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【私の愛したゴルフコース】第10回シネコックヒルズ・ゴルフクラブ(アメリカ)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

世界のゴルフフォトグラファーの巨匠「デビッド・キャノン」の私の愛したゴルフコース、第9回はカウリクリフスゴルフコース (ニュージーランド)を紹介する。

SHINNECOCK HILLS GOLF CLUB

©Getty Images

シネコックヒルズ・ゴルフクラブ
●設計:ウィリー・デービス、チャールズ・マクドナルド、セス・レイノア、ウィリアム・フリン
●全長:7445ヤード(パー70)
●備考:1891年に開場した、USGAの創設メンバークラブ5コースの中の1コース。過去、「全米オープン」「全米アマ」「全米女子アマ」「ウォーカーカップ」など数々の試合が開催されている。
直近ではブルックス・ケプカが優勝した2018年「全米オープン」の舞台として知られている。2026年「全米オープン」開催予定。
www.shinnecockhillsgolfclub.org

高級別荘地に佇む全米最古のゴルフクラブ

ニューヨークのロングアイランドにあるシネコックヒルズは、まさに「リンクスランド(海のそばに広がる緩やかな砂の丘陵地帯にあるゴルフ場)」であり、私がこれまでに米国内でプレーしてきた中で最も思い出深いコースのひとつである。
マンハッタンから車でちょうど90分。ニューヨークのリッチで有名な行楽地「ザ・ハンプトンズ」周辺に位置している。

米国最古のクラブハウスがある最古のゴルフクラブ、シネコックヒルズは、3世紀にわたって「全米オープン」が開催された唯一のクラブ。
4人のアメリカ人デザイナーが設計・改修しているが、彼らは1931年に6740ヤードまで大規模にコースを延長。
最近では、2018年の「全米オープン」の時に全長を7440ヤードまで伸ばすため、複数のティーグラウンドを追加した。

私は運よく、シネコックで開催された過去5回の「全米オープン」のうち3回を取材している。
1986年優勝のレイモンド・フロイド、1995年のコーリー・ペイビン、そして2018年のブルックス・ケプカの時だ。そして幸運にも2回、このコースでプレーする機会にも恵まれた。

オーガスタナショナルGCと並び、ローカルキャディの存在が非常に重要で、超高速で起伏のあるグリーン上の巧妙な位置に切られたピンに近づけるためにはショットやライン取り、とりわけ、正しいクラブ選択がカギとなるが、ローカルキャディたちは、「本当にこれでいいの?」と疑問に思うようなラインを教えてくる。
それでも彼らを信じることが大切だ。
そうすればとても楽しいラウンドになるだろう。
キャディと自分のパッティングを信じれば、このようなグリーンはとても楽しい。

ニューヨーク郊外の高級別荘地に広がる全米屈指の難コース

©Getty Images

4th Par4/475yard
「パンプハウス」と名付けられたこのホールは、右ドッグレッグになっており、2打目地点右側にバンカーが点在している。グリーンは小さく、少し砲台になっており、アンジュレーションがあるためライン読みが難しい。

©Getty Images

2018年、シネコックヒルズで開催された「全米オープン」で優勝したブルックス・ケプカ。前年も優勝しており、「全米オープン」2連覇を飾った。

©Getty Images

世界のトッププロも苦戦する「止まらない高速グリーン」は有名。フィル・ミケルソン(右)が思わず、グリーン上でコロがるボールをパターで打ち返し、ペナルティを科されたほど。左は、同日、同組でラウンドしていたアンドリュー・ジョンストン(愛称ビーフ)。

Best Course in the U.S.A

©Getty Images

シネコックヒルズのシンボル的存在の美しいクラブハウス。1892年に建設され、全米最古のクラブハウスと言われている。

クラブハウスと大きな星条旗がシネコックの象徴

400ヤード、パー4という1番のティーショットは、左から右への打ち下ろしのドッグレッグとなっている。
フェアウェイバンカーを避けながらプレーしなければならないが、この見かけによらずトリッキーなホールの次には、素晴らしくも残酷な253ヤード、パー3の2番ホールが待ち受けている。
シネコックにある4つのショートホールのうち、1つ目のこのパー3は、全身を使ってプレーするホールだ。
完璧なティーショットを打たない限り、深くくぼんだバンカー、あるいは深いラフからのショットを余儀なくされる。

193ヤード、パー3の7番ホールのティーグラウンドからの眺めは、私のお気に入りの景色だ。
バンカーに囲まれ隆起したグリーンがあり、その背後には、丘の上で大きな「星条旗」が海風に吹かれてクラブハウスの横でたなびいているのが見える。
ゴルフにおいて最も象徴的な眺めのひとつだ。

ホールは通常、475ヤード以上でパー5となるが、その常識に逆らった518ヤード、パー4の14番ホールがある。
全米ゴルフ協会は2018年「全米オープン」のために、このホールをメジャー最長のパー4としたのだ。
ここを「パー」で終えることができれば、ハッピーですばらしい。

最終18番ホールは489ヤードのパー4で、クラブハウス下の自然のくぼみの中にグリーンが位置している。
非常に難しいフィニッシングホールで、幾多の選手たちが優勝を目前に涙を呑んだ。
このホールをパーで終えることは、偉業と言える。

ここは紛れもなく最も困難なゴルフコースの一つ。
だが同様に最もご褒美のあるコースの一つでもある。
ゴルファーたちのために用意された、ゴルフ場の全ての挑戦を地元のシネコック・インディアンたちは傍観し、いたずらっぽくほほ笑んでいるような気がしてくる。

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

©Getty Images
©Getty Images

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。
自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。
アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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