラリア・シニア女子アマ」タイトルを同時に保持する最初の人物となったのだ。
また、彼女はシニアアマチュア・世界ランキングで世界一の地位に上り詰めた。
「20年間のブランクの後でもできるのがゴルフ。今の自分の年齢(55歳)でプレーできることに感謝しています」
「優勝争いもいいですが、常に勝つことを目指しているのではなく、私はただ楽しんでいるの。感謝の気持ちでいっぱい。まるでバラの香りを嗅ぐような素晴らしい経験よ」と彼女は述べた。
Text/Karen Harding
カレン・ハーディング
(オーストラリア)
メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。