
日本を代表する名門コースがオリンピック仕様になると何が違うのか、
専門家たちに直撃インタビュー!
セッティングはメジャーと同じ。
選手たちに技術を最大限披露させる
欧米ツアーで培った30年の経験を五輪会場に生かす

Q.メジャー大会と五輪のコースセッティングでは何か違いがありますか?
僕たちは30年以上、この仕事に携わり、「全米プロ」などのメジャーや「ライダーカップ」でもセッティングを担当していますが、五輪もメジャーと同様に扱っています。コースデザインと設計をもとにセッティングを考え、選手たちがスキルを最大限披露できるよう、時にタフでチャレンジングであると同時に、おもしろいセッティングを目指しています。
Q.ラフの長さやグリーン周りの刈り方に、何か取り決めはありますか?
ラフの長さは3インチくらいで、ボールが見えるか見えないかくらいに刈っています。ラフに入った場合、スピンコントロールが必要ですね。グリーン周りでは長い芝から短い芝に向かって傾斜をつけてカットしています。
Q.リオ五輪の経験から学んだことはありましたか?
リオのコースは新しく設計されたものなので、木がほとんどなく、霞ヶ関CCとは全く違うものです。このコースは伝統的なコースを現代化したもので、いろいろなグリーン形状や傾斜がありますね。ホールロケーションもいろいろ考えられます。日本のゴルフの質の高さを感じました。コンディションに関しては文句のつけようがありません。最高ですね。
Q.グリーンの速さと硬さは?
男女2週間のグリーンの速さは、スティンプメーターで11フィート6にしています。グリーンの傾斜を考慮して、適正なスピードが出るようにしています。硬さ(コンパクション)は土地柄もあり、雨量、暑さ、湿気も関係しているので、そこに注意しながら調整し、チャレンジングなコースセッティングを目指しました。
女性ならではのきめ細やかなカップ切り

世界のメジャー大会を見ても、女性がカップ切りを担当する例はさほど多くないが、東京五輪ゴルフでは、アコーディア・ゴルフの磯村陽子さん(入社12年目)、尾崎めいさん(入社8年目)の2人の女性がカップ切りを担当していた。タイガー・ウッズが優勝した「ZOZOチャンピオンシップ」や米シニアツアー「JAL選手権」でもコース管理の経験がある。毎朝5時には作業に入り、2人でカップを切っていくがルーティーンだが、1つのカップを切るのに約10分かかるという。カップ切りで最も大事なことは「個性が出ないよう、忠実に切ること」。「女性ならではのきめの細やかさはあると思う」と自信をのぞかせた。
Text/Eiko Oizumi