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ジョン・ラーム
初のスペイン人 「全米オープン」チャンピオンに。
ラッキープレースで働いた第六感

ジョン・ラーム
「全米オープン」でメジャー初優勝を遂げたジョン・ラーム。

Text/Eiko Oizumi
Photo/USGA

先日の「メモリアルトーナメント」で、3日目を終えてパトリック・キャントレー、コリン・モリカワら2位と6打差をつけていたジョン・ラーム。優勝を目前にしながら、3日目のプレーを終えた時点で「コロナウイルス陽性」が判明し、泣く泣く最終日を棄権した。

あれから2週目の「全米オープン」に、24時間以内の検査で2回の陰性結果の末、無事出場を果たしたラーム。最終日を迎え、首位と3打差でスタートし、5バーディ、1ボギーの67という好スコアをマーク。「全米オープン」でメジャー初優勝を果たし、世界ランクも昨年の8月以来、1位に返り咲いた。スペイン人初の「全米オープン」チャンピオン誕生である。

「なんといっていいかわからないけど、この優勝トロフィの横に座っているなんて、信じられないほどすばらしいね。数週間前にフィル(ミケルソン)の「全米プロ」優勝を見て、そこからいろいろとインスピレーションが沸いたんだ」

 

JonRahm-2
JonRahm-2

彼のプロ転向後のPGAツアー初優勝は、今回同様、サンディエゴ郊外のトーリーパインズGCで開催された2017年「ファーマーズインシュランスオープン」。そしてケリー夫人にプロポーズをしたのも、このトーリーパインズだった。

「ボクはこのトーリーパインズが大好きだ。トーリーパインズもボクのことを好きなんだと思う」

「サンディエゴに来ると、何かいい気分になれるんだ。ここに来るとハッピーになれるんだよ」

 

彼は何やら第6感のようなものが働くらしく、トーリーパインズでの「全米オープン」はハッピーエンディングに終わると感じていたという。「何か特別なものが空中に漂っているような気がする。ただ何かを感じるんだ。どの瞬間にそういうものを感じるのかと言われても、答えられないんだけど、今日(最終日)はボクの日だと思っていた。すべてがうまくいくと……」

 

「げん担ぎ」や「宿命」という言い方が正しいかどうかはわからないが、彼は最終日の朝、カラスの泣き声で目が覚め、「カラスということは、バーディが来るということだろうか?」と考えたという。

また「メモリアルトーナメント」での棄権に関しても、普通ならショックを受け、ガッカリするところだろうが、彼は実はこのことを前向きに捉えていたという。

「ボクは何かすごく悪いことが起きた後、すごくいいことが起きると信じているんだ。だから(コロナで棄権した後も)前向きな気持ちでいられたんだよ。ケリーや家族、ボクの周りにいる人たちに、(悪いことが起きた後は)いいことが起こると言い続けてた。ボクもそれが何なのかはわからないけど、今日コースで、それが今日のことなんだって感じたんだ」

 

ラームは「メモリアル」で棄権し、隔離中だった時に2人のメジャーチャンピオンからメッセージをもらっていた。一人は今年の「ライダーカップ」欧州チームキャプテンのパドレイグ・ハリントン、もう一人は現在ゴルフ中継で活躍中のニック・ファルドである。

 

ハリントンは「54ホール(3日目)を終えて5打差でリードしていたが、スコア誤記で失格になった。でも優勝するよりももっと多くのことを学んだ」と伝え、ファルドは「6ホールを残して6打差でリードしていたが、失格になってしまった。そこでの経験から学び、翌週の南アで開催されたミリオンダラーシュートアウトに優勝した」と伝えた。54ホールを終えてコロナ陽性で棄権となったラームに、自分たちの過去の悲しい体験談を共有し、「ひどい目にあっても、そのあと、いいことがある」と伝えたかったのだ。

 

ラームは、2人のメッセージをコースでも思い出しながらプレーしていたが、彼の第6感がまたしても働いたのか、最終日は「今日はボクの日だ」と知っていたのだそうだ。

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