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【世界のゴルフ通信】From Asia アジアンツアーの劇的な復活劇とは裏腹に欧米上陸に賛否両論

アジアンツアーの欧米上陸に賛否両論

「インターナショナルシリーズ・タイランド」でアジアンツアー初優勝したキム・シバン。日本からも木下稜介(5位)、久常涼、桂川有人(ともに32位タイ)が出場していた。

アジアンツアーのコロナ禍での最大の困難

アジアンツアーがコロナパンデミックの間、いかに深刻な被害を受けたかはよく知られている。
間違いなく、世界の主要なゴルフツアーの中で最も壊滅的な打撃を受けたはずだ。
アジアンツアーのコミッショナー兼CEOであるチョ・ミンタン氏の最善の努力にもかかわらず、国境を越えて転戦するという難題はなかなか解決できず、そのためアジアンツアーは21か月、選手が生計を立てる機会を奪われる不毛の時期を過ごすこととなった。

トレバー・シムズビーが「バンダル・マレーシアオープン」で優勝したのは、2020年3月7日のことだった。
それ以降、パンデミックによる混乱によって、アジアンツアーの2020年シーズンは、実際には2022年1月中旬まで続いた。24か月間にわたって開催されたわずか8試合の結果をもとに、賞金ランキングが作成されたのだ。
過去2年間、ジェットコースターのような日々を過ごしてきたチョ氏には、この4か月の成果、そして2022年の残りの展望を満足感を持って振り返る資格があるだろう。

「コロナパンデミックから脱却し、 サウジからの支援を受けられるとは思ってもみませんでした。このように大きな安定感を持ってパンデミックから抜け出せたことは、我々にとって非常に幸運なことです」

今年の2月から4月末にかけて、賞金総額500万米ドル(約5億7500万円)のアジアンツアー開幕戦「PIFサウジ・インターナショナル」や、「インターナショナルシリーズ」の第1戦、タイのブラックマウンテンGCでの150万米ドル(約1億9500万円)のビッグイベントなど、6試合が開催された2022年のアジアンツアーのスタートについて、以上のように語った。

アジアンツアーに韓国・日本の試合も復活

2年間の休止を経て、今月(5月)には、韓国での「GSカルテックスメキュンオープン」(韓国PGAツアーの公認)と日本での「アジア・パシフィックオープン・ダイヤモンドカップ」(JGTO公認)がアジアンツアーのスケジュールに復活した。
それ以外の4大会については、日程や会場が明らかにされているのみである。
しかし、最終的に2022年は25試合近くが開催されることになりそうだ。
2022年の後半には、韓国、ベトナム、インドネシアでインターナショナルシリーズが開催され、その後中東に向かい、中国、シンガポール、香港でクライマックスを迎えることとなる。

84週間も大会から遠ざかっていた間に表面化した不安とは全く対照的に、この先には何があるのかというワクワクするような期待感は、アジアンツアーのシニアマネジメントチームの舞台裏での仕事を物語るものだ。

「コロナパンデミック中は、振り出しに戻り、選択肢を模索し、さまざまなスポンサーと話し合い、より大きく、より強くなって戻ってくる方法を検討する時期だったのかもしれません。結果的にそれが可能になり、よかったです」

サウジ政府系の資金約390億円がアジアへ

©Eiko Oizumi

「PIFサウジ・インターナショナル」(2月・サウジアラビアで開催)の会場で、インターナショナルシリーズに関する発表を行なったLIVゴルフのグレッグ・ノーマン(右)とアジアンツアーコミッショナーのチョ・ミンタン氏。

彼が満足している主な財源の一つは、LIVゴルフ・インベストメンツ(以下リブゴルフ)の支援だ。
リブゴルフの支援によりアジアンツアーは、より多くのプレー機会を会員に提供し、賞金額も大幅にアップしている。

リブゴルフは、毎年10回開催される賞金総額150〜200万米ドルのインターナショナルシリーズを通じて、10年間で3億米ドル(約390億円)を投資することを約束している。
世界最大かつ最も影響力のあるサウジ政府系ファンドの一つであるPIFは、リブゴルフの大株主だ。

「インターナショナルシリーズは、アジアンツアーの一部だと感じています。何十年もの間、私たちが待ち望んでいたもの、そしてアジアンツアーの新基準なのです。かつてのアジアンツアーには、稀に100万〜200万米ドルの大会もありましたが、少額賞金の試合の集まりでした。しかし、これからのアジアンツアーは100万米ドル以上の大会、ハイレベルな大会、素晴らしい目的地やロケーションが標準となり、より競争が激しくなっていくでしょう」とチョ氏は言う。

「インターナショナルシリーズ」第2戦は、6月初旬にロンドン近郊のスレイリーホールホテル・スパ&ゴルフリゾートで開催される。
タイとイギリスの「インターナショナルシリーズ」の成績による、ランキング上位3選手がこの直後に行なわれる「リブゴルフ招待」に出場でき、イギリス大会後の時点でアジアンツアーの賞金ランキングのトップと、2020~21年の賞金ランキング上位2選手も出場権を獲得できることになっている。

「これはアジアンツアーにとって大きな前進であり、ラッキーなこと。アジアンツアーの賞金ランクのためにプレーするだけでなく、年間を通して非常に賞金額の高い試合への参加も可能になるのです。アジアンツアーは現在、目覚ましい成長を遂げており、その結果、メンバーたちには世界の新しい地域でのプレーの機会を提供することが可能になっています。」

欧米の地でアジアの試合を開催することに不満を抱く人たち

6月初旬に開催される「インターナショナルシリーズ」第2戦は、ロンドン近郊のスレイリーホールホテル・スパ&ゴルフリゾートが舞台となる。

だが、アジアンツアーが無謀にもイギリスで試合を開催することに憤慨し、承認しない人もいる。
都合のいいことに、欧米ツアーが長年にわたってアジアの地で試合を開催することに何のためらいもなかったことを、彼らは忘れてしまったのかもしれない。
このように、立場が逆になった今、その反応は完全に予想通りだった。

リブゴルフCEOであるグレッグ・ノーマンは、「アジアンツアー初のイギリスでのシーズン第2戦を迎えるインターナショナルシリーズで、私たちはすでに境界線を打ち破っていることになる。それは、ゴルフというゲームを世界的に成長させるための、当初からの私たちの使命であり、約束を果たせることを誇りに思っています」と語っている。

イギリスの著名なゴルフ関係者数人が、「インターナショナルシリーズ・イングランド」開催を祝福し、勇気を出して公の場で発言していることもノーマンを力づけている。
1975年から2004年まで欧州ツアーのエグゼクティブディレクターを務めたケン・スコフィールド氏は、スレイリーホールでの発表について、SNS上で次のように語っている。

「長年にわたってアジア全域で欧州ツアーのメンバーを温かく迎えてきたアジアンツアーを、ついに欧州の地に迎えることができるのは素晴らしいこと。皆さん、よくやりましたね」

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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