日本女子アマチーム2022
「クイーン・シリキットカップ」優勝!
5月にシンガポールで行なわれた「クイーン・シリキットカップ」で優勝したチームジャパンの女子アマとJGAスタッフ。中央は、昨年の「アジア・パシフィック女子アマ」で優勝した橋本美月。
閉会式の会場でダンスを披露する橋本。
R&Aのマーチン・スラマー氏も「『アジア・パシフィック女子アマ選手権』は、アジア地域の女子アマのゲームの頂点にあるもの。将来プロ入りを目指す選手たちに機会を与えたい」と語っている。
今年で42回目を迎えた「クイーン・シリキットカップ」。かつては宮里藍、笹生優花、西村優菜らも出場したアマチュアの大会だ。
タイのアマタスプリングでは、男子アマの試合を開催。2012年に行なわれた「アジア・パシフィックアマチュア選手権」で最年少優勝した当時14歳のグァン・ティンランは、「マスターズ」に出場し、タイガー・ウッズと練習ラウンドをした。
トップアマも被害を受けたコロナパンデミック
コロナパンデミックが世界中の何千人ものプロゴルファーに与えた影響は、よく取り上げられているが、2年以上にわたる数々のロックダウンや厳しい移動制限により、プレーの機会や生活の糧を失うというダメージを受けた。
アマチュアへのゴルフのレッスンに頼って生計を立てているティーチングプロも、ウイルスの蔓延を懸念してゴルフ場を閉鎖し、政府の指示により、数か月間その職務を遂行することができない時期を過ごして来たのだ。
エリートアマチュアにとっても、この30か月は非常に厳しいものだった。
ゴルフのキャリアアップのために、せっかく立てた計画を中断せざるを得なくなり、大きな不安と混乱に見舞われた。
単にトーナメントへの出場が不可能になっただけでなく、多くの人が(国内外を問わず)大学のプログラムへの参加をキャンセルせざるを得なくなったのだ。
昨年秋、中東で開催された「アジア・パシフィックアマチュア選手権」(AAC)と「アジア・パシフィック女子アマ選手権」(WAAP)では、厳しいバブル方式が採用され、移動の自由が損なわれていたが、今年の5月に、シンガポールで「第42回クイーン・シリキットカップ」(「アジア太平洋女子招待ゴルフチーム選手権」としても知られている)が開催された。
ようやくアジアの地で、トップアマの大会が開催できるようになったのである。
さらに、アジア太平洋ゴルフ連盟(APGC)は、2022年の「AAC」と「WAAP」、および「アジア太平洋男子アマチーム選手権」(ノムラカップ)の日程を決定した。
APGC開催の「アジア太平洋ジュニア選手権」と「アジア太平洋シニア選手権」については、近々さらなる発表が予定されている。
日本女子アマの快挙!
橋本美月、団体戦と個人戦で勝利
「クイーン・シリキットカップ」のパーティ会場では、安堵感とともに、失われた時間を取り戻そうという強い思いが感じられた。
閉会式で挨拶をした、APGCのタイムール・ハッサン・アミン会長は、次のように述べた。
「この恐ろしいコロナパンデミックが始まってから2年半が経ちましたが、まだ収束できていません……。しかし、世界が正常に戻ろうとしている段階まで来ています。2022年における最初の大きなイベントを終えることができ、とても嬉しく思っています。」
世界アマチュアゴルフランキング(以下WAGR)50位以内の選手4人、100位以内11人以上、150位以内18人以上を含む、13か国、39人のメンバーが揃ったことは、アジア太平洋地域の女子アマチュアゴルフの奥深さを物語っている。
橋本美月、上田澪空、手塚彩馨が見事なチームワークを発揮して、日本は20年ぶりに優勝。
宮里藍が出場した2002年以来の優勝だった。
個人戦は、4日間通算9アンダーをマークした橋本が優勝し、WAGRは一気に23位に浮上。
19歳の彼女は、少なくともあと2年はアマチュアを続けることを発表。R&AとAPGCは、すでに「WAAP」の準備を始めている。
昨年秋にアブダビで行なわれた大会で優勝した橋本は今、11月3日~6日にタイのサイアムCCウォーターサイドコースで開催される「WAAP」で、初の2連覇を遂げることが目標だ。
R&Aの最高責任者であるマーチン・スラマー氏は、次のように述べている。
「『WAAP』は、この地域の女子アマの頂点に立つものです。私たちは、女子のトップアマに活躍してもらい、プロゴルファーへのステップアップを図る機会を提供するためにこの大会を設立しました。笹生優花、パティ・タバタナキット、アタヤ・ティティクルなどの活躍を見れば、私たちは間違いなく成功していると言えるでしょう」
また女子の試合の前に、バンコク郊外にあるアマタスプリングCCで男子アマの大会、第13回「AAC」が開催される。
2012年には、アマタスプリングで14歳の中国人選手、関天朗(グァン・ティンラン)が歴史的な勝利を収め、翌年のマスターズに最年少で出場。ローアマを獲得した。
2012年の「AAC」のリーダーボードの上位には、台湾のCTパン(準優勝)、日本の松山英樹(4位)、オーストラリアのキャメロン・スミス(7位タイ)も含まれていた。
これまでにPGAツアーで計21勝を挙げている「AAC」のOBたちだが、この他にも、オーストラリアのキャメロン・デービス、ルーカス・ハーバート、韓国のキム・シウー、イ・キョンフン、日本の小平智などもPGAツアーで活躍中だ。
「WAAP」と同様、「AAC」も、プロになる前の最終テストの場とみなされている。
中島啓太が今大会に出場することはないが(9月にプロ転向予定)、今年もアジア太平洋地域から次のゴルフ界のスーパースターが誕生することだろう。
Text/Spencer Robinson
スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)
ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。
アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。