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【PGAツアーレポート 】アーノルド・パーマー・インビテーショナルでティレル・ハットンが米ツアー初優勝!

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コロナウイルスの大流行直前に開催された幸運なトーナメントでティレル・ハットンが米ツアー初優勝を果たしました。

アーノルド・パーマー・インビテーショナル
2020年3月5日~8日(フロリダ州オーランド)

©Eiko Oizumi

ティレル・ハットン(イギリス)

1991年10月14日生まれ。173cm、73kg。欧州ツアー4勝、米ツアー1勝。2018年ライダーカップ欧州選抜チームメンバー。

ティレル・ハットン、米ツアー初優勝!

コロナウイルスの感染拡大を避けるため、現在PGAツアーは数多くの試合を中止としているが、そのコロナの波に飲まれる前の最後の試合がアーノルド・パーマーインビテーショナル(以下API)だった。

その大会で優勝したのは英国人の28歳、ティレル・ハットン。過去欧州ツアーで4勝を挙げ、2018年のライダーカップには欧州チームのメンバーの一人として出場した彼が、米ツアーで初優勝を遂げた。

「PGAツアー、しかもこんなに有名なトーナメントで優勝できるなんて信じられない! 子供の頃からテレビで観ていた試合に勝って、その優勝トロフィの横に座っているなんて……今回の優勝で3年シード権を獲得できて本当に嬉しい」

彼は昨年の11月、欧州ツアー・ターキッシュエアラインズオープンで優勝した後で右手首の手術に踏み切った。

そして3ヶ月間、戦線離脱を余儀なくされたが、その後ツアーに復帰したのは2月末のWGCメキシコ選手権。

結果は6位タイと上々の出来だった。

その後1週間のオフを取り、今大会で優勝である。

試合に出られなかった時、さぞかし熱心にリハビリや練習に勤しんでいたのかと思いきや、「たくさん赤ワインを飲んで、Xbox(ゲーム)をやっていたよ」とハットン。手術はしたものの、秋からの好調ぶりはキープしていたというわけだ。

しかもオーランドには第2の自宅があり、自分のベッドで眠ることができ、心身ともにリラックスできたことも大きい。

昨年の5月からイギリス人キャディのミック・ドナフィがバッグを担いでいるが、彼との相性もいいようで、ターキッシュエアラインやAPIのようなビッグイベントを二人三脚で勝利している。

彼は欧州ツアーを主戦場としているが、今後は米国に腰を据えてプレーする可能性もある。今後の活躍に注目だ。

©Eiko Oizumi

アーノルド・パーマーなき今、ホストを務める孫のサム・サンダースと握手するハットン。

©Eiko Oizumi

ハットンのフィアンセ、エミリー・ブライシャーさんも祝福。ハットンとともにツアーを転戦している。

郵便料金が変わっても追加料金を払わなくてOKな切手!

アーノルド・パーマーの切手が発売!

米国郵便公社(USPS)がアーノルド・パーマーの切手を発行!

トーナメント会場でもその記念切手が販売された。

©Arnold Palmer Invitational

1964年全米オープンで撮影された写真が使用されている。

生前、手紙を送ることも多かったパーマー

米国郵便公社(USPS)がこのたび、アーノルド・パーマーの切手を発行した。

そのお披露目セレモニーがアーノルド・パーマーインビテーショナル(以下API)の会場で行なわれ、USPS理事やパーマーの孫でPGAツアーメンバーのサム・サンダース、パーマーの次女で大会運営にも携わっているエイミー・サンダース(サムの母)らが出席。

「アーノルド・パーマーは偉大なアメリカ人であるだけでなく、すばらしいゴルファーだった。

ミスターパーマーの存在はゴルフ界でも革命的。ゴルフという領域を超えて彼は偉大な人であり、理想的な人物だ」とUSPS理事のローマン・マルチネスⅣ氏は語った。

また、サム・サンダースによれば、パーマーは生前、よく手紙を書いていたらしい。

ファンに感謝の手紙を送ったり、あるいは試合で勝ったプロ仲間に祝福の手紙を書いて送っていたという。

「今回、このように自分の切手を作ってもらうことができて本人も喜んでいると思います。USPSの皆さん、ありがとうございます。我々家族にとっても光栄なことです」とサンダースは記者会見でコメントした。

なお、この切手はトーナメント会場でも臨時に販売されていたが、USPSのウェブサイトでも購入可能(米国以外には発送していない)。

1枚55セント(約60円)で、1スリーブに切手が20枚となっている(20枚で11ドル)。

また、この切手には「フォーエバー」と書かれているが、これは郵便料金が値上がりしても、追加料金を払うことなく郵送できるのだという。

とても便利なシステムだ。

日本ではもちろん使用することはできないが、シールになっているので、ゴルフ好きの友人宛の手紙の封かんシールなどに使うとおしゃれかもしれない。

©Eiko Oizumi

会場に設置された切手販売所。今では手紙を書くこともあまりなくなったが、記念に買って帰るギャラリーも多かった。

©Arnold Palmer Invitational

毎年、大会のオープニングセレモニーではパーマーの個性的なスイングを真似してプロたちが練習場でショットを放つ。

©Arnold Palmer Invitational

アーノルド・パーマーの郵便切手のお披露目セレモニー。左はパーマーの次女、エイミーさん。サム・サンダースの母親だ。

©Arnold Palmer Invitational

パーマーの孫でPGAツアーメンバーのサム・サンダース。祖父亡き今は、トーナメントのホストとして活躍している。

プロゴルファーは身だしなみも大事

アーノルド・パーマー

なんとロッカールームに床屋さん!?

©Arnold Palmer Invitational

ロッカールームに臨時に特設された理髪店。ジョエル・ダーメンが利用した。

パーマーはゴルフ界のファッションリーダー

「素足にローファー」といえば、某ゴルフ大好き芸能人の代名詞だが、ゴルフ界でもこの履きこなしを昔からパーマーは実践していた。

生前、ピンクや赤のカーディガンを着こなし、ローファーを履くときは素足と、ゴルフ界のファッションリーダーは常にトレンドを作ってきた。

今もリッキー・ファウラーはAPIではパーマーに敬意を払い、ピンクのカーディガンを着用し、トラッドにゴルフウエアを着こなしている。

そしてパーマーは常に「プロゴルファーはビジネスマンのように振舞わなければいけない。髭を剃り、髪を切り、身だしなみを整えることが大切だ。

そういう姿勢がコースで会うギャラリーやスポンサーたちに対して〝あなたは特別だ〟という印象を与えるからだ」と語ってきた。

そこで今から3年前にパーマーファミリーは大会期間中、臨時の理髪店をロッカールームに開設。

無料で選手や関係者が利用できるようにした。

普段、トーナメント転戦で理髪店に行けない選手たちも、ここでヘアカットしてこざっぱりできるように、という粋な計らいである。

きっとこのアイデアを天国のパーマーも喜んでいるに違いない。

主人なき今もベイヒルにアーニーズ・アーミーが大集合!

「アーニーズ・アーミー」とはパーマーの熱狂的なファン集団を指すが、パーマーが3年半前に亡くなった今も、トーナメントにはビッグネームたちが参戦し、アーニーズ・アーミーたちが主人なきベイヒルの庭に集結している。

今年は過去8勝を挙げているタイガー・ウッズが腰痛のため欠場したが、ブルックス・ケプカ、ローリー・マキロイ、フィル・ミケルソンらが参戦、大会を盛り上げた。

人を惹きつけるプレースタイルと温かみのある人柄で、今も多くの人に愛されるアーノルド・パーマー。彼の遺志を継ぐ選手たちが、今後のゴルフ界を盛り上げていく。

©Eiko Oizumi

パーマーの孫のサム・サンダースが手にしているのはキャロウェイ特製のアーノルド・パーマーヘッドカバー。赤いキャデラックの前に佇むパーマーの姿が刺繍されている。

©Eiko Oizumi

1番ホールの後ろにあるパーマーの巨大な銅像。この前で記念撮影するのも大会観戦の楽しみの一つ。

©Eiko Oizumi

パーマーの傘のロゴに使用されている赤、緑、白があしらわれたゴルフウエアでカッコよく観戦するギャラリー。

毎年PUMAは、APIウィークになるとアーノルド・パーマーコラボグッズを製作。今年のキャディバッグのデザインはこんな感じ。

©Eiko Oizumi

大会期間中は練習場の片隅にパーマーのキャディバッグが設置され、選手たちの練習を見守っている。

©Eiko Oizumi

2007年以降、「ベイヒル・インビテーショナル」の名称を「アーノルド・パーマーインビテーショナル」に変更。

©Arnold Palmer Invitational

生前は大会中も早朝に犬の散歩を行い、日中はカートで選手たちのプレーを見守ったパーマー。

©Eiko Oizumi

ボス亡き今も、ボスのデザインコンセプトに忠実に則り、ゴルフ場設計の仕事に励むデザインチーム。

©Eiko Oizumi

クラブハウス2階にあるパーマーのオフィス。椅子にはお気に入りのカーディガンがかけられ、今にも本人が帰ってきそうな雰囲気だ。

Text/Eiko Oizumi

大泉英子

ゴルフ雑誌の編集長を経て現在はフリーライター、ゴルフイベントのプロモーターなども手がける。ゴルフ・

グローバル編集長。海外取材は20年以上。全米ゴルフ記者協会会員。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images,Arnold Palmer Invitational

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