Text & Photo/Eiko Oizumi
昨年8月、ハワイ・マウイ島の古都ラハイナで森林火災が発生し、100人以上の死者を出した。日本でも連日報道されていたので、ご存じの方も多いと思う。
それから5ヶ月後、焼失したラハイナから、車で約20分の場所にある、カパルア・プランテーションコースで例年通り、PGAツアーの大会が行なわれた。今年から開幕戦として開催された「ザ・セントリー」である。大会開催に関しては、地元の人々から「こんな時期に、ゴルフのイベントなんて開催している場合ではない」という否定的な意見もあったようだが、ハワイ州は「観光客にハワイに来てもらい、少しでもハワイでお金を使って欲しい」という方針のもと、PGAツアーに大会開催の許可を出した。
こうして「ザ・セントリー」は開催されたが、出場選手のリッキー・ファウラーがアパレル契約を結んでいるプーマが、ラハイナ復興を支援するため、通常はPUMAのPをキャップに入れているところを、ラハイナ(Lahaina)のLに変え、「Lキャップ」を限定販売。ファウラーも大会期間中に着用していた。 このLキャップのLの文字は、ラハイナ・ルナ高校を示す赤字に白の縁取りの「L」を採用したもので、高校のすぐ近くにある丘の上にはこの「L」のロゴが刻まれている(京都の大文字焼きの「大」のような感じだ)。
このキャップをデザインした、マウイ在住のワイラニ・アルタテスさんは、「プーマからLキャップのデザインの話を頂いて、ラハイナのシンボルのLの文字と、在来の果物“ウル(パンの木)”をモチーフにデザインしました。少しでもラハイナの復興に役立つことができるといいのですが……」と語っている。
また、Lキャップを着用したファウラーも「僕もラハイナ復興のために何かをしたいと思っていたので、このLキャップのアイデアはすごくいいと思った。少しでも多くのゴルフファンたちに、このLキャップを購入することで支援してくれたら嬉しい」と述べた。
ラハイナの周辺は、家屋や車が焼失したままの状態で放置されているところもあり、最も火災が激しかった場所は、今も有害物質が燃えた際の残骸や灰が残っているため、自宅や店を構えていた人たちも人体に悪影響を及ぼすとして、出入りが禁止されているという。Lの字が刻まれた丘の中腹からラハイナの街を見下ろすと、火災で焼失した時のままの状態だった。ラハイナはかつてハワイの首都であり、レストランやショップが立ち並ぶ観光地だったが、木造の建物が多く存在していた歴史的な古都だっただけに、家屋が一気に燃えてしまったようだ。今でも、色のない焼け落ちた街のままになっており、復興までには少なくとも5年はかかるだろうと言われている。