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世界ランク1位のスコッティ・シェフラー
「マスターズ」2勝目

Text/Eiko Oizumi
Photo/Augusta National Golf Club

5回の出場で2回目の優勝を挙げた世界ランク1位のスコッティ・シェフラー。

 海外男子メジャー第1戦の「マスターズ」は、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが通算11アンダーで優勝。2位のルドビグ・オーバーグに4打差をつけて、2勝目を飾った。最終日、L・オーバーグやコリン・モリカワ、マックス・ホーマらシェフラーを追う立場の選手たちが9番、11番、12番で致命的なダブルボギーを叩く中、シェフラーは8番からの3連続バーディを含む、7バーディ、3ボギーの68で回り、ただ1人2桁アンダーにまでスコアを伸ばした。

「今週は長い1週間だったし、コースも非常に難しかったが、こうして再びグリーンジャケットを着て、この場所(優勝記者会見)に座り、ジャケットを持ち帰れることは、非常に特別だ」

「今日のプレーで最も重要なショットは、8番のバーディパットだった。それで勢いづいて、9番、10番でもバーディを取り、プッシュし続けた。僕の背後には多くの才能溢れる選手たちが追いかけてきていたので、パーを拾うだけではダメだとわかっていた」

2位のルドビグ・オーバーグと4打差の11アンダーで優勝したシェフラー。

 オーガスタナショナルを2度制したシェフラーは、「飛距離がこのコースでは非常に重要」と語っている。それは、オーガスタが他のメジャーやPGAツアーの開催コースよりもフェアウェイが比較的広く、グリーンが硬いため、できるだけティーショットを飛ばして、グリーンを狙うショットを短いクラブで打ちたいからだという。彼はPGAツアーの試合や「全米オープン」よりも少し強く振っていたそうだ。そして、オーガスタでは、攻撃的でなければ上位に行けず、守りすぎても攻撃的すぎるのもダメなのだという。

「PGAツアーの試合や『全米オープン』などでは、ティーの高さを少し低くしたりして、さまざまな球筋を打ち分けることもあるが、今週僕が打った多くのティーショットでは、高くティーアップして強く打っていたんだ」

 確かに彼の平均飛距離を見てみると、PGAツアーでは平均298.9ヤード(76位)だが、「マスターズ」の週の平均飛距離は305.7ヤードで13位につけている。通常よりも約7ヤードも飛んでいることになるのだ。ローリー・マキロイの同スタッツを見ると、オーガスタの平均飛距離の方が5ヤード飛んでいるので、オーガスタは飛距離が出やすい場所であると言えるのかもしれないが、それでもシェフラーは普段よりも飛んでいることは確かだ。

 また、今大会でのシェフラーは、強風が吹き荒れ、誰もが苦戦したにも関わらず、66、72、71、68と一度もオーバーパーを叩くことなく4日間を終えた(パー72)。

「オーバーパーがなかったのは、素晴らしいこと。僕はオーバーパーになるのが嫌いだからね。どれだけ嫌なことか、言葉では言い表せないほどだ。今年はずっとオーバーパーを叩いていないので、いいことだね。恐らく今週一番よかったのは、ショートゲームとティーショット。過去や未来のことはあまり考えないようにし、目の前のことに集中するのが好き。今年は本当にいいスタートを切っているが、これがずっと続くといいと願っている。ここに至るまでに自分を導いてくれた“努力”を続け、ティーショットを打つときに、いいプレーをするために自分が全力を尽くしたと言える状態にしておくこと。あとはどうなっても、自分とは関係ないことだ」

 シェフラーは敬虔なクリスチャンであり、日頃から「自分は神のために優勝する。神が授けてくれた才能を磨き、神のために使うだけ」というほどの信仰心の持ち主だ。彼のゴルフはキリストに捧げられており、語る言葉も独特である。

「日曜日、首位に立っているとき、本当に心の底から勝ちたいと思う。仲間たちから今朝(日曜日の朝)、僕の勝利は十字架の上で確実だと言われたよ。僕が永遠に確実なものであり、この試合に勝とうが負けようが関係ないという、特別な感覚だ。僕のアイデンティティは、永遠に確実なものなんだ」

「今日の(優勝の)プランは、すでに何年も前から計画されていたものと信じているが、僕にはこの才能という賜物が(神から)与えられており、それを神の栄光のために使うだけ。だから試合に出る時は、自分の能力のベストを尽くして、優勝争いをしようと思う。本当に勝ちたいが、そのように自分は仕組まれているような気がする。子供の頃からそうで、それは常に私の一部であり、すぐに消えるはずはない。僕のアイデンティティはすでに確保されており、こうしてここで優勝争いし、楽しんでいる。勝とうか負けようが、僕のアイデンティティは確保されているんだ」

今回は、同じく熱心なクリスチャンのメレディス夫人が出産間近のため、会場には来なかったが、彼女も彼のためにテキサスから祈りを捧げていたそうだ。今後数週間のうちに第一子が出産される予定だが、来月開催のメジャー「全米プロ」までには生まれていることだろう。今回ももし分娩室にメレディス夫人が入るようなことがあれば、試合の途中でも帰って立ち会うと言っていたシェフラー。今、彼の勢いを唯一止めることができるのは、メレディス夫人だけである。

キャディのテッド・スコット(右)と抱き合い、優勝の瞬間を祝うシェフラー。スコットは過去オーガスタで、ババ・ワトソンの2勝、シェフラーの2勝に貢献している。

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