ティーイングエリアにトラック!?
今年、「全英オープン」が開催されるロイヤル・セントジョージズのティーイングエリアに何やら赤いトラックのようなものが置かれているのを発見。
一体これは何だろうか?
ロイヤル・セントジョージズGC(イギリス)
丸いティーマーカーが現在最もポピュラーな形だが、かつてティーマーカーにはティーショットする場所を知らせるだけではない機能が兼ね備えられていた。
本誌で連載している世界的ゴルフフォトグラファー、デビッド・キャノンから興味深い1枚の写真が送られてきた。
ゴルフ場のティーイングエリアに赤いトラックのようなものが置かれている。一体これは何なのか? 本人に聞いてみるとおもしろい話がわかった。
これは昔、彼が住んでいるイギリスにはよくあったそうだが、伝統的なティーマーカーなのだ。しかも、この箱には上に穴が空いており、そこからボールを入れて、順番待ちをするための道具なのだという。
その昔、まだティータイムがきっちりと何時何分スタート、というように決められていなかった頃は、ティーイングエリアに到着した順でスタートしていた。
プレーしたい人はこのボックスに自分のボールを入れ、一番下にボールが落ちた時に、スタートするという手順を踏んでいたという。
この写真は今年の「全英オープン」開催コースのロイヤル・セントジョージズのものだが、今でも古い名門コースなどではこの伝統的なティーマーカーを時々目にすることがあると、デビッドはいう。
もはや今では本来の「順番待ち」の機能を果たす必要もなくなっただろうが、このようなゴルフの歴史と伝統を垣間見られるアイテムが、今でもゴルフ場に残っているのを見るのはとても興味深い。
Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images