Text & Photo/Eiko Oizumi
「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」に日本からは唯一、男子で出場していたアマチュアの中野麟太朗。初日に65をマークし、地元のスターのキャメロン・スミスらと並び、2位発進と好スタートを切り、予選通過を果たして決勝ラウンドに臨んだ。しかし、最終日はまさかの90を叩き、一気に最下位に。それでも唯一のアマチュアの予選通過者だった中野は、ローアマに輝いた。
3日目を終えて、首位と11打差の3アンダーとしていた中野は、最終日にスコアを伸ばし、少しでも上位に食い込みたいところだった。しかし、早朝から時折、強風の吹くキングストンヒースではなかなか思うようなプレーができず、ティーショットが風の影響で流され、何度もブッシュに入るなど、タフな1日となった。
「ティーショットは曲がっていないんですけど、風に持って行かれてしまって。7アンダーを出した初日は、風があまりなく、グリーンがソフトだったので、僕の得意な状況だったけど、その後の3日間は違った。(同組でプレーしていた)ミンウー・リーさんは、『これはまだイージーな方だね』と言ってたので、そうなんだ、と。正直、まさか90を打つとは思ってなかった。最後にいつ、90を打ったか覚えていないくらい。パッティングはタッチがよくわからなくて、(頭が)真っ白でしたし、パットする時も足元がフワフワしている感じだった。ただ、こういうところでアンダーパーを出さないと、戦えないんだな、とわかった」
スタート前に、「風が吹いている時に試してみたいことがある」と言っていた中野。ナショナルチームのコーチのアドバイスで、3日目のラウンド終了後に、風に影響されない球を打つ練習をしていたというが、「ずっとラウンド中、やってたんですけど、全然うまくいかなかった。最後の方でやっとよくなってきた。ずっとビビってショットしていたが、最後の方で『結構強く打っていいんだな』ってことがわかった。もっと振らないといけなかった」と語った。
思うようなスコアは出せなかったが、それでも中野にとっては貴重な体験も。地元のスターのミンウー・リーと最終日にラウンドし、大勢のギャラリーに囲まれながらプレーする経験も積んだ。
「スコア云々よりも、今までの何十倍も多いギャラリーがいて、こういうのは初体験だった」
また、リーとはラウンド中に会話し、「今後はどういう試合に出るの?」「オーストラリアの雰囲気はどう?」「これから明るい未来が待ってるよ」など、声をかけられ、嬉しかったという。
「いろいろ喋ったんですけど、いかんせん、僕はこんなスコアなんで、あっちも話しかけづらい感じだった。すごくいい人だった。でも、次に会った時に『これが90を打った子だったのか!』という反応をされるくらい、もっと練習したいですね。やる気が湧いてきました。でも今日、やっていることは、僕にとってはハードすぎました」
「僕はまだ、やることがたくさんあることがたくさんあることはわかっている。その再確認ができた。今日応援してくれた方々には申し訳ないですけど、もうちょっと待ってて頂きたい。もう少しスケールの大きな、デカいゴルフをできるようにして、必ず戻ってきますし、このままでは終わりたくない」と キッパリ。 予選通過を果たさなければ、この日のようなタフな体験もできなかったという意味で、4日間プレーできたことを非常に前向きに捉えている。たくさんのミスをして、それをコーチにフィードバックしながら、より上達するためにどうしたらいいのか、を積み上げていく経験は、このような舞台でないと学べないと語る。
あと1年間、アマチュアとして試行錯誤を繰り返しながら、来年のプロ転向に向けて、より強く、スケールの大きな選手になれるよう、経験を積み上げていく。1月には早速、ドバイで開催される「世界アマチュアチーム選手権」への出場が決まっている。