Text/Eiko Oizumi
Photo/Dan Imai
「全英オープン」出場への準備も兼ねて、6月末からヨーロッパへ渡った比嘉一貴。DPワールドツアー(欧州ツアー)の「BMWインターナショナルオープン(ドイツ・ミュンヘン)」では10位に入賞、翌週の「ホライゾン・アイルランドオープン」では78位だったが、自身3試合目の「全英オープン」で通算5オーバーで予選落ちを喫した。
「全体的に悪いものはないかな、と思うんですが、バーディを狙いにいったのがバンカーに入ったり、うまくいかなかった。これがこのコースの難しさかな、と。一緒に回ったケビン(・ナ)選手とはそんなに飛距離も変わらなかったけど、ディスタンスコントロールが上手だった。いいショットは自分も打っていたが、結果に結びついていないのは、そういうところだと思う」
「ダボ以上は叩かないようにし、いつも通りのリズムでプレーできれば……」と臨んだ今大会。たしかにダブルボギーはなかったが、初日は3バーディ、4ボギーの73(1オーバー)、2日目は2バーディ、6ボギーの76(4オーバー)と、通算5オーバーで予選落ち。「マスターズ」を知らない子供の頃に、セントアンドリュースにはいってみたいと思っていた、彼にとっての一番の憧れのコースでの「全英オープン」に出場できたことは嬉しいと語りながらも、今後の課題も見つけた。
海外ツアーへの挑戦の思いは強い彼だが、スポット参戦で欧州ツアーに出場するのは思いのほか大変だったという。
「ツアーカードを持っていれば、事前に日程を決められて、ホテルや飛行機を事前に抑えられるけど、今回のようにトップ10に入れば次の試合に出られる、という感じだと、ホテルやフライトの変更が必要になり、選手用のホテルもすでに満室。ゴルフ以外のところでも、移動や宿泊の手配だけでもものすごく大変だということがわかって、よかったですね。大変な思いもたくさんありました」
練習日には、久しぶりに東北福祉大の先輩、松山英樹とも練習ラウンドをすることができ、楽しく充実した時間も過ごすことができたと比嘉。
「今日は松山さんがノーバーディだったので、それが一番の自信になりました(笑)。前回のセントアンドリュースにも松山さんは出ているので、ピン位置を聞いたり、松山さんの練習を見て、そのピン位置だと、ここに外そうとしているんだな、とか、想定しながら練習していた。でもこの人だからいける、というところもあったし、真似しちゃダメだな、と思いました」
また憧れのセントアンドリュースには、置き土産も……。17番ホールのホテル超えのティショットが有名だが、彼は大会前週の土曜日にセントアンドリュースを歩いてコースチェックしていたところ、急に17番のティショットを打ちたくなったのだという。なんの練習もせずに、5番ウッドでティショットを放ったところ、トップして目の前のオールドコースホテルの壁に球を当ててしまった。
「セントアンドリュースでの1打目がトップになってしまって(苦笑)、いい思い出になりました。もうここでは5番ウッドは握れないかな、と。ギャラリーに写真やサインをした後で、そのショットを打ったので、気まずさが何倍もあった。周囲の反応はOH~!という感じでした(笑)。そのボールが壁に当たって戻ってきて、ラフに止まってたんですけど、それを拾う屈辱と言ったら……。文字の下にあたったのかな?僕も見たくなかったので、どこに当たったのかよくわかりませんが、深めの打痕がついてたら、それは僕のかもしれません」