Text/Eiko Oizumi
Photo/USGA
2017年からLPGAツアーメンバーとして、アメリカを主戦場に戦う畑岡奈紗。米ツアーでは過去3勝を挙げているが、メジャー優勝はまだない。そんな彼女に、最も欲しいという「全米女子オープン」のタイトルを掴む最大のチャンスが訪れた。最終日、首位と6打差の6位タイ発進となった彼女は、6バーディ1ボギー、1ダブルボギーの68の好スコアを叩き出し、首位タイに並んだ。そして笹生優花とのプレーオフに臨んだが、3ホール目でバーディパットを外した畑岡に対し、笹生が1.5メートルのバーディを決めて勝負あり。悲願のメジャー優勝は、今回もお預けとなった。
「今日はスタートからバーディを取れて、途中苦手なホールもあったけど、そこもラクに打てたりして、この難しいセッティングでこうして終わることができて良かったです」
「優花ちゃんはジュニア時代から戦ってきてるんで、簡単に勝たせてはくれないなと思ったけど、諦めずにできたのはよかった」
プレー後の記者からの質問に普段通り、気丈に答えていた畑岡。だが、内心は相当悔しかったはずである。本戦18ホール目のパットが入っていれば、プレーオフに進むことなく優勝が決まっていたが、無情にもそのパットはわずかに切れ、カップインしなかった。
笹生よりも3歳年上の彼女は、4年前から米ツアーを主戦場に戦い、世界のトップランカーの一人としてメジャー獲りをずっと夢見てきた。2016年「全米女子アマ」のベスト8でこの2人は対戦しているが、その時も笹生に負けた。だが、アマチュアで「日本女子オープン」優勝を果たし、これまでの国内外の戦歴を見れば、いかに畑岡が日本のNO.1としてここ数年活躍してきたかがわかる。
そこへ昨年、笹生優花がプロ入りを果たし、プロ入り後2年目で夢の舞台で優勝争いに食い込んできた。ジュニア時代から笹生の実力を知る畑岡でも、そう簡単には優勝を譲りたくはなかっただろう。だが、またしても笹生にメジャー優勝を先取りされてしまった。
4月の海外メジャー第1戦「ANAインスピレーション」で彼女に話を聞いたが、スイングに悩んでいる、自分のゴルフができていないと語っていた。自分で何が原因かはわかっているが、それをどう直したらいいのか、悩んでいる、と。だが、最終日のプレーを見ている限り、その悩みからは脱出しつつあるように 見えた。メジャー制覇は今回果たせなかったが、ショットやショートゲームに畑岡らしい精度の高いショットも随所に光っていた。確実に調子は上向き。笹生とのプレーオフも互角だった。
今月の24日からは「全米女子プロ」が開幕する。悔しい気持ちが風化しないうちに、再びメジャーを迎えることになるが、これは畑岡にとってはラッキーだと思う。失いつつあった自信を取り戻し、悔しさと勝つことへの強い気持ちを持って挑めば、彼女に再び優勝争いのチャンスは訪れることだろう。今年は、日本人に追い風が吹いている。今度は畑岡がその追い風に乗って、メジャー優勝を果たす日も遠い夢ではないだろう。