Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe
クラブチャンピオン経験のある祖父の手ほどきを受けて、ゴルフを始めた桂川有人。プロ入り後2シーズン目で「ISPS HANDA欧州・日本、とりあえず日本トーナメント!」でツアー初優勝し、優勝賞金2000万円を獲得。今季4試合を終えた時点で、賞金ランクトップに躍り出た。
「(今年は)2位が続いていましたが、やっと初優勝できて本当に嬉しいです」
今年はJGTO開幕戦「SMBCシンガポールオープン」(賞金ランク加算対象外トーナメント)で2位に入り、「全英オープン」の出場権を獲得していた桂川。「東建ホームメイトカップ」では香妻陣一朗とのプレーオフで敗れ、またもや2位に甘んじたが、今年からISPS契約選手となった彼は、自身がホストを務める今大会で2日目以降首位に立ち、その座を譲ることはなかった。
「ISPSさんが付いてくれてから、成績がよくなっていたので、支えて頂いている方のチカラはすごいな、と思います」
桂川はアマチュア時代から、たくさんの人に支えられ、感謝の気持ちを持ってプレーしていると言う。特に中学卒業後、フィリピン・マニラ郊外へ単身でゴルフ留学に行った際、たくさんの人から受けた支援は、決して忘れることはない。フィリピン時代に積み重ねたのは、ゴルフの技術だけでなく、支えてくれる人々への感謝の気持ちだった。自身、「フィリピン留学が、ゴルフ人生のターニングポイントだと思う」と言う。
今大会は、1日目からバーディを積極的に獲りにいかないと上位進出が難しい「バーディ合戦」が繰り広げられた。桂川の優勝スコア24アンダーは、1985年以降、ツアーの72ホール最小ストローク記録である。
「どちらかというと、最終組でプレーするよりも、下から追い上げる展開の方が好き」と語っていたが、2日目に8バーディ・ノーボギーで一気に首位に浮上すると、3日目以降は首位の座から落ちることなく、着実にバーディ数を重ねていった。4日間で通算30バーディ、6ボギーという非常に安定したプレーぶりである。
最終日は同じ愛知出身で、誕生日が4日しか違わない、ジュニア時代からの友人であり、よきライバルの大西魁斗とは、抜きつ抜かれつのデッドヒート。大西が13番でダボ、14番でボギーを叩いたところで桂川と星野陸也の優勝争いとなったが、桂川が17番のパー3ホールでピン側1.5メートルにつけバーディを獲ると、そのまま逃げ切り優勝となった。
「次はなるべく早く2勝目を挙げたい。日本シリーズJTカップや海外の試合にも出場したいです」と早くも次の目標に照準を合わせる桂川。7月の「全英オープン」だけでなく、8月開催の「ISPS HANDAワールド招待」なども視野に入れて、今年の夏は欧州遠征に挑戦する。