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プレーオフ6ホール目でやっと
つかんだ4年ぶりの勝利
      トラビス・スマイス

Text/Eiko Oizumi
Photo/Golf Australia

今大会で優勝し、日本男子ツアー(JGTO)の出場権も獲得したトラビス・スマイス。

  トラビス・スマイスは最終日、ロイヤル・オークランド&グレンジ・ゴルフクラブで行なわれた初開催の「ISPS HANDA JAPAN-AUSTRALASIA CHAMIONSHIP」で、日没直後に行なわれたプレーオフ6ホール目でタップインのバーディーを沈め、同じオーストラリアのジャック・トンプソンを退けて優勝した。

 度重なる惜敗によって募っていたフラストレーションを乗り越え、約4年ぶりとなるツアー優勝を果たしたシドニー在住のスマイスは、この勝利によりチャレンジャーPGAツアー・オブ・オーストラレージアランキングで1位に浮上。今月後半にはビクトリア州モーニントン半島で残り2大会が開催される。

 スマイスとトンプソンは、フィリピンのジャスティン・デロスサントスを1打上回る通算15アンダーで並び、プレーオフにもつれ込んだ。最終日は、ある時点で単独首位または首位タイに立つプロが7人も現れる激しい優勝争いとなった。

 2勝目を狙っていたトンプソンは、最終ラウンドを首位と6打差の19位タイからスタート。しかし終盤7ホールを6アンダーで回る猛チャージを見せ、コースレコードに並ぶ8アンダー64をマークして優勝争いに加わった。クラブハウスリーダーとなったトンプソンは、その後約2時間待たされることになり、その間に多くの挑戦者が脱落。最終的にスミスが17番のバーディーに続き、パー5の18番でバーディーパットを沈めて首位に並び、プレーオフに突入した。

しかし、最終18番ホールは傾斜の強いグリーンとそのグリーン回りが大きな難所となり、サドンデスのプレーオフでは4度の挑戦でもバーディーが生まれなかった。そのため、隣接する短いパー4の3番ホールへと舞台が移された。

 プレーオフでは、1メートル強のチャンスを含めて4度のウィニングパットを外したスマイスだったが、6ホール目でついに決着。ティーショットをグリーン手前のエッジに運び、長い距離からの2パットでバーディーを奪取。一方のトンプソンはパーだった。

「18番グリーンは本当に難しい。3番ホールに変更になってくれてよかったよ。あそこはこのコースで一番好きなホールなんだ。だから、あの形で決まったのはとてもふさわしかったね」とスマイスは語った。

 31歳のスマイスにとっては、待ち望んだ勝利だった。前回の優勝はアジアンツアーの「ヤンダー・クラシック」で、それ以降は21回ものトップ10入りを記録していた。そして、この勝利によりチャレンジャーPGAツアー・オブ・オーストラレージアで2年間のシード権を獲得。さらに、今週共催した日本ゴルフツアー機構(JGTO)のツアーにも、2026年シーズン(今大会が開幕戦)とその後2シーズンにわたって出場できる資格を得た。

「本当にうれしい。これまで積み重ねてきた努力と安定したプレーが、ついに報われたんだ。この4、5年でトップ5やトップ10が本当に多かった。でも、自分より安定していないように見える選手が優勝していくのを見て、『自分の番はいつ来るんだろう』と思っていた。今週だったんだ。本当にうれしいよ」

 この日の勝利で760ポイントのオーダー・オブ・メリット(賞金ランキング)ポイントを獲得したスマイスは、ニュージーランド3連戦で合計965.4ポイントを獲得。今季オーストラレージアでの初出場大会ながら、「クイノヴィックNZ PGA選手権」と「ニュージーランドオープン」の両大会でトップ5入りしていた。

 ポイントランキングでは、キャム・ジョンに204ポイント差をつけて首位に立った。残る2大会、「ヘリテージ・クラシック」と「ザ・ナショナル・トーナメント」では、各大会の優勝者に190ポイントが与えられる。

「いい気分だけど、まだ仕事は終わっていない」とスミス。次戦は木曜日開幕の「ヘリテージ・クラシック」だ。

 一方、トンプソンはニュージーランドで2年連続の2位となった。昨年の「ニュージーランドオープン」でもプレーオフに1打届かず、惜しくも優勝を逃していた。現在賞金ランキング11位のトンプソンは、日曜日の朝、最終ラウンドをスタートする時点では優勝争いに絡むとは思っていなかったという。

「まだかなり差があると思っていた。いいラウンドをして、うまくいけばトップ5に入れたらいいな、くらいの気持ちだった」と南オーストラリア出身のトンプソンはラウンド後に語った。

「正直なところ、そこまで先のことはあまり考えていなかった」

 順位がめまぐるしく入れ替わる展開の中、バックナイン序盤で2打差の単独首位に立ち、主導権を握ったかに見えたのはフィリピンのジャスティン・デロスサントスだった。
 しかし、日本ゴルフツアーのメンバーである彼はパー5の12番でボギーを叩き、その後はすべてパーでホールアウトした。

「12番でリーダーボードを見たとき、15アンダーで自分がトップにいるのを確認したんだけど、そこに留まることはできなかった。でも全体としてはいい一週間だった」とアメリカを拠点とするデロスサントスは語った。

「来年もまたここで開催されて、もう一度チャンスを狙えたらいいね」

 今大会でニュージーランド勢最上位となったのは日系ニュージーランド人のカズマ・コボリ。最終日のチャージはならなかったものの、71で回り、前日首位のライアン・ピーク(73)らと並ぶ7位タイで大会を終えた。

 オーストラレージアと日本の共催大会で初代チャンピオンとなったスマイスは、新たに広がるキャリアの可能性を楽しみにしている。

「日本は訪れるのもゴルフをするのも大好きな国のひとつなんだ。出られる大会にはできるだけ出たいと思っている。本当に楽しみにしているよ」

 最終戦「ザ・ナショナル」で最後のパットが沈む瞬間までにオーダー・オブ・メリット1位を守り切れば、DPワールドツアーへの道も開かれるだけに、スマイスにとって今回の優勝は人生の分岐点といえよう。

プレーオフで敗れ、2位に終わったジャック・トンプソン。
JGTOメンバーのジャスティン・デロスサントスは、通算14アンダーで、1打足りずにプレーオフ進出ならず、3位に終わった。
日本勢最上位は、通算13アンダーでホールアウトした木下稜介。4位タイに終わった。

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