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【世界のゴルフ通信2020.5月】From Australia 故郷の山火事被害の一助に優勝とチャリティで応える選手たち

©Getty Images

昨年からのオーストラリアの山火事の被害は甚大で深刻だったが、ようやく2月ごろから大雨により終息したと伝えられている。

アダム・スコットの優勝も影に霞んだ山火事

オーストラリアの夏は、通常ならゴルフシーズンである。しかし、 昨年から今年にかけては、同国の東海岸を破壊した森林火災により、ゴルフの話題は二の次となった。

全国紙やテレビのニュースでは、オーストラリア史上最悪レベルの火災がもたらした破壊に関する見出しや放送が大半を占めていたのだ。

ニューサウスウェールズ州の南海岸は、火災によって損傷を受けたゴルフ場はなかったが、客を失ったことによる財政難からは免れることができなかった。

ナルーマGCの支配人であるドミニク・コノートン氏は「我々の最繁忙期はボクシングデーから始まります。町の人口が8000人から2万人を超えるほどに膨れ上がり、売上高(財務上)の65%を、ボクシングデーからイースターまでの期間に得ることになりますが、商機を逃せば、悲惨なことになるでしょう」と語っている。

復興活動の一助にトッププロたちが寄付

身体外傷や心的外傷が広がりつつあるが、プロゴルフのコミュニティがあらゆるレベルで迅速に対処したことで、あっという間に復興活動への寄付の申し出が押し寄せることになった。

率先して動いたのは、男子と女子の両ゴルフ界でトップクラスの選手たちだった。

メジャーを2勝している韓国のユ・ソヨンも個人名義での高額寄付者の一人である。

この元世界ランク1位の人気選手は、VICオープン(2位タイ)とオーストラリア女子オープンで獲得した賞金の半分を森林火災救済基金に寄付した。獲得賞金額は10万豪ドル近くになるが、ゴルフ界で集められた資金の、ほんの一部である。

その他にもLPGAの選手数名が寄付しており、サラ・ケンプ、ジェシカ&ネリー・コルダ姉妹、マリナ・アレックス、ティファニー・ジョー、メリッサ・リードなどが名を連ねている。

男子ゴルフ界からは、PGAツアーのマーク・リーシュマンとキャメロン・スミスが先陣を切り、1月のソニーオープンでバーディ1回につき500ドル、イーグル1回につき1000ドルを寄付すると宣言した。

その他にもマット・ジョーンズ、ルーカス・ハーバート、ザック・マレー、さらに日本ツアー選手のマシュー・グリフィンなど、男子プロたちが、オーストラリアの夏季トーナメント中に復興資金を寄付すると申し出た。

また、プレジデンツカップは、選手たちの寄付が12.5万ドルに達しない場合は残りを寄付すると申し出ており、寛大な姿勢を示した。

最終的には、110万米ドル超を調達する結果となった。

©Eiko Oizumi

12月にメルボルン郊外で行われたプレジデンツカップの世界選抜チームは、今回の山火事の被害に対しての寄付を行なった。

今季、世界の舞台で活躍する豪州勢

オーストラリアのゴルフファンの気持ちは複雑だ。

森林火災による壊滅的破壊で騒がれているが、一方世界の舞台では同国の選手たちが活躍している。

オーストラリアの男子選手は、1月の初めからPGAツアー、ヨーロピアンツアー、アジアンツアーの6つのトーナメントで勝利し、ルーカス・ハーバート、ウェイド・オームスビー、ミンウー・リー、キャメロン・スミス、マーク・リーシュマン、そしてアダム・スコットが今年最初の6週間で優勝トロフィーを掲げている。

©Getty Images

今回の山火事で何万というコアラが焼死したと伝えられているが、中には保護されたものも多い。

Text/Rod Morri

ロッド・モリー
(オーストラリア)

ゴルフニュースのウェブサイト「オーストラリアゴルフ」のコラムニストで、長年に渡り、豪州ゴルフツアーを取材。

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