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【ゴルフ上達のメンタル法】Vol.3~ 朝イチのティーショットを成功させる最善の方法~

ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!

ゴルフプレー中の約9割は、ショットにかかる時間ではなく、歩きながら思考している時間だと言われている。
プレー前やプレー中の心の持ちよう、考え方によっては大きくスコアを改善できると世界的なゴルフメンタルの権威ジョー・ペアレントは言う。

Joe Parent
(ジョー・ペアレント)

過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com

VOL.3 朝イチのティーショットを成功させる最善の方法

©Masaya Yasuhagira

1回くらいミスしても
1日ひきずらない

「朝イチのティーショットを打つとき、どんな心構えが必要か?」という質問を、ゴルファーから非常によく受ける。 

ラウンドの準備をする際に、いいスコアを出したいとか、ワクワク感を感じることもあれば、悪い結果に対する恐れや不安を持つこともあろう。
これらの思考はいずれも不確実な未来に関することであり、今現在の瞬間がおろそかになってしまうため有益ではない。
そんなことをしていると、ショットに対する集中力が損なわれてしまう。
そうではなく、禅の師匠が言う「不惑心」の精神を持ってラウンドを始めるべきだ。
結果はわからないのだから、今日はどんなラウンドになるんだろう? と思いながら、ゴルフ仲間と楽しい時間を過ごそうと心に決めた方がいい。

あるいは、最初から悪いショットが出ると、その日一日、苦労するだろうな、と恐れる人もいるかもしれない。
これは現実というよりは迷信である。最初のショットはうまく打てなくても、次第に体が回るようになってきたら、すごくいいプレーができたという人も多いはずだ。
「マスターズ」チャンピオンのジャッキー・バークは、「いつでもすぐにスタートできるよう準備しておこう」とアドバイスしていた。
それによってプレッシャーを取り去ることができるからだ。
毎回フェアウェイやグリーンを捕えることができると考えるよりも現実的であり、1回ぐらいミスをしても、それほどガッカリしなくて済むだろう。
最初のティーショットで失敗しても、ミスをひきずらないことが大切だ。 

避けたい場所を意識せず
ボールを運びたい場所に集中

朝イチのティーショットで、もう一つ最善の心構えがある。
トラブルが起こりやすい、避けたいと思う場所よりも、ボールを運びたい場所に意識を集中することだ。
そして、周囲に広い空間がある目標を選ぶことで、完璧なショットを打たなければ……というプレッシャーを取り去ろう。
ミスショットや悪いスコアを心配するのではなく、良いスイングの感覚や、目標に対してナイスショットのイメージに集中するのだ。
心にポジティブなイメージを抱くと、いい結果を生み出す最高のチャンスが巡ってくるものだ。

朝イチのティーショット
他人の目は気にしないこと

朝イチのティーショットでの緊張感について語る人は多いが、朝イチのティーショットを前に緊張している場合、ミスした時に周りの人間が自分のことをどう思うかを気にしているのかもしれない。
だが、心配は無用だ。他の人が見ていたとしても、あなたのティーショットのことなど気にしていない。
皆、自分が打つ順番が来た時にどうしよう、と考えているだけ。
経験豊富なゴルファーなら、1打だけであなたのゴルフを判断するようなことはしない。
だから自分自身や自分のゴルフを信じ、他人がどう思うかはあまり気にしない方がいいのだ。

緊張感は、「準備OKサイン」
エネルギーを与えてくれる

最初のティーショットでの緊張は、時に「ジッター」と呼ばれる。
過剰に緊張し、体にエネルギーがあふれている状態だ。朝イチのティーショットに向かう時に緊張を感じるのは、困難な状況に直面したときに放出されるアドレナリンが自然に流れ出た結果だ。
これは、狩猟民が食料を得るために獲物を追ったり、猛獣に食われないように逃げる準備をする際の、有史以前からの人間の持つ一面である。

エネルギーを封じ込めようとしても、緊張していないふりをしてもうまくいかない。
正しく理解し、それに対し正しく対処しなければならない。
これを教えるために、私は力強い大波をイメージさせることにしている。
波を止めることはできないが、波に乗ることを学ぶことはできる。
波と格闘し打ちのめされる者もいれば、波に乗ることを学ぶ者もいる。同じ波でも、得る経験はまったく異なるのだ。

最初のティーショットで、エネルギーの波に対処するには、緊張感を「興奮剤」と考えること。
心配の種と考えてはダメだ。優勝したことのあるゴルファーなら最初のティーショットで緊張した時、興奮剤と解釈する。
優勝トロフィーを獲得する狩りに出て、戦う準備ができていることを示しているからだ。
彼らは緊張の波に乗り、より一層集中できるように、そしてしっかり判断できるようにエネルギーを注入する。 

一方、経験の浅いゴルファーは、緊張感を失敗する危険にさらされていることを示すものと捉えてしまう。
その場合、波に飲み込まれ、不安な気持ちでプレーすることになるので、失敗するのではないかという予感が現実になってしまう。

あなたは、その時の感情をどちらに解釈するか、意識的に選択することができるが、どちらを選択するかは、あなた次第。
緊張感は、悪いプレーを心配しての不安をもたらすものではなく、うまくプレーする可能性を高めるための興奮剤であると自分に言い聞かせるのだ。

自分のスイングにそのエネルギーを注入するもう一つの方法は、ボールに向かって歩く直前に1~2回、深呼吸をすることである。
息を吐く際に、緊張や不安も一緒に体内から流れ出ることをイメージしよう。
そうすれば、自然と地に足が着き、落ち着くことができる。自信を持って自在にスイングすることが容易になるのである。 

最後に、物事を大局的に見ることが重要だ。
ラウンド中のたかが1打がたとえうまくいかなくても、この世の終わりではない。その日一日を楽しむためにユーモアのセンスを持つことだ。

Illustration/Masaya Yasuhagira
Photo/Eiko Oizumi

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