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PGAツアーレポート「Withコロナ時代」の無観客トーナメント開催!ジャック・ニクラス氏もコロナ感染を告白

6月のチャールズ・シュワブチャレンジ以降は、新型コロナウイルス感染拡大防止に気をつけながら世界中のツアーに先駆けてトーナメントを開催したPGAツアー。

どういうコロナ対策を講じているのだろうか?

©︎PGA TOUR

コース内には手指の消毒薬が設置され、6フィート(約2メートル)のソーシャルディスタンスを取ることを促す看板が掲示されている。

©Getty Images

コース内でPCR検査(鼻腔テスト)が受けられる。

無観客・ソーシャルディスタンス・PCR検査が基本

©Getty Images

直接相手に触れるハイタッチや握手、ハグなどはせず、「エア・ハイタッチ」や「エルボータッチ」、あるいはせいぜい「エア・グータッチ」で挨拶を交わす選手たち。

©Getty Images

「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」以来、無観客試合が続いているPGAツアー。

臨機応変にルールを改定し選手たちの安全を守るツアー

3月のツアー中断以降、コロナウイルス対策について政府や医療機関、専門家などと様々な議論を交わし、従来とは異なる大会運営方法を模索してきたPGAツアー。

再開1戦目となる「チャールズ・シュワブチャレンジ」前には選手やキャディは自宅でセルフチェックを行ない、陰性を確認した上で会場入り。

現地到着後には検温、鼻腔検査を行ない、検査結果が出るまでは練習をしてもいいとしていた。

だが、これも現在はルールが改定され、検査結果が出るまではコース内に立ち入り禁止。

以前は選手とキャディだけが検査を受けていたのを、インストラクターらを含め、さらに検査対象範囲を広げている。

また、一度陽性だった選手や偽陽性だった選手に対する対策も講じられている。

ディラン・フリッテリやニック・ワトニー、デニー・マッカーシーらコロナ感染経験を持つ選手同士を同じ組で回したり、キャメロン・チャンプが陽性と報じられたことがあったが、のちに「偽陽性」だったことが判明したことをきっかけに「偽陽性」の選手が最速で試合に復帰できる道が作られた。

以前は陽性反応が確認された場合、少なくとも10日間はツアーから隔離することが義務付けられていたが、「一度陽性反応を示しても、無症状で、その後24時間以上後の再検査で2度陰性と判定された場合は、試合への出場が認められる」こととなった。

これにより偽陽性の選手たちが素早くツアーに復帰し、戦える環境が整えられた、というわけである。

コース内にはソーシャルディスタンスを促す看板や手指の消毒薬の設置などが行なわれているのはいうまでもないが、各大会にPCR検査用の大型車両を配備し、怪しい時はいつでも検査を受け、結果報告を短時間で受けられる体制を整えている。

また、選手やキャディが感染した場合、選手には最大10万ドル(約1100万円)、キャディには最大1万ドル(約100万円)の補償も行なっている。

「我々はコロナとともに生きていくことを学ばなければならない。コロナは消えてなくなることはないし、陽性者は増えていくことだろう」

と、PGAツアーCEOのジェイ・モナハン氏は予測。

検査体制を強化すると同時に、選手たちへの支援もしっかり行なうなど、日々のツアー会場で起こる事例をもとに安全面を十分検討しながら臨機応変に対応している。

PGAツアーは医療機関「サンフォード・ヘルス」とパートナーシップを結び、コース内に検査車両を毎週用意。

©Getty Images

キャディでもマスク着用者は少ないが、松山英樹のキャディ、早藤将太さんは必ず着用している。

実はジャック・ニクラスもコロナだった!

世界のゴルフ界でもコロナ感染者は存在するが御年80歳のレジェンド、ジャック・ニクラスもバーバラ夫人とともに感染していたことを告白し話題となった。

80歳でコロナに打ち勝ったニクラス
今年はグータッチで勝者を出迎え

©Getty Images

出身大学のオハイオ州立大のロゴマークをあしらったマスクを着用するジャック・ニクラス。

夫婦揃ってコロナに感染
ビデオ鑑賞で療養する日々

ジャック・ニクラスはとてもタフな男で、常に自分の身体を大切にしてきた。

だが7月19日、「メモリアルトーナメント」の最終ラウンドが悪天候により中断していた時に、彼は実は3月に妻のバーバラ夫人とともに新型コロナウイルスに感染していたことを明らかにしたのだった。

二人は幸い軽症に終わり、その後回復したという。

「私たちは非常にラッキーだったね」とニクラスは、CBSスポーツの放送席のブースで司会者ジム・ナンツに語った。

自身の設計が高く評価されているミュアフィールドビレッジゴルフクラブで、試合が50分間中断されている際の時間を埋めるために、オハイオ州ダブリンでの「メモリアルトーナメント」の創設者兼ホストである〝ゴールデンベア〟ことジャック・ニクラスは、「バーバラは無症状だったが、自分にはのどの痛みと咳が数日間あった」と述べた。

ジャックが冗談交じりに言うには、ニクラス夫妻は3月13日から4月20日までの療養中、フロリダ州の自宅に引きこもり、何本か映画を観て暇つぶしをしていたそうだ。

「症状はそれほど長く続かず、私たちは非常にラッキーだった」とジャックは言う。「バーバラも私も80歳で、リスクの高い年齢だ。亡くなられた方とそのご家族にお悔やみ申し上げたい」

ニクラスがコロナウイルスに打ち勝った事実を明らかにしたことについて、ある者は、「コロナウイルスは、とりついている相手が誰なのか、分かってなかったね」とツイートした。

また、タイガー・ウッズは「彼らがコロナに打ち勝ち、今では健康に生きているという事実は、ゴルフに携わる者としていいニュースだ」と語っている。

ラームは握手よりグータッチを選択

スペイン出身のジョン・ラームが、45回目の「メモリアルトーナメント」で2位と3打差の勝利を収めた。

ニクラスは同大会の週の初めに、試合終了後、18番グリーンで優勝者を待ち受け、握手するという伝統を今年も行なうと約束していた。

「握手するつもりだけど、選手が握手をしたくないのであれば、グータッチでも、エルボータッチでも、選手が安心できる方法でやるつもりだよ」

結局ラームは、ゴールデンベアと握手をせずにグータッチを2回行なった。

コロナの影響で、今までとは違う新しい伝統ができたのである。

©Getty Images

優勝者とはいつも通り握手すると語っていたニクラスだが、優勝者のジョン・ラームをグータッチで祝福した。

Text/Dave Shedloski  Photo/PGA TOUR, Getty Images

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