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【PGAツアーレポート】松山英樹 ソニーオープン優勝!!アジア人最多記録に並ぶ8勝目達成!

2022年1月13日~16日/ワイアラエCC(ハワイ)

松山英樹ソニーオープン優勝!!
KJチョイとアジア人最多記録に並ぶ8勝目達成!

©Eiko Oizumi

Hideki Matsuyama
松山英樹(LEXUS)

1992年2月25日生まれ。181cm、90kg。東北福祉大出身。国内8勝(うち1勝は日本オープン)、海外8勝。国内ではルーキーイヤーに賞金王。昨年は「マスターズ」でメジャー初優勝。

アマチュアの中島啓太の活躍が松山に火をつけた

©Getty Images

松山英樹の優勝直後、お祝いの言葉をかけたアマチュアの中島啓太(左)。

©Getty Images

日本人ゴルファーの金字塔の地で、松山が日本人2人目の優勝

©Gary Kobayashi

1983年の「ハワイアンオープン」で、日本人初のPGAツアー優勝をワイアラエCCで果たした青木功(左)。

ハワイで日本人2人目の快挙達成

松山英樹が、新年早々また一つ、偉業を成し遂げた。

今までどちらかといえば、苦手意識のあった「ソニーオープン」で、ラッセル・ヘンリーとのプレーオフを制し、米ツアー通算8勝目を達成。
これで、韓国のKJチョイが達成したアジア人米ツアー最多優勝回数に並んだ。
2月に30歳を迎えた松山だが、米ツアー203試合目の29歳10か月22日で成し遂げた。

「アジア人の最多優勝が8勝なので、丸山(茂樹)さんから早くそこを抜いてくれ、と言われているので……」と「ZOZOチャンピオンシップ」で優勝した際に口にしていたが、今大会の優勝でその記録に並び、あと1勝で抜き去るところまで来ている。
過去、何度も優勝争いを演じ、16年と17年には実際に勝利を飾った「WMフェニックスオープン」では今年、優勝者と3打差の8位タイまで順位を上げた。
この号が出る3月下旬までに9勝目を飾っている可能性も高い。

ラッセル・ヘンリーとの一騎討ち

3日目を終えて2打差で首位に立っていたラッセル・ヘンリーは、9番ホールのイーグルを含む、前半29というスコアで折り返し、一時は松山に5打差をつけていた。だが、松山は10~11番で連続バーディを奪い、一方のヘンリーは11番でボギーを叩いたことで、一気にその差は2打に縮まった。

「もう5打差になったので、チャンスがないくらいのところまで落ちてしまった。それでも3アンダーで回っているから悪いプレーじゃないと思ったし、後半良いプレーをすればチャンスが巡って来るんじゃないかと思いました」

後半で4バーディを奪い、最終ホールで首位に並んだ松山は、プレーオフへ。
1ホール目のセカンドショットがベタピンにつき、圧巻のイーグル締めで幕を閉じた。

「3Wで、ちょっとカットボールでぴったりの距離だった。逆光でまったく見えなかった(笑)。でも歓声でいいところにいったんだな、と」

今季、公式戦で複数回優勝を遂げているのは、今のところ松山ただ一人。
彼の今季の優勝は、いずれも日本企業がスポンサーの大会だ(ZOZOチャンピオンシップ、ソニーオープン・イン・ハワイ)。
昨年は無観客で行なわれた「ソニーオープン」だが、今年は通常通りの観客数に戻して開催された。
まだまだ例年に比べれば、日本人の観光客は少ないハワイだが、それでも日本語の声援が飛び、松山の優勝を後押ししたことは確かだ。

「5打差ある中でも、(日本人ギャラリーの)力をすごく感じましたし、いいプレーにつながるんだな、と思いました」

「風格漂うプレーぶりと佇まいは、まさにメジャーチャンピオンに相応しい」-青木 功

©Eiko Oizumi

大勢の観客の前で、最後まで粘り強いプレーを見せた松山(右)。左隣はプレーオフの末、逆転されたラッセル・ヘンリー。

イーグルVを果たした青木と松山

さて、日本人の海外ゴルフでの活躍の歴史において、金字塔のように語り継がれているのは1983年、日本人で初めて米ツアーで勝利を挙げた青木功の「ハワイアンオープン」(ソニーオープンの前身)優勝である。
最終日の18番ホール(パー5)、残り128ヤードの3打目が直接カップイン。
イーグルを決め、逆転優勝を果たしたが、それから39年後に、松山英樹が日本人2人目の優勝を遂げた。
しかも、プレーオフ1ホール目の2打目、残り277ヤードを3Wで放ったショットはピン手前1メートルにベタピン。
逆光でまったく球の行方が見えなかったと松山はいうが、完璧なショットでイーグルを手繰り寄せ、大勢の観客を沸かせた。
青木功は日本でテレビ観戦し、松山に対し、次のように語っている。

「ますますその強さに磨きがかかり、風格漂うプレーぶりと佇まいは、まさにメジャーチャンピオンに相応しい堂々としたもので、感心する。今回優勝した開催コースでは、(自分も)過去に優勝した経験があり、当時の自分に重ね合わせて見させてもらった。そういう意味で松山選手の優勝は、私にとっても大変感慨深い」

青木も語っているが、「松山が今後どれだけ優勝するのか、どこまで強くなるのか」と思わせるほど、彼のプレーぶりは強さに磨きがかかり、メジャーチャンピオンとしての風格が、ますます増しているように見えた。
まもなくディフェンディングチャンピオンとして迎える「マスターズ」が開幕するが、ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズ、ニック・ファルドの3人しか達成できていない「2連覇」を掴み取りに行く。

©Eiko Oizumi

ソニー株式会社・常務の河野弘氏(右)と松山。河野氏は、プロアマで松山と一緒に回り、優勝後の表彰式ではソニーを代表し、プレゼンテーターを務めた。

©Getty Images

記念撮影するチーム松山。左から目澤秀憲コーチ、岩井幹雄トレーナー、松山、早藤将太キャディ、通訳兼マネージャーのロバート・ターナー氏。

最終成績

優勝松山英樹−23
2位ラッセル・ヘンリー−23
3位ケビン・キスナー
シェイマス・パワー
−19
5位マイケル・トンプソン
ルーカス・グローバー
−18
7位キース・ミッチェル
ラッセル・ノックス
マット・クーチャー
アダム・スヴェンソン
−17
12位小平 智−15
41位中島啓太(アマ)−10
予選落ち 金谷拓実 星野陸也 石過功一郎

Text/Eiko Oizumi

大泉英子

「ゴルフ・グローバル」編集長。国内男子、海外ツアー取材をメインに、男・女・シニア、海外メジャー取材は100試合以上。全米ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

TVではわからない面白ネタをキャッチ!

O嬢のSony Open通信

プロ入り直後のアリゾナ州立大出身プロがPGAツアーデビュー

©Eiko Oizumi

昨年、男子のプロテスト最終成績で8位タイに入り、合格した石過(いしか)功一郎。彼は、アリゾナ州立大出身で、兵庫県出身。
「ソニーオープン」のマンデートーナメントを通過して、プロ入り初の本戦出場を決めた。
「父の影響でゴルフを始めたんです。そのうち、よくわからないうちに坂田塾に入門。USキッズゴルフ世界選手権12歳の部で優勝しました。アリゾナ州立大(ASU)ではフィル・ミケルソンやジョン・ラームたちがゴルフ部の先輩。彼らのようになれたらいいですけどね」

 プロ入り初戦は、残念ながら予選落ち。今後は、語学も達者な石過に注目だ。

エイミー・コガ妹がプロアマデビュー?!

©Eiko Oizumi

JLPGA参戦中のエイミー・コガ(左)はハワイ出身だが、「ソニーオープン」のプロアマにはアマチュアゴルファーの妹の付き添いで来たという。

「妹がプロアマに出場するゲストのキャディをやるということで、私も付き添いで観にきました」

 昨年、ツアーが終了するとハワイに戻ってきて練習していた、というコガ。2021年のJLPGAファイナルQTで43位だったため、今年はJLPGAの前半戦数試合とステップアップツアーに出場する見込みだ。

今年初の海外遠征で苦戦した星野陸也

©Eiko Oizumi

2021年JGTOツアー賞金ランク5位の星野陸也(写真右・左はJGTOツアー賞金王チャン・キム)は、自身初戦の「ソニーオープン」で予選落ちを喫した。

「パットが入らないとダメですね。PGAではショットがいいだけじゃダメ。このグリーンは目が読みきれなかった。カットラインのことを意識して、変なプレッシャーがかかってしまった」

世界を舞台に戦いたいという星野。昨年同様、海外遠征時はグリーン上で苦労しているようだが、苦手を克服し、飛距離とショット力を武器に頑張って欲しい。

リーシュマンがビールを販売しているの、知ってた?!

オーストラリア(以下豪州)出身でPGAツアー6勝を挙げているマーク・リーシュマン。彼のキャディバッグには「リーシュマンラガー」のロゴが入っている。

「豪州のビールなんだ。豪州と僕が今住んでいるバージニア州で発売されているけど、最近では缶ビールも発売していて、発送もできるようだよ。アメリカだけだけどね」

リーシュマン好みの軽めで、少しフルーティなテイストのビール。機会があれば、一度は飲んでみたい。

豪州の材料を使って、米国バージニア州で醸造されているリーシュマンラガー。375mlの缶ビールが24本で約7000円。

https://www.leishmanlager.com.au

2022年、最高の始まり!ショットも好調の小平智

©Eiko Oizumi

昨年、PGAツアーのシード権を失い、「今季はコーンフェリーツアー(下部ツアー)やウェイティングからのPGAツアー参戦となる」と語っている小平が、2022年のスタートを12位タイという成績で締めくくった。
「今、取り組んでいるスイング改造がだんだん形になってきて、自分のものになってきている」
PGAツアーに返り咲きを果たしたい小平の奮闘に期待したい。

世界が注目する、もう一人の日本人

タイガーと同じマネージメント会社と契約した中島啓太

世界アマチュアランキング1位の中島啓太がタイガー・ウッズやコリン・モリカワら世界の強豪が所属するマネージメント会社と契約した。
アマチュアにして日本人初の契約――
中島に対する期待度の高さがうかがえるニュースだ。

©アジアアマチュア選手権

昨年の11月、ドバイで開催された「アジア・パシフィック・アマチュア選手権」で優勝し、「マスターズ」「全英オープン」行きを決めた中島。「全米オープン」への出場も決まっている。

©Eiko Oizumi

アマチュア時代から互いに切磋琢磨してきた金谷拓実(右)と中島啓太。ともに、世界アマチュアランキング1位として「マック・マコーミックメダル」を獲得している。

「ネットフリックス」のゴルフ番組にも出演予定

©Eiko Oizumi

タイガー・ウッズ、コリン・モリカワ、ジャスティン・トーマス、マット・クーチャーら世界のトッププレーヤーたちが所属する「エクセルスポーツマネジメント」が、「ソニーオープン」の会場でアマチュアの中島啓太と契約を締結。
日本だけでなく、世界からもその活躍が期待されている。

エクセルスポーツの代表を務めるのは、タイガー・ウッズをIMG時代からサポートしているマーク・スタインバーグ氏。
そんな彼から見込まれた中島は、タイガーやモリカワらと同様に、世界を舞台に活躍するであろうと期待されているのだ。   

「ソニーオープン」では2日目に64をマークして5位タイに浮上。
最終的には41位に順位を下げたが、「ソニーオープン」にアマチュアとして出場していた松山や金谷が、予選通過を果たせず苦戦していたことを考えると、高評価に値するだろう。
優勝した松山も「刺激になった」というほど、中島の存在感は大きいと言える。

「今後のスタートラインである今大会で、松山選手がすごくいいプレーを見せてくれてワクワクした。自分の基準を上げて、同じ舞台でプレーできるよう頑張りたい」(中島)

「ネットフリックス」がPGAツアーを題材にしたドキュメンタリー番組を制作すると発表。
モリカワ、ダスティン・ジョンソン、ザンダー・シャウフェレ、ブルックス・ケプカ、ジョーダン・スピースらが出演予定で、中島も出演すると発表されている。
4大メジャーも番組内で取り上げられることになっているが、4月にまずは「マスターズ」が開幕。
海外メジャーデビューを果たす中島から目が離せない。

今年の目標は全部で3つ!

キャメロン・スミス

©Eiko Oizumi

チームキャメロンのメンバーと記念撮影。キャメロンの右隣の女性は、長年交際中のガールフレンド、ジョーダン・オンティべロスさん。シメトラツアーで短期間プレーしていたこともある女子プロだ。

©Eiko Oizumi

世界ランク1位のジョン・ラームは、最終日を首位タイで発進したが、1打差で敗れた。

©Eiko Oizumi

金曜日は「アロハフライデー」の日。選手や関係者、観客もアロハを着用して大会を盛り上げた。

©Eiko Oizumi

今年からキャロウェイゴルフと契約した笹生優花(右)が、撮影のためカパルアを訪問。同じキャロウェイファミリーのザンダー・シャウフェレとグータッチで挨拶。

2022年1戦目の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で優勝したキャメロン・スミス。
一昨年、「ソニーオープン・イン・ハワイ」で優勝したが、ハワイの地で2勝目を達成。世界ランク1位のジョン・ラームとの一騎討ちを制しての激闘だった。

「4日間、とてもショットの調子がよかったんだ。でもジョンとの戦いはタフだったね」

今年の目標は、①世界ランクでトップ10に入ること、②フェデックスカップ最終戦「ツアー選手権」に出場すること、③プレジデンツカップに出ること、の3つだという。
2月27日の時点で世界ランクは10位。
他の2つに関してはこのままいけば、ほぼ間違いないだろう。
2019年「プレジデンツカップ」で活躍以降、調子を上げているロン毛のキャメロン。
今後の活躍も楽しみだ。

最終成績

優勝キャメロン・スミス−34
2位ジョン・ラーム−33
3位マット・ジョーンズ−32
4位パトリック・キャントレー−26
5位コリン・モリカワ
ジャスティン・トーマス
ダニエル・バーガー
−25
8位ケビン・キスナー
イム・ソンジェ
−24
10位キャメロン・デービス
マーク・リーシュマン
−23
12位ザンダー・シャウフェレ−22
13位松山英樹−21

Photo/Eiko Oizumi, Getty Images

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