Text & Photo/Eiko Oizumi

アジアンツアーポイントランキングで1位に立っている比嘉一貴は、アジアンツアー高額賞金シリーズ「PIFサウジインターナショナル」を通算3アンダーの65位タイで終了。今大会を終えて、1958.59ポイントとし、2位のスコット・ビンセントと142.47ポイント差となった。
アジアンツアーは年内に残り2試合となっており、比嘉もビンセントも最終戦の「サウジオープン(12月10日〜13日/ディラブGC)」に出場を予定している。比嘉は、日本人初のアジアンツアー総合優勝達成を目指し、再びサウジアラビア・リヤドを訪れる。仮に比嘉が予選落ちした場合でも、ビンセントが5位以内に入らないと比嘉を逆転できない計算だ。
「今年、スタートからゴルフ自体は噛み合わないにしても久しぶりに勝てるだろうな、という手応えは持っていた。それで日本で優勝できて(8月開催の「ISPS HANDA夏に爆発 どれだけバーディ取れるんだトーナメント」)、そのおかげでアジアでもトントンと優勝することができた。そのうちの一つは、自分がスポンサーをしてもらっている台湾の試合だったので、僕が一番勝ちたい試合でもあり、それだけでもいいシーズンだったと思える。このインターナショナルシリーズをこういう形で終えたのは、悔しさの方が大きいですけど、また来年にもつながるようなプレーが最後にできたかな、と思います」
日本ツアーで現在、賞金ランキング4位につけている比嘉は、日本でもアジアでも両ツアーで好成績を収めているが、毎年出場しているLIVゴルフの予選会「LIVゴルフ・プロモーションズ(1月・フロリダ開催)」のことも頭によぎる。だが次回から、この予選会に出るだけで2年間のPGAツアー出場停止となったことで、その弊害も大きいことも重々理解している。
「今まで自分ができることはやってきて、スイング改造しても飛躍的に進化を遂げられるとは自分の中ではあまり想像できない。自分ができるゴルフの中で、アメリカに挑戦するのはこの3年以内がラストチャンスかな、と思っている。だから、LIVゴルフの予選会に、PGAツアーへの挑戦を全て捨てていく、というのはリスクが高い。予選会に出て権利を獲得できなければ、LIVにも出られず、PGAツアーも出られないというのはちょっと……」
「DPワールドツアーでやっていた時よりは、成長していると思うけど、でもあそこでも歯が立たなかったのに、世界最高峰のPGAツアーでやれるとは思えないという弱気な部分もある。挑戦しないで終わるのもどうか、とも思うので、そこが悩みの種ですね」
当面、日本とアジアを主戦場に戦うことを考えているが、アジアンツアーでNO.1に立っていることに対する周囲の反応が薄い、と比嘉は感じている。
「試合にもよりますが、LIVの選手が出ることも多いだけにアジアンツアーの方が日本よりもレベルは上だと思います。でもどうしても昔から、日本ツアーの方がアジアンツアーよりも上、という見方が今でも強く、アジアンツアーで1位に立っていても、あまり注目されていない。今ではアジアンツアーの選手で欧米ツアーを目指す人はいても、日本を目指すという人はあまりいない。そう考えるとアジアで得られるものは大きいと僕は思っています」
日本とアジア、両ツアーでいい成績を収めているだけに、タフなスケジュールを強いられた1年間だったが、「今年は特殊だったと思う。本当はどっちかに絞れていれば、もう少し余裕のあるスケジュールが組めたと思うが、どっちも捨てきれない。どっちも上手くいきすぎた。二兎追うものは一兎も得ず、という言葉があるが、二兎を追わないとどちらも得られない状況。健康面でのリスクはあるけど、試合に出ないで抜かれて後悔するよりは、試合に出たいですね」
比嘉はこの後「カシオワールドオープン」に出場し、その後、再びサウジアラビアへ遠征する。




