松山英樹、日本人初の「マスターズ」優勝!
Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images
松山英樹が日本の、アジアのゴルフ史を塗り替える偉業を達成した。
日本人の陳清水、戸田藤一郎が1936年に初めて「マスターズ」に挑戦してから85年目の今年、ついに日本人ゴルファーがグリーンジャケットに袖を通した。
2011年、東日本大震災の1ヶ月後に行われたオーガスタに、松山が初めて足を踏み入れ、ローアマとして表彰されて以来10年目の今年、表彰式に再び「マスターズチャンピオン」として登場。興奮冷めやらぬ優勝直後の、彼の生の声をお届けしよう。
最終日・一問一答
Q:15番の2打目が池に入ってしまったが….
13番のボードを見て、ザンダーが4打差で15番に入り、ザンダーが3連続バーディだったんで、絶対に流れがよくなっていると思いました。だから、そこで4打差あっても積極的にいかないで追いつかれるよりは、しっかりと狙ってバーディをとって、次の16番に行きたいと思っていました。結果的にはすごくそれが反対に悪い方向に行ってしまいましたが、ザンダーが先に池に入れたので、安全に右を狙いました。
Q:マスターズで優勝し、日本でベストプレーヤーになったと思うか?
それは一概には言えないですけど、メジャーを勝ったということでは今まで誰もいなかったので、1番になったのではないか、と思ってます。
Q:世界中、特に日本の若者たちに対して、マスターズチャンピオンになったことで、どういう気持ちか?
僕がここで勝ったことで、今テレビを見ている子供たちが5年後、10年後、ここの舞台に立って、その子たちとトップで争えることができたら幸せですし、そのためにはまだまだ僕も勝っていかないといけないと思うんで、頑張りたいと思ってます。
Q:ニック・ファルドがオリンピックの時に、トーチにあなたが火をつけるんじゃないか?って言ってるが、頼まれたらやるか?
僕はやらないですね。試合のスケジュールもいろいろ考えて、タイミングが合えばやるかもしれないけど、現実的ではないです。
Q:自国のオリンピックで、金メダルをとることにプレッシャーを感じているか?
それはどうかわからないですけど、まずオリンピックがちゃんと開催されるんだったら、当然狙いたいと思います。今日の経験は、これから先の人生で必ずプラスになると思ってるんで、よかったなと思ってます。
Q:15番の2打目は?(グリーン奥の池に入って、このホールをボギーに)
ピンまで227ヤード。4番アイアン。いい当たりだったんですけど、アドレナリンが出過ぎたのか飛びすぎました。
Q:日本でロックスターのように感じるか?
わからない。
Q:日本のゴルフ界にとって、今回の優勝はどういう影響があるか?
今の現役でやっている僕よりも年上の人じゃなくて、今、ゴルフを始めるとか、10代とか高校生たちに影響があるのかな、と思います。僕は初めてのメジャーチャンピオンになって、やっぱり今まで日本人だったらできないんじゃないかというのがあったかもしれないけど、僕はそこを覆すことができたんじゃないかと思うんで、そういう子たちにもっともっとプラスの影響を与えることができるよう、自分も頑張っていきたいですね。
Q:最後のパットが入った時はどういう気持ちだった?
何て表現すればいいのか……。何も考えてなかったというのはありますけど、ザンダーとハグして、将太(早藤キャディ)と組んで初めての優勝だったので、そこで抱き合った後に「あ、やっと優勝することができた!」という気持ちになりました。
Q:はじめから緊張していたと言っていたけど……
今日は9時半くらいに起きるつもりが、思いのほか早く起きて、そこからいつもだったら寝られるんですけど、寝られなくて……。練習とかウォーミングアップはすごくいい状態でできたんですけど、1番のティに立った時に、最終組でトップでいるということを考えたらナーバスになってきて、それでもこの3日目終わって、トップに立っているのは自分だし、最後の18ホールをしっかりやり遂げよう、いいプレーをして終わろうということをしっかり考えながら頑張りました。
Q:通訳のボブ・ターナー氏との関係は?
(ボブさんに初めてお会いした)10年前は僕もまだ大学生でした。昨日のプレーが終わったあと、もともとボブさんはセベ・バレステロスのマネージャーをやってたこともあったので、どうやってナーバスな気持ちを(セベは)コントロールしていたのか、聞きに行こうと思ってましたけど、聞かないで自分で頑張ってみようと思いました。でもなんですかね、それくらい信頼している人です。
Q:今週の一番いいショットは? 今週よかったところは?
先週まで1度もトップ10に入ってなかったですし、優勝争いもしてなかったので、期待はしてなかったんですけど、でも水曜日の練習をしている最中にショットにすごくいいフィーリングが戻ってきて、いけるかもしれないという自信も持ちながら戦いました。最後の方は、今日は本当にショットが荒れてしまったけど、3日目まではすごくいいティショット、セカンドショットを打ってたと思うので、そこが勝因かなと思ってます。最後の18番のティショットがフェアウェイにいって一番嬉しかったですね。
Q:この優勝によって、どんなことを期待したい?
野球では、ダルビッシュとか前田健太さんとか大谷とか、いろんな人がいますけど、ゴルフは僕しかいないので、必然的に僕になるんでしょうけど、自分がもっともっと活躍して、日本にニュースを届けられたら僕を目指して(ゴルフを)やってくれる人も増えるんじゃないかなと思ってます。
Q:日本に帰って注目を集めることを、楽しみにしてますか?
どうなるか僕には想像がつかないけど、このグリーンジャケットを日本に持って帰れること自体、とても嬉しいんで、行ってみてどういう反応か楽しみたいなと思ってます。