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【世界のゴルフ通信】From USA PGAツアーとLIVゴルフが対立?PGAツアーの厳しい通達に驚愕

PGAツアー vs LIVゴルフ!PGAツアーからの厳しい通達に関係者も驚愕

©Getty Images

PGAツアーメンバーのLIVゴルフ行きに対して、厳格な通達を発したPGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏。「トラベラーズ選手権」での会見では、来季からツアーの賞金総額を73億円増額し、LIVゴルフに対抗する意識をあらわにした。

©Eiko Oizumi

PGAツアー永久シードプレーヤーのフィル・ミケルソンと、PGAツアーで通算24勝を挙げているダスティン・ジョンソンらは、6月にロンドンで開催されたLIVゴルフイベントに出場したことで、PGAツアー出場停止処分となった。

©Eiko Oizumi

「我々は、選手たちに戦いの場所と相応の賞金を提供したいだけ。PGAツアーは選手たちに戦う場所を提供する団体であるべきなのに、それを妨げていることを遺憾に思う。新しい時代の幕開けだ」とLIVゴルフ・インベストメンツ代表のグレッグ・ノーマン。

大会スポンサーにも知らされていなかった事実

6月9日、「LIVゴルフ・インビテーショナルシリーズ」の開幕戦が始まった直後に、PGAツアーからある通告が発せられた。

PGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏は、LIVゴルフシリーズに参加した選手48人のうち、PGAツアーメンバーである17人全員を出場停止にし、PGAツアーをすでに脱退している選手は、スポンサー推薦枠での出場も許さないとしたのだ。

スポンサー推薦枠は通常、PGAツアーの大会では毎週8枠のうち4枠が無制限とされ、つまりどの選手にも推薦枠が与えられることを意味するため、抜け穴となる可能性があるとみられていた。

数年前、PGAツアーは、スポンサー推薦枠はすべて承認する必要があるという規則を設けたため、ベテラン選手が、推薦出場を却下されるようなことは一度もなかった。
しかし、今は違う。例えば、「ロケットモーゲージクラシック」がダスティン ・ ジョンソンを招待したくても、それは禁止されている。

大会関係者は、この通達内容に驚いたという。スポンサーやトーナメントディレクターに事前に知らされていなかったのだ。
ある大会関係者は、「何かが起こることはわかっていたが、PGAツアーメンバーでなくなった選手を排除するのはどうなんだろうと思う。トーナメントが可能な限り最高の選手を集めたいと思うのは当然のことだからね」と語った。
彼は、たとえそれが正しいと理解できるとしても、この指示がタイトルスポンサーやトーナメントディレクターに事前に提示されていなかったことに驚いたそうだ。

そして今もまだ、スポンサーサイドへの同意を得るための打診はない。
モナハンの通達は厳しいもので、出場停止処分がいつまで続くのかも明言されていない。
将来、LIVゴルフ行きを考えている選手に対し、PGAツアーに戻る道はそう簡単ではない、という明確な警告である。

LIVゴルファーたちの反応はさまざま

フィル・ミケルソンは、PGAツアーの生涯シード選手として、その名誉を維持し、自身が望む時にプレーすることが許されるべきであると述べ、PGAツアーのことについてはコメントしないと述べた。

セルヒオ・ガルシアは、DPワールドツアー(欧州ツアー)の試合に出場し、「ライダーカップ」への出場資格を得ることをいまだに望んでいるが、LIVゴルフに移籍し、満足そうだ。

「僕がPGAツアーから脱退した理由の一つは、法的な争いに巻き込まれたくなかったからです 。僕はいろんな理由で、ここにいることを非常にうれしく思っている。自分が大好きなゴルフができるし、家族ともっと会えるようになり、できる限り多くの時間を過ごすことができるようになる。それに経済的に良い暮らしもできるんです。僕にとっては、メリットがある。とてもわくわくしています」

グレアム・マクドウェルは、この通達に異議を唱えた。
彼がPGAツアーのメンバー資格の返上を申し出たのは、ラウンド開始のわずか30分前。
彼は出場資格停止について次のように語った。

「それは、自分が望んだことではない。私はその通達がスポーツにとって健全であるとは思わない。我々は独立した契約者であり、世界中のどこでも、自分たちが望む場所で大会に参加し、プレーすることが許されるべきだ。私自身、この20年間、誰からの反対もなく、世界中でプレーしてきた。我々には、世界中の大手のツアー(PGAツアーなど)が賛同しない、魅力的な選択肢(LIVゴルフ)がありますが、PGAツアーの通達にはがっかりしています。LIVチームは今後、起こり得る問題を回避できるように素晴らしい仕事をしてくれています」

「私はPGAツアーのメンバーであり続けたいと思っていた。というのも、私はメンバー資格を返上する必要があるとは思っていなかったからです。非常に難しい決断でした。正直なところ、その方が不必要に何かに巻き込まれることもなく、訴訟沙汰にもならずに済みそうだと感じたので、用心に用心を重ねて返上したのです。しかし、先ほども言ったように、私は返上したくなかった。PGAツアーのことは大好きだし、私にとって素晴らしいものだった。今回のことは、ゴルフ人生において、別の機会を得ることができるかどうかということなのです」

 イアン・ポールターは通達に対し、驚いた様子だった。
彼は、いまだPGAツアーのメンバー資格を返上していない。

「私は絶対に控訴するつもりだ。納得がいかない。私は何も悪いことをしたとは思っていないので、メンバー資格を返上しなかった。過去25年間、世界中でプレーしてきたけど、LIVゴルフもその中の一つ。彼ら(PGAツアー)がこれは違うものとして捉えているとしたら、残念なことだ。権力闘争のようで、ただただ残念だ」

 一方では、ブライソン・デシャンボー、パトリック・リード、ブルックス・ケプカ、ポール・ケイシーらがLIVゴルフイベントに参加する契約を締結した。
彼らもまた、PGAツアー出場停止となるが、今後どのような展開となるのだろうか。

Photo/Getty Images

Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

Photo/Getty Images

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