Text/Eiko Oizumi
Photo/R&A

全5試合ある海外女子メジャーの最終戦「AIG女子オープン(全英女子オープン)」は、イングランド・ロイヤルポースコールで行なわれ、今年から米女子ツアーに本格参戦中の山下美夢有がメジャー初優勝を飾った。2打差の2位タイには勝みなみ、4位タイには竹田麗央が入るなど、トップ4に日本人が3人入るという快挙だ。
初日、竹田麗央と岡山絵里の日本人2人が首位タイに立ち、山下は1打差の3位だったが、2日目以降は首位をキープ。特に2日目はボギーフリーで7つスコアを伸ばし、2位の竹田と3打差をつけ、2桁アンダーに乗せた。今回の勝利で大会史上最高額の146万2500ドル(約2億1500万円)を獲得。「AIG女子オープン」では2019年に優勝した渋野日向子以来、2人目のチャンピオンが誕生した(1984年に岡本綾子が優勝しているが、当時はメジャーではなかった)。また、日本人としては、今年の「シェブロン選手権」で優勝した西郷真央に次ぎ、6人目のメジャーチャンピオンに。1977年「全米女子プロ(樋口久子)」、2019年「全英女子オープン(渋野日向子)」、2021年・2024年「全米女子オープン(笹生優花)」、2024年「エビアン選手権(古江彩佳)」、2025年「シェブロン選手権(西郷真央)」、2025年「全英女子オープン(山下美夢有)」と、日本人女子選手の海外メジャーの歴史を新たに塗り替えることとなった。

最終日前日に24歳の誕生日を迎えたばかりの山下は、こうして自身に最高の誕生日プレゼントを贈ることができた。
「ここまで来るのはすごく長かったし、本当にたくさんの方に支えて頂いて、コツコツ地道にやってきたことで、こうしてメジャーで優勝できてすごく嬉しい。今、日本人選手もメジャーで上位で戦っていますし、私自身もすごくいい刺激をもらっている。同級生の西郷選手は、今年メジャーで優勝してすごいな、と思ってましたし、いい刺激をもらっていた。その中で自分も優勝できて嬉しい」
大会中、唯一オーバーパーを叩いたのは、2バーディ、4ボギーの74を叩いた3日目。2日目を終えて2位に3打差をつけていた山下だが、3日目でわずか1打差につめられた。山下は、コーチである父・勝臣さんとともに練習場でスイングの修正を行ない、宿舎に戻ってからも細かい部分をチェック。そこで「気づきがあった」という山下は、緊張感はあったものの、最終日に自信を持ってプレーに臨むことができたという。
そして最終ラウンドでは、2アンダーの70をマーク。イングランドの人気実力選手、チャーリー・ハルの猛追で、一時1打差まで詰められたが、ハルが16番、17番で連続ボギーを叩いたことで、追い上げムードもストップ。ハルを退け、初のメジャータイトルを獲得した。
「小さい頃からの夢が、メジャーで優勝することだった。その夢を実現できたことは本当に特別なこと。メジャーで勝つということは自信にもなるし、コツコツやってきたことで優勝できてよかった」
山下は今大会の優勝で、世界ランク6位に浮上し、日本勢で最高位に立った。また、LPGAのポイントランキング「レース・トゥ・ザ・CMEグローブ」で一気に4位に浮上。3位の竹田麗央とともに、新人賞を11月の終盤の試合まで争うことになりそうだ。
