• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. ISPSゴルフイベント >
  3. 【ゴルフと私】第26回 あの世へ旅立った、恩義と礼節の人"中...

【ゴルフと私】第26回 あの世へ旅立った、恩義と礼節の人”中山徹プロ”を偲んで試合を開催

昨年10月に行なわれた「中山徹記念ゴルフトーナメント」で優勝した選手たち。男子は田中章太郎、女子は橋添穂、シニアは柳沢伸祐(2位の芹澤大介が代理出席)、グランドシニアは加瀬秀樹、ゴールドシニアは伊藤正己が優勝。©ISPS
2015年「PGAフィランスロピーシニアトーナメント」のスーパーシニアの部で優勝した中山徹氏(右)とISPSの半田晴久会長。©日本プロゴルフ協会
「雑草軍団」と呼ばれるグループを率いていた中山氏。メンバーには加瀬秀樹、宮瀬博文、丸山大輔、室田淳、甲斐慎太郎らがいる。©日本プロゴルフ協会

2024年10月23日~25日にかけて、神奈川県の箱根湖畔GCで、ISPSの専属プロとして長年活動していた、中山徹プロを偲ぶ「ISPS 中山徹記念ゴルフトーナメント」を開催しました。

「偲ぶ」と言ったのは、この年の4月に中山プロは、「肺アスペルギルス症」という難病で、77歳の生涯を閉じたからです。

大会には、生前中山プロにお世話になったり、親交のあった人、ISPSの契約プロのシニア、男女レギュラーのプロゴルファー、総勢112名が追悼に駆けつけました。
中山プロが、いかに大勢のプロ達に、慕われていたかが解ります。
かくいう私も、彼とは特別な付き合いがありました。
実は、今から18年前の2007年に、ゴルフ関係のある人物から彼を紹介されました。
当時中山プロは、60歳を理由に、それまでのゴルフ場との契約を、打ち切られたのです。
還暦を迎えたプロゴルファーに、世間は冷たいのです。紹介者は、ISPSとの契約を仲介してきたわけです。

私は、彼と面談しました。でも、彼は媚びを売ることもなく、卑屈にもなるわけでもない。
むしろ、武骨で口は悪く、乱暴な印象さえありました。
ですが、それでかえって素顔が見え、この人物は裏表がなく、むしろ男気に溢れていると直感しました。
彼が、「雑草軍団」と言われるグループのリーダーで、大勢のプロの面倒を見てることも聞いていました。
話してるうちに、彼が困っている弟子に、お金を工面し、結果的にその弟子が自殺した事や、他にも、いろいろ裏切られたことを聞きました。
でも、彼はそれで相手を責めることもなく、そんなもんだと、達観していました。
そこで、私は彼に言いました。
「今まで人を面倒見た分、また人に裏切られたり、ガッカリさせられた分、今後は、私が何倍にもして報いてあげるから、安心してください」と。

その後、彼は自分のことより、弟子で困ってるプロを紹介し、私は彼らを受け入れました。
そうした、恩義を忘れずに、彼は誠心誠意ISPSに尽くしました。彼の父親は京大出身で、姉の女子プロボウラー、中山律子さんと共に、頭はもともと良いのです。
中山徹さんの縁で、中山律子さんとも親しくなり、ボウリング業界のスポンサーをする事になったのです。それが、今日まで生きています。

ビジネスや世界のVIPとの交流を通じて、人間社会に必要なのは、「常識」「良識」「礼節」であり、また「信義」「礼儀」「恩義」を忘れないことです。
私は、ずっとその信念を貫いています。
子供の頃からゴルフばっかりのプロゴルファーには、これが欠落してる人が多いのです。
だから、契約が切られるのです。
中山プロは、サラリーマンの経験があり、ここが良く解った人でした。
だから、彼に最大の敬意を表し、またその大切な事を伝えるために、3000万円の賞金を出し、追悼大会を催したのです。
能楽場では、良くある追悼会ですが、ゴルフ業界ではあまりないそうです。
こうした賞金を出し、縁ある人たちが楽しんだので、彼を明るく見送れました。
本人も喜んでいることでしょう。

Photo/ISPS、日本プロゴルフ協会

関連する記事