Text/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF
「全英オープン」チャンピオンのキャメロン・スミスがLIVゴルフに移籍したのは、PGAツアーのフェデックスカップ・プレーオフ最終戦「ツアー選手権」後のこと。ボストン大会で初参戦し、2戦目のシカゴ大会で早くも個人戦初優勝を遂げた。2位には3打差でピーター・ユーライン、3位にはボストンで優勝したダスティン・ジョンソンが入賞した。
「ボストンは今年最もプレッシャーのかかる試合だった。戦う場が変わったからといって、調子の悪いプレーヤーになったからじゃないということを証明したかったんだ。僕は優勝するためにここにいる」
「今日は最初、とてもフラストレーションがたまる展開だった。試合前の練習はあまりいい状態ではなかったし、初日、2日目のようにボールをうまくヒットできなかった。いくつか本当にお粗末なティショットもあったし、イージーなホールで簡単にボギーを打ってしまっていた。でも7番と8番で少しフィーリングがよくなってきて、いいラウンドができるようになったんだ」
彼は今年、PGAツアーの「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」「プレーヤーズ選手権」「全英オープン」と3勝を飾っていたスミス。「全英オープン」で優勝した時点で世界ランク2位にまで浮上していたが、現在は3位(2022年9月20日時点)。LIVゴルフイベントで優勝しても、世界ランキングポイントはもらえないので、ランキングは落ちる一方だが、ダスティン・ジョンソンとのハイレベルでの争いを見れば、それも残念な気がしてならない。少なくとも9月18日が最終日を迎える男子ゴルフでは、世界を見渡してもLIVゴルフ・シカゴ大会ほど最強フィールドが集まった試合もなかったかもしれない。
「ツアーの選手たちにとって、世界ランキングポイントはとても意味のあるものなんだ。そのポイントがなければメジャーなどにも出られなくなるからね。だから、LIVゴルフでもすぐにポイントがもらえるようになればいいと思う。出場選手層はポイントをもらうのに十分強い選手ばかりだ。だから早く解決してほしいと思う」
LIVゴルフの歴史は始まったばかり。スミスは「どんなことも、昔に始まったことなんだ。歴史的な面でいえば、LIVゴルフには欠けている部分だが、だからといってトーナメントが悪いわけではない。ここにはベストプレーヤー48人がいて、優勝しようと戦っているんだ」と語っている。
2戦を終えて、スミスは個人戦で5012500ドル(約7億1800万円)を稼ぎ出し、賞金ランクで4位につけている。賞金ランクトップは、ダスティン・ジョンソンの9525000ドル(13億6430万円)とスミスの約2倍だ。また、第7戦「ジェッダ大会(サウジアラビア)」終了時点で、個人のポイントランキングにより上位3位まで与えられるボーナスもあるが、ポイントランキングでは2戦終了したばかりのスミスが、早くも3位(56ポイント)につけている。1位のダスティン・ジョンソンとは2倍の開きがあるが、2位のブレンダン・グレースとはたった23ポイント差だけに、逆転も十分ありえるのだ。
残るはバンコク、ジェッダ、マイアミの3試合。個人戦も団体戦も、今後の変動が気になるところだ。