Text & Photo/Eiko Oizumi
「全米オープン」初出場の永野竜太郎が、並み入る強豪の中、3日目のラウンドを終えて、1イーグル、3バーディ、3ボギーの68をマーク。2つスコアを伸ばし、通算4アンダーの8位で最終日を迎える。
昨日は予選を通過した段階で「ネガティブな情報に振り回されず、思い切りやって、曲がったら仕方がないという感じでやりたい」と語っていた永野。出だしの1番、3番でバーディを取り、5番でボギーを叩いたものの、パー5の8番ではイーグルを奪取。「この3日間の中では、フロント9をうまく回れた」と語った。
後半の16番ではアプローチに失敗し、ボギーでなんとか納め、続く17番ホールでもティショットを深いラフに打ち込んだものの、2打目でフェアウェイに確実に出し、3打目でピンそば1.5メートルにつけてパーセーブ。タフなセッティングの中、スコアを落としそうな場面を凌ぎながら、トップ10圏内を死守した。
「この位置は全く想定外。でも、緊張感はないです。自分がやることは、(自分で)やれることだけだから。緊張しても関係ない。でも、最終組とすれ違ったりすると、すごい声援もあるので、“やってんな〜”と(笑)」
賞金総額は20ミリオンドル(約30億円)と、「全米オープン」史上最高金額。昨今のLIVゴルフやPGAツアーの指定試合と同じ賞金総額だ。最終日を前にまだ気が早いが、仮に8位で終えた場合は、約8400万円を獲得できることになる。メジャーの賞金は、JGTOの賞金ランキングにも加算されるため、一気に賞金ランク1位となるが(現在、金谷拓実が5439万7333円でトップ)、永野に そのことについて聞いてみると、
「やばいね。でも、そんなの気にしてたら、こんなところでゴルフやってられない(笑)。ダボを打ちたくない、が先行する。賞金や順位というよりも、自分の今、持っている力で、どれだけ戦えるかが知りたい。どれだけ自分の持っているパフォーマンスを100%近く出せて、結果的にどうなるのかを試したい。今のところはうまくやれている。賞金や順位は最終的な結果的なものだから」と語った。
自身のゴルフについて、「日本では、曲がるけど飛ばして、フェアウェイに行ったらショートアイアンで打てるし、ラフに行っても短いクラブで打てるから、ボールを上から落として止められる、という大味なゴルフ」だと自嘲する永野だが、「このフィールドにいる上位の選手でも、苦しんだり、スコアを伸ばせないというのは、こっちに来てみないとわからない。彼らが苦しんでいるなら、俺たちが苦しいのは当たり前」と、逆に自信がついたという。
明日の最終日は、世界ランク6位のザンダー・シャウフェレと同組で回る永野。首位のリッキー・ファウラー、ウィンダム・クラークとは6打差だが、自分の実力を出し切り、さらに上位を目指す。