世界のゴルフ通信・オーストラリアのゴルフ事情を紹介します。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、オーストラリア全土のゴルフ施設のうち、状況の不安定な施設が多数閉鎖されると言われています。
メルボルンのゴルフ場で。不要不急の外出は避け、もし営業中のゴルフ場でプレーする場合でも2サムで行なうよう要請されている。
財政面で大ピンチ!
オーストラリアゴルフ
世界中を席巻している新型コロナウイルスのパンデミックにより、オーストラリア全土のゴルフ施設のうち、状況の不安定な施設が多数閉鎖されるのはほぼ確実だと言える。
2013年にオーストラリアの運営組織は、50%以上のゴルフクラブが財政面で圧迫を受けていることを明らかにしたが、その状況は7年間でほとんど変わっていない。
そしてコロナウイルスは、世界各地で見られるとおり、オーストラリアの生活とビジネスのあらゆる面に多大な影響を及ぼしており、ゴルフ業界も財政的現実から逃れることはできないだろう。
ビクトリア州には、ロイヤルメルボルンやキングストンヒースなど、世界的に有名なサンドベルトコースがあるが、今回の危機に際して、正式にゴルフの禁止を表明したオーストラリア唯一の州である。
その他の法域に目を向けると、ゴルフはエクササイズ活動であるとみなされていることから、厳しい規制の中でも継続して行なうことが認められている。
しかしほとんどのコースでは、2人グループでのプレーのみが許可されており、ゴルフカート1台を1人しか利用できないようになっている。
また、メンバーとゲストのみプレーが許可されているコースが多い一方で、メンバー以外のプレーを認めているところもある。
グリーンフィーによる収益が得られるのはありがたいことだが、ほとんどのコースは、クラブハウスでの飲食業務に大きく依存しているため、この収益だけでは十分とは言えない状況である。
こうした施設は閉鎖されたままであり、営業の制限緩和を求める圧力が高まってはいるものの、再開の見通しは立っていない。
オーストラリアのゴルフ施設の大部分はメンバー制だが、会計年度(オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年6月30日まで)が終わった後には、別の問題が浮かび上がってくることだろう。
年間利用の申込期限は2カ月もないため、かなりの人数のメンバーが退会するだろうとの懸念を抱いている者は多い。
年会費は、ほとんどのゴルフ場の運営費を支える上で重要であるため、この分野での減収は致命的となる可能性だ。
各州のトップクラスのコースは存続できるだろう。
しかし、オーストラリアにおいてゴルフの生命線となっているのは、小都市の郊外にあるセミプライベートのコースなどであり、今やこうした施設が最大の危機にさらされているのである。
バンカーをならすレーキは他人との間接接触をもたらすため、全て撤去されている。
金属製のピンの上では最長9日間生きられるというコロナウイルス。ピンを抜かないプレーが推奨されているが、このようにウレタンを巻きつけているコースもある。
カップの中にウレタンを入れ、浅くすることでカップ内に深く手を入れなくてもボールを拾えるように工夫。
今年のオーストラリアの試合は無開催!?
世界中で主要なイベントの中止や延期が相次いでいるが、今年のオーストラリアンツアー(ISPSハンダPGA TOUR・オブ・オーストラレイジア)でも延期や中止が相次いでいる。
ただし、8月20日から始まる「テーラーメイド・ビルディング・サービスNT PGA選手権」などの試合に関しては、中止や延期の発表もないので、今大会を皮切りに、試合を再開するようである。
だが、オーストラリアンオープンや全豪プロに関しては、いずれも開催の可能性については明らかにしていない。
トップアマチュアたちのイベントは、少なくとも6月30日までは中止されており、日程が延期されることが予想される。
ゴルフはプロスポーツであるのと同時に、アマチュアにとってのレクリエーションでもあるが、今回のコロナウイルス感染拡大によって状況が一変してしまった。
ゴルフを取り巻く状況は、第二次世界大戦以来、世界が直面したことがない最大の脅威によって永久にその姿を変えてしまうかもしれない。
昨年の12月、全豪プロで優勝したアダム·スコット。今年の同大会の開催の中止・延期については発表されていない。
Text/Rod Morri
ロッド・モリー
(オーストラリア)
ゴルフニュースのウェブサイト「オーストラリアゴルフ」のコラムニストで、長年に渡り、豪州ゴルフツアーを取材。