Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Yasuhiro Iwai
JGTO(日本男子ゴルフツアー)と欧州ツアー(DPワールドツアー)との共催試合となって、2回目を数える「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」。今年は太平洋クラブ御殿場コースで開催され、ISPS契約選手の桂川有人が優勝。JGTO2勝目、欧州ツアー初優勝を飾った。今大会の優勝で、2026年までの欧州ツアーのシード権と、優勝賞金5448万3300円を獲得。世界ランキングも434位から一気に179位に浮上した。
3日目を終えて、首位と3打差の8位につけていた桂川は、前半を2バーディ、ノーボギーで折り返し、首位タイに並ぶと、後半も5バーディ、ノーボギーとスコアを伸ばし、「たぶんゴルフ人生で1番のラウンド」と語った自身最小スコアタイの63をマーク。通算17アンダーとし、2位のセバスチャン・ソーダベリに3打差をつけて勝利を飾った。
「今年、1番勝ちたい試合の1つだったので、無事優勝できてホッとしている。今週の優勝は狙ってはいたけど、全然予想しておらず、とにかく必死だった。日本ツアーに集中していたので、これからどういうチームで動くかなど、しっかり考えて、準備が整い次第、なるべく早く行きたい」
12月から2月末にかけて、PGAツアー「ソニーオープン」参戦も挟みながら、タイでみっちりトレーニングを積んだ桂川。目澤秀憲コーチの指導のもと、ショットの練習にも励んだ。PGAツアーの舞台で戦うことを目指して、昨年は下部ツアー(コーンフェリーツアー)にも挑戦したが、16試合出場中、予選通過7回(最高位は13位タイ)、予選落ち8回、棄権1回と大苦戦。「もう一度体の動きを見直して、スイング作りに取り組む。2024年は日本ツアーに専念する」と、海外ツアーへの挑戦をいったんストップし、国内ツアーへと気持ちを切り替えていた。
その成果が早速開幕戦から現れ、ドライビングディスタンスは、河本力、幡地隆寛に次ぎ、3位(302.96ヤード)。「今は、キャリー300ヤードを目指していて、1月の『ソニーオープン』の頃と今を比べても、ドライバーは10ヤードほど伸びているし、アイアンも1番手違う。体、技術、クラブと、全てがうまく揃って飛んでいるのだと思う。アイアンで番手を落として打てると言うことは、高さが出るので、上げようとしなくてもいい。いろんな状況に対応しやすい」と語っている。
そして以前から苦手意識のあったショートゲームも、目澤コーチの指導でガラッと一変。小さい頃から感覚と経験でショートゲームを作り上げてきた桂川は、目澤コーチに一から知識を叩き込まれ、今大会中も重点的にショートゲームに取り組んでいた。
「最終日の朝、こういう場面が来るだろうと言うのを想定して、アプローチ、バンカーを練習したが、今日の朝、練習した状況が試合中にも出てきた。全部うまくいってる感じで、朝の練習がすごく効いたと思う」
昨年9月に久常涼が、今年に入って2月に星野陸也、3月に中島啓太が欧州ツアー初優勝を飾っているが、今回桂川が勝ったことで、日本人6人目のチャンピオンが誕生した。欧州ツアーでトップ10以内(有資格者は除く)に入れば、来季のPGAツアーのシード権を獲得できる。星野、中島に加え、桂川も久常のように欧州ツアーからPGAツアーへ行くルートを目指すことになる。
「DPワールドツアーは10人、コーンフェリーツアーは30人がPGAツアーへ行けるが、自分は枠が多いコーンフェリーに逃げたというか……。DPワールドツアーの厳しい戦いの中、久常選手がPGAツアーに上がっていったのを見て、本当にすごいと思っていたし、刺激を受けていた。自分も小さい頃からの憧れや夢の場所であるPGAツアーに行って、強い選手と戦ってみたい。海外での優勝も経験したい」と語った。
今後は準備出来次第、DPワールドツアーに本格参戦することになるが、最終戦「DPワールドツアー選手権・ドバイ」の出場権を得るためにレース・トゥ・ドバイランキングでトップ50を目指し、PGAツアーへの10枠(有資格者を除く)を目指すことが目標となる。「アジアンスイング」が終了し、いよいよ欧州大陸での転戦が始まるが、欧州ツアーメンバーの川村昌弘、星野陸也、中島啓太らとともに、世界を股にかけた転戦が始まる。