Text & Photo/Eiko Oizumi
DPワールドツアー最終戦、「DPワールドツアー選手権」が11月19日に閉幕。デンマークのニコライ・ホイガードが最終日、9バーディ、1ボギーの63をマークし、通算21アンダーで逆転優勝した。今季初優勝で、ツアー通算3勝目。2022年「ラス・アル・カイマ選手権」以来の勝利で、ロレックスシリーズで初優勝を遂げた。
「今年の初め、そして今週も、優勝したいねと話していたんだ。そのために僕たちはたくさん努力してきた。僕のチームや、関わっている人たち全てが、一生懸命やってくれてすごく誇りに思う。こんなに素晴らしい人たちは他にはいないよ」
「家族や友達に囲まれて、こうしてシーズンを締めくくることができて、本当に 最高の気分だ」
今大会の優勝により、優勝賞金3ミリオンドル(約4億5000万円)に、レース・トゥ・ドバイのボーナス賞金、1.5ミリオン(約2億2400万円)を獲得。今シーズンはDPワールドツアーランキング「レース・トゥ・ドバイ」では、ローリー・マキロイに次ぎ、2位に入り、世界ゴルフランキングで50位に浮上した。世界ランク50位以内に入れば、「マスターズ」などのメジャーに全て出場できるようになる。すでに来シーズンはPGAツアーのシード権を獲得しており、2024年はPGAツアーを主戦場に、DPワールドツアーにも時折スポット参戦することになるかもしれない。
「僕たちはたぶん、アメリカに拠点を持たないといけないと思う。世界最高の舞台で本気で戦いたいなら、拠点を移して、そこに没頭しないといけないだろう。今後数週間、考えていかないと。とてもワクワクするよ」
あいにく双子の兄のラスムスは、今大会を通算14アンダーの11位タイで終了したが、わずか1人差でPGAツアー行きのトップ10入りを逃し、兄弟ともにアメリカに渡ることはできなかった。ニコライは、「本当に彼には(PGAツアーのシード権を)取って欲しかった。いい位置にいたのに。ラスのことは本当に残念だけど、彼はまた米ツアーに行けるチャンスが来ると思う。僕が知る限り、ベストゴルファーの1人だし、もっと強くなって帰ってくると思う」と語った。
これまでもお互いに励まし合い、サポートし合ってきた仲のいい2人。ニコライにとって、「兄弟であり、ベストフレンド」というラスムスは、誰よりも頼りになる存在であり、ともに同じPGAツアーという世界最高峰の舞台で切磋琢磨したかったに違いない。だがラスムスにとっては、弟に先に「ライダーカップ」入りを果たされ、大西洋を渡ることになった。今回の悔しさをバネに来シーズンは、「今度は自分が……!」とリベンジを果たすことだろう。
大会が終わった後、母国デンマークの大先輩であるトーマス・ビヨーンがホイガードの勝利を祝っているシーンがSNSで発信された。ホイガード兄弟にとって、ビヨーンは師匠のような存在であり、デンマークゴルフに取って、非常に重要な人物だという。現在、DPワールドツアーには、ホイガード兄弟、トービヨーン・オルセンの他、デンマーク出身の若手が次々に出てきているという。デンマークではジュニア育成にも注力しており、そのシステムもうまく機能しているようだ。「デンマークゴルフは、いい位置にいる。素晴らしい若手選手が出てきているのを見て、誇りに思う」とニコライは語っている。