Text/Eiko Oizumi Photo/LIV GOLF
2月のマヤコバ大会(メキシコ)を皮切りに、最終戦のダラス大会で全14試合が終了したLIVゴルフだが、年間の総合優勝チームに輝いたのは、オーストラリア勢で構成されている「リッパーGC」(キャプテンは、キャメロン・スミス。他、マーク・リーシュマン、マット・ジョーンズ、ルーカス・ハーバート)。2位には、初年度にチームチャンピオンに輝いたことのある「4エイシズGC」(キャプテンはダスティン・ジョンソン。他、パトリック・リード、ハロルド・バーナー、パット・ペレツ)と日本人唯一のLIVゴルファー、香妻陣一朗を擁するアイアンヘッズGC(キャプテンはケビン・ナ。他、ダニー・リー、スコット・ビンセント)が入賞した。アイアンヘッズGCは、過去13大会終了時点で最下位だったが、ダラスで大躍進。初日に今シーズン4位で今大会を迎えていたスマッシュGC(キャプテン:ブルックス・ケプカ)を破り、2日目には今シーズン首位で第1シードとして参戦したクラッシャーズGC(キャプテン:ブライソン・デシャンボー)を全勝で撃破するという大波乱を起こしていた。
最終日、準決勝を勝ち残ったアイアンヘッズGC、リージョン13、リッパーGC、4エイシズGCが優勝を争い激突。リーダーボードは絶えず変動し、アイアンヘッズGCや4エイシズGCがリードする場面も見られた。最後まで4チームが僅差で競り合う中、ダスティン・ジョンソンとケビン・ナが終盤でボギーを叩く一方で、キャメロン・スミスはバーディを奪い、一気にリッパーGCが抜け出して優勝。優勝賞金1400万ドル(約20億円)を獲得した。なお、賞金の60%はチームの運営予算に充てられ、残りの40%を4人の選手で山分けした(1人140万ドル・約2億150万円)。
「このメンバーの一員になればことは、信じられないくらい素晴らしい。特にこの仲間達と一緒にね」と記者会見でスミスが語ると、「特別な日だ。この仲間達と祝うのが楽しみだ」とリーシュマン。ジョーンズは「言葉では言い表せない。今、考えるだけで鳥肌が立つ」と語った。
今年、リッパーGCは、母国オーストラリアのアデレード大会でLIVゴルフ初のチームプレーオフでの優勝を決めて感動的な勝利を収めると、その翌週のシンガポールでも優勝。他に3回の表彰台入りを果たし、今週のチーム選手権には第3シードとして臨んでいた。
第4〜5シードのスマッシュGCとトルクGC(キャプテン:ホアキン・ニーマン)が準々決勝で敗退し、第1シードのクラッシャーズGCも準決勝で敗退した一方、リッパーGC、リージョン13は決勝に勝ち残り、今季最下位(13位)のアイアンヘッズGCと10位の4エイシズGCと対戦。リッパーGCはチーム全体で11アンダーをマークし、4エイシズGCとアイアンヘッズGCの8アンダーに3打差をつけて優勝。リージョン13は、キャプテンのジョン・ラームがインフルエンザで病欠したことが大きな痛手となり、4位に終わった。
「今日はリーダーボードを見るのが、かなりストレスだった。目を逸らしたい気持ちもあったけど、どうしても見てしまう。何をすべきか、すごく気になっていた。でもみんな、ベストを尽くすという確信があった」とキャメロン・スミス。記者から「なぜ終盤に強いのか?」と尋ねられると、彼はシンプルに「僕たちは、オーストラリア人だからだ」と答えた。
さて、香妻陣一朗のアイアンヘッズGCについてだが、今季最下位だったにも関わらず、優勝寸前まで迫り、大会を大いに盛り上げた。最終日、3アンダーの69をマークした香妻は「もっと上にいきたかった(優勝したかった)けど、初めての表彰台で嬉しい」と2位が決まった瞬間にコメントしたが、同じく69をマークしたキャプテンのケビン・ナも「全体的に満足している。2位タイで終わったんだから、大きな1週間だったよ。もちろん勝ちたかったけど、勝つ以外ではこれがベストだ」と満足そうに語っていた。
LIVゴルフは、チームでの側面が重視され、1チーム4人の選手で構成されているが、移動や食事などもチームで一緒に行動することも多く、誰かの調子が悪いとチームメイトがアドバイスを送ったり、全員で助け合うような面もある。今年、ブライソン・デシャンボーが「全米オープン」で優勝できたのも、「チームメイトが助けてくれたからだ」と語っている。来シーズンは、さらにチームの側面を強調するようなルール、あるいは取り組みを新たに作る可能性もあるようだが、4年目を迎える2025年、どのようにLIVゴルフが発展していくのか。また、PGAツアーとの統合について、何か進展があるのかに注目が集まる。