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【2020全米オープンレポート】ミケルソン、マシューウルフ、タイガー・ウッズ、バッバ・ワトソン

今年の全米オープンは、デシャンボー以外の選手にとっては大変苦しい大会となったことだろう。

ミケルソン、マシューウルフ、タイガー・ウッズ、バッバ・ワトソンの2020年全米オープンを振り返る。

©Getty Images

フィル・ミケルソン
Phil Mickelson

©︎USGA

練習ラウンドをともにしたデシャンボー(左)。互いに健闘を誓いあったが、ミケルソンは予選落ちに終わった。

©︎USGA

パフォーマンスコーチのデーブ・フィリップスとともに共同開発したコーヒーを飲みながらプレーするミケルソン。予選落ちが確定的な中でも、商品の宣伝は忘れない。

14年前のリベンジならず……
グランドスラム 達成はもう不可能?

©Getty Images

 今から14年前の2006年「全米オープン」、ウィングドフットで開催された全米オープンで、優勝を目前に自滅したフィル・ミケルソンのことを覚えているゴルフファンも多いことだろう。

ここ数年は、「全米オープン」の出場資格を得ることができる世界ランク50位以内に入ることが難しくなっていたが、今年はコロナの影響で予選会を行なえないUSGAが、世界ランクによる出場資格の枠を広げたため、ミケルソンも出場することができたのだった。

この因縁の地で14年前のリベンジを果たせるかに注目は集まったが、残念ながら13オーバーで予選落ちを喫した。

「ボクはこの1週間を、そしてこのチャレンジングなコースを楽しんだよ。ここに帰ってこれて感謝しているが、いいプレーができなくて残念だ。家で練習しているときはストレスもなく、いいプレーができるけど、このコースではミスするとその罰は手厳しいね。今年の“全米オープン”が最後なのかは、わからない」

もし彼が世界ランク50位以内から外れることがあっても、他のメジャーで優勝して出場権を獲得することもできるし、世界ゴルフ殿堂入り選手の彼ならUSGAから推薦をもらうことも可能だろう。

来年の6月は彼のホームタウンであるサンディエゴ(トーリーパインズ)での開催となるため、推薦出場という話は非現実的な話ではない。

しかし、彼は以前、今年の「全米オープン」出場について、「自力で出場できなかったらそれまでだ。

推薦をもらおうとは思わない」と語っていたので、おそらく今後も彼のプライドをかけて、自力で出場できるためになんとか50位以内に戻れるよう、必死で頑張るはずである。

マシュー・ウルフ
Matthew Wolff

©︎USGA

21歳のマシュー・ウルフが、107年ぶりの「全米オープン」初出場・初優勝を達成しようと試みたが……

107年ぶりの偉業達成ならず

最終日、2位のデシャンボーに2打差をつけて単独首位でスタートしたウルフ。

もし彼が勝てば、1911年に「全米オープン」初出場、初優勝を飾ったフランシス・ウィメット以来、107年ぶりの快挙達成となるはずだった。

また21歳5ヶ月6日での優勝は史上9人目の最年少記録。

同年代のライバル、コリン・モリカワが今年「全米プロ」で優勝したばかりだが、ウルフもそれに続きたかったことだろう。

タイガー・ウッズ
Tiger Woods

©︎USGA

仲良しのジャスティン・トーマス(左)と練習ラウンドを行なうタイガー・ウッズ。

メジャーの週末を自宅で過ごす

昨年は「マスターズ」など2勝を挙げたタイガーだが、今年は未勝利。

そろそろメジャー優勝数を16勝に伸ばしたいところだが、今大会では予選落ちを喫した。

「週末にここで優勝争いができないというのはフラストレーションがたまるね。家族と会えるのはいいが、予選落ちはまた別の問題。優勝するために来てるんだからね」

ババ・ワトソン
Bubba Watson

©︎USGA

敬虔なクリスチャンのワトソン。ハリケーンに襲われた故郷の人々を救おうと立ち上がった。

故郷がハリケーン襲来でも集中してアンダーパー

「全米オープン」開催週に、フロリダのホームタウンにハリケーン「サリー」が襲来、一時は棄権して自宅に戻ろうとも考えたババ・ワトソン。

家族は無事だが、洪水のため32万世帯が停電に見舞われた。

故郷の惨事で気が気でないが、そんな状況下でも集中力を切らすことなくプレー。予選通過を果たした。

©︎USGA

場内には、手洗いやソーシャルディスタンスなどを注意喚起する看板がある。

©︎USGA

設計家のクリフォード・ウェンデハックが、チューダー朝時代に人気のあった英国ゴシック建築様式を取り入れて造った重厚なクラブハウス。

©︎USGA

選手が履いていたナイキのシューズには、ウィングドフットのロゴマークが入っていた。

©︎USGA

9月の全米オープンは1913年以来。紅葉した枯葉が秋の気配を感じさせる。

Text/Eiko Oizumi

大泉英子

ゴルフ誌の編集長を経て、現在はフリーライター、ゴルフイベントのプロモーターなども手がける。『ゴルフ・グローバル』編集長。海外取材は20年以上。全米ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

Photo/USGA(John Mummert, Darren Carroll, Chris Keane, Jeff Haynes),Getty Images

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