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「LIVゴルフ・シンガポール」で
プレーオフで逆転優勝を挙げた
ブライソン・デシャンボー

Text/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF、Getty Images

雨の中のプレーオフを制し、LIVゴルフ個人戦4勝目を挙げた、ブライソン・デシャンボー(photo/LIV GOLF)。

 「LIVゴルフ・シンガポール」で、ブライソン・デシャンボーがプレーオフで逆転勝利を飾り、勝利から遠ざかっていた期間に終止符を打った。だが、その勝利はプレーオフの相手、リチャード・T・リーのミスなしには成し得なかった。リチャード・T・リーは、プレーオフを次のホールへ延長できたはずの短いパットを、まさかのミスで外してしまったのだ。この残酷な結末により、セントーサGCで自身4度目のLIV個人タイトルを掲げたデシャンボーは、複雑な心境に包まれることとなった。

 デシャンボーの前回のLIVゴルフでの勝利は、昨年5月の「LIVゴルフ韓国」で通算19アンダーを記録して優勝したときまでさかのぼる。この時の勝利は、2023年9月以来続いていたLIVでの長い未勝利期間を終わらせた大会でもあった。

 今週の「シンガポール大会」は、序盤からデシャンボーが主導権を握っているように見えた。彼は第1ラウンドと第2ラウンドを終えて首位に立っていたが、
第3ラウンドではボギーを4つ叩き、スコアは72。これによって首位から陥落し、最終日のスタート時点ではホアキン・ニーマンとリー・ウエストウッドに1打差の3位に後退していた。

 それでも日曜日、デシャンボーは猛攻を見せた。4番ホールでチップイン・イーグルを決め、その後さらに2つのバーディーを奪ったところで悪天候のため競技が中断された。好スタートによりスコアは12アンダーまで伸ばしたが、再開時点では逆に首位からニーマンに2打差を追う展開となっていた。
だが、終盤に状況が動いた。ニーマンが上がりホールでボギーを3つ叩いた一方で、デシャンボーはさらに2つのバーディーを奪取。18番のバーディーでニーマンを逆転し、通算14アンダーに到達した。だが、リーが直近6ホールで4バーディー、さらに最終2ホールを連続バーディーで締め、デシャンボーに並んだのだ。

 その結果、勝負はサドンデスのプレーオフへと突入したが、プレーオフは、デシャンボーにとって最悪のスタートから始まった。パー5の18番でティーショットを池に入れてしまい、いきなり勝利の可能性が揺らぐ展開となったのだ。

 一方のリーは、着実に3オンし、約10フィートのバーディーパットを残した。デシャンボーは、ティーショットを池に入れながらも寄せワンに成功し、パーセーブ。ペナルティがありながらもスコアをまとめた。

 ここで状況は明確だった。リーがバーディーパットを決めれば優勝で、2パットでもプレーオフ続行。しかし、ここで悲劇が起きた。リーの最初のパットは2〜3フィート、オーバーし、返しのパットはカップへ向かって転がったが――

無情にもカップに蹴られて外れたのだった。

 テレビカメラは、両手を頭の後ろに回し、驚きの表情を浮かべていたデシャンボーを映した。これが彼のLIVゴルフ4勝目を手にした瞬間だった。ラウンド後、デシャンボーは勝利について語ったが、リーの痛恨のミスを前に複雑な思いを抱いていることも明かした。

「リチャード(T・リー)には本当に気の毒だった。彼は信じられないほどいいゴルフをしている。これまで一緒に回ったラウンドでも何度か彼に負けているし、本当に素晴らしい選手だ」

「もう1ホール一緒に戦いたかった。勝つのはもちろん素晴らしいことだけど、彼のゴルフには大きな敬意を持っている」

プレーオフで戦ったリチャード・T・リー(右)とデシャンボー。

 LIV最大のスターであるデシャンボーは、終盤まで自分が勝つと思っていたことも明かした。だがリーの猛追が状況を大きく変えたという。
「最後の3ホールに向かうとき、『たぶん自分が1打リードしているな』と思っていた。でもリチャードがあのプレーでフィニッシュしたのは本当に印象的だった。彼は本物のスーパースターだし、リーグがワイルドカードとして迎えていることを誇りに思うべきだ」

 とはいえ、自身の勝利の価値も噛みしめた。
「特に今日は濡れたコンディションで芝も重く、ウェッジにも苦しんでいたからね。それでも勝ち切れたのは本当に印象的だった」
「プレーオフの最後のホールで池に入れたとき、G-Bo(キャディーのグレッグ・ボドイン)が『ブライソン、とにかくパーを取りに行こう。それしかできない』と言ったんだ。実際その通りにやれた」

 優勝を決めた瞬間に「安堵」を感じたかと聞かれると、デシャンボーは即答した。
「もちろん。信じられないほどの安堵だった。」
「4ラウンド制の大会で勝ったのは、2024年の『全米オープン(パインハーストNo.2)』以来だった。このコースは本当にタフで、すべてのショットに正確さが求められる。しかもコンディションも変わり続けていた。その中で勝てたことを、チームのみんなと本当に喜んでいる」
 デシャンボーの次戦は、今週開幕する「LIVゴルフ・南アフリカ」。そしてその後には、「マスターズ」が控えている。

 また、チーム戦ではダスティン・ジョンソン率いる「4エイシズGC」が、前週の「香港大会」に続き、アジアで2週連続優勝を果たした。香港では、32大会連続で未勝利の記録をストップしたばかりだった。今年からLIVゴルフを辞めたパトリック・リードと、「スマッシュGC」に移籍したハロルド・バーナーⅢに代わり、ベルギー人選手のトーマス・デトリーと、ワイルドカード枠だったアンソニー・キムがチーム入り。キムは「アデレード大会」でLIVゴルフ初優勝を挙げている。

「リーグは毎年確実にレベルアップしている。勝つのはどんどん難しくなっているし、チーム戦で勝つチャンスを得るには、本当にいい選手が4人必要なんだ。今のうちのチームは、それが揃っていると思う」とキャプテンのジョンソンは満足げに語った。

チーム戦で優勝した4エイシズGC。左からトーマス・デトリー、トーマス・ピータース、キャプテンのダスティン・ジョンソン、アンソニー・キム。

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