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【 プレジデンツカップ@O 嬢スペシャルレポート】現場で拾ったおもしろナマ情報を一挙公開!

おもしろネタをガッツリキャッチ!
「プレジデンツカップ」O嬢レポート

ゴルフ中継 だけではわからない現場で拾ったおもしろナマ情報を読者の皆さんにお届け!

©Eiko Oizumi

会場に姿を表した、ジョージ・ブッシュ元米国大統領(左)とビル・クリントン元米国大統領。

今大会のMVPジョーダン・スピースはついに5戦5勝を達成!

©Eiko Oizumi

ジョーダン・スピース(左)とジャスティン・トーマスでチーム戦4戦全勝をマークした、米国の黄金コンビ。

©Getty Images

シングルス戦のスタート前に、昨年の11月に生まれたばかりのサミーくん(中央)、アニー夫人と記念撮影するジョーダン・スピース。

「プレジデンツカップ」で全ての試合に出場し、全戦全勝すると「5戦5勝」ということになるのだが、今年はジョーダン・スピースがこの記録を樹立。
過去にこの記録を達成しているのは、1996年マーク・オメーラ(米国)、1998年丸山茂樹(世界)、2009年タイガー・ウッズ(米国)、2011年ジム・フューリック(米国)、2015年ブレンダン・グレース(世界)とスピースの、わずか6名しかいない。

「今週は何回か自分のベストなゴルフができたと思うし、チームメイトたちと一緒に最高のプレーができたのは素晴らしい。こうしてようやく初めて、シングルス戦の勝者の輪の中に入ることができてよかった」

シングルス戦スタート前の1番ティーでは、まるで「ライオンキング」で赤ちゃんライオンのシンバをお披露目したシーンのように、昨年生まれたばかりのサミーくんを抱え上げて、大観衆にお披露目。
もしかしたらサミーくんがスピースのシングルス戦勝利を支えた、幸運のお守りだったのかもしれない。

表彰式で煙がモクモク
その正体はいったい……?!

©Eiko Oizumi

米国選抜の勝利が決まった表彰式で。ジョーダン・スピースの後ろで葉巻をモクモク燻らせているのは、ザンダー・シャウフェレ。

©Getty Images

「ライダーカップ」で米国選抜が優勝した際も、シャウフェレは葉巻を吸って至福のひと時を過ごした。

©Eiko Oizumi

優勝記者会見でも、モクモクと葉巻を吸い続けるシャウフェレ。左はコリン・モリカワ。

©Eiko Oizumi

同じカリフォルニア州出身で、公私共に仲良しのシャウフェレ(左)とパトリック・キャントレー。彼らは昨年の「ライダーカップ」以来、最強コンビの一つとみなされ、今年も2勝1敗とチームの勝利に貢献。

米国選抜の優勝が決まり、チームメンバーは一列に並んでキャプテン、デービス・ラブⅢのスピーチを静かに聞いていた。
そんな中、煙がモクモク……今回大活躍を遂げたジョーダン・スピースの背後に回ったシャウフェレが、後ろで葉巻を吸い、煙をスピースに吹きかけていたずら。
コース内では真剣な表情でプレーしている彼だが、自由奔放な姿とのギャップが面白い。

憧れの選手たちに囲まれて無敗だったMAX

©Eiko Oizumi

キャプテン推薦で選ばれた、マックス・ホーマ。昨年度は24試合に出場し、21試合で予選通過を果たすなど、安定感は抜群だ。

「プレジデンツカップ」直前に開催されていた2022~2023年PGAツアー開幕戦「フォーティネット選手権」で2連覇を果たしたマックス・ホーマ。
その好調ぶりをそのまま引っ提げて、クエイルホローにやってきた彼は、初出場ながらも4戦4勝を記録し、ジョーダン・スピースに次ぐ、大活躍を遂げた

「僕に対する期待がどんなものだったのかはわからないけど、僕はこの大会に対して楽観的に考えていたし、とてもワクワクしていた。僕が尊敬し、一緒にプレーしたい選手たちが周りにいて、最高だった。その中で4勝0敗だったことは夢のまた夢のような出来事だ」

出場できなくても「プレジデンツカップ」は特別

©Getty Images

背中痛のため、残念ながら欠場となったウィル・ザラトリスが米国選抜チームを陣中見舞い。

©Eiko Oizumi

ロープ外に目をやると、そこにはPGAツアー選手のジョンソン・ワグナーが!

「プレジデンツカップ」や「ライダーカップ」など、通常の競技とは違うゴルフの祭典のようなイベントは、PGAツアーの選手にとっても特別なもの。
自分が出場できなくても、現地に観に来たい、テレビのレポーターでもいいから携わりたいと思うものなのだ。
ジョンソン・ワグナーは1日テレビのレポーターを務めていたが、週末は完全にオフ。ロープ外で観戦を楽しんでいた。

「パッティングが悪すぎて貢献できなかった」

©Getty Images

松山英樹(左)&アダム・スコット組が臨んだ、3日目のフォーサムで、キャメロン・ヤング&コリン・モリカワ組に3&2で勝利。

©Eiko Oizumi

大勢のギャラリーを前に、リカバリーショットを放つ松山。

©Eiko Oizumi

チェ・キョンジュのカートに乗り込み、チームメイトを応援する松山。

©Eiko Oizumi

松山英樹&テーラー・ペンドリス組は、3日目のフォーボールでジャスティン・トーマス&ジョーダン・スピース組と対戦し、4&3で敗退。写真は14番ホールでパットが決まらず、悔しがる松山。

今年で連続5回目の出場を果たした松山英樹。
世界選抜チームではトップランカーの選手として、ポイントゲッターとしての活躍が期待されたが、1勝3敗1分という成績に終わった。

「パッティングがもう少し入ってくれたらと思う。僕のパッティングが悪すぎたせいで、ポイントを稼ぐことができなかったのは悔しい。なかなかチームに貢献できなかったという感じはありますけど、自分のベストは尽くせたと思う」と語った。

ジャック・ニクラスの登場で大会スタート!

©Eiko Oizumi

ジャック・ニクラス(左)とフレッド・カプルスが、プレジデンツカップのトロフィーを1番ティーに運ぶシーンも見られた。

以前、「プレジデンツカップ」の開会式では、アメリカの国歌斉唱とともに、世界選抜の参加選手の国歌が一通り流れたものだが、今年の開会式は非常に簡素化したものだった。
米国の国歌斉唱はあったが、世界選抜チーム関連のものはなし。
いつもは世界選抜の雇われ応援団もいるのだが、今年は彼らの姿も観客席にはなし。
何か寂しい感じがしたものだが、過去に4回米国キャプテンを務めたジャック・ニクラスと、3回米国キャプテンを務めたフレッド・カプルスが2人で優勝カップを持って1番ティーに入場。ギャラリースタンドにいた大勢の観客は、大いに沸いた。

今年で10回目のアダム・スコット
ミケルソンに次ぐ最多出場

©Eiko Oizumi

米国・世界選抜を通して、唯一の40代の選手だった、アダム・スコット。

これまで「プレジデンツカップ」は14回開催されているが、最多出場は12回のフィル・ミケルソン。
それに次ぐ記録を持つのが、世界選抜のアダム・スコット(10回)だ。
ミケルソンはLIVゴルフに移籍したため、PGAツアーが今後LIVゴルファーを受け入れることがなければ、ミケルソンの記録は12回でストップすることになる。
今大会の中では最年長(42歳)を誇り、チームの平均年齢は28.8歳と大会史上最も若いメンバーに囲まれたが、「若いチームにいると、自分も若返った気がする」と語っていた。

O嬢日記@プレジデンツカップ

©Eiko Oizumi
©Getty Images

メディアセンター内の雰囲気も、コロナ前のものに戻ってきた。ソーシャルディスタンスも取らず、マスク着用も不要だ。

©Getty Images

1998年に世界選抜チームが唯一優勝した時の集合写真。LIVゴルフCEO のグレッグ・ノーマンの姿もある(後列左から2番目)。本当はこの写真が使われるべきだと思うのだが……

©Eiko Oizumi

中央の写真に注目! 左隣の米国の集合写真と比較してもわかるように、世界選抜の集合写真は、撮影後に選手たちがバラバラになった時のものになっている。ノーマンが写り込んでいない写真をあえて使っていることがわかる。

©Eiko Oizumi

会場内のディスプレーに使われている写真を見ても、過去2回キャプテンを務めたグレッグ・ノーマンの写真はない。

©Eiko Oizumi

アダム・スコットらからも、キャプテンぶりが高く評価された、トレバー・イメルマン。前回の2019年大会では、アーニー・エルスキャプテンのもと、副キャプテンとして活躍した。

©Eiko Oizumi

表彰式でスピーチする、PGAツアーコミッショナー、ジェイ・モナハン氏。

LIV色を全て排除!
徹底抗戦のPGAツアー

前回のメルボルン大会から、3年ぶりに開催される「プレジデンツカップ」の会場に足を踏み入れたが、そこで私はすぐに気づいたことがあった。
会場内に飾られている写真や、大会公式プログラム(冊子)を見ても、一切、あるべき(あるいはあってもおかしくない)要素がないのだ。
グレッグ・ノーマン率いるLIVゴルフに参戦中の選手、あるいはノーマン自身の写真がどこを見ても一切ないのである。

もともと「プレジデンツカップ」はノーマンのアイデアで生まれた大会であり、世界選抜のキャプテンを2回務めた彼は、それなりにリスペクトされて然るべき存在だと思う。
だが、現在はPGAツアーとLIVゴルフの間で訴訟問題も勃発し、いわゆる「敵対関係」にある。
ジェイ・モナハン氏はLIVゴルフとの共存に関し、「LIVゴルファーの何人かがPGAツアーに対して訴訟を起こしていることを見ても、それはない。今後も共存は起こらない」とESPNのインタビューに答えている。

世界の、あるいは米国内のゴルフファンとしては、PGAツアーとLIVゴルフの抗争云々よりも、ゴルフというスポーツをシリアスな競技としても、エンタメ性の高いイベントとしても面白く観戦したいのが本音なのではないか、と思う。
歴史と伝統の大舞台で世界の強豪がぶつかり合うさまを観たいなら、メジャーやPGAツアーを観ればいい。
一方でLIVゴルフのようなエンタメ性の高いイベントをPGAツアーとは別のものとして楽しむファンたちも大勢いる。
「プレジデンツカップ」直前週に行なわれていた「LIVゴルフ招待・シカゴ」を訪れていた観客たちに話を聞いてみたが、「これはこれでアリだし、楽しい」という声も多く聞かれた。

将来、両者が共存することはあるのか、あるいは分断されたままの道を歩むのかはわからない。
「PGAツアーvs LIVゴルフ」の対決イベントを開催したら面白いのではないか? という声もある。
PGAツアー選手側には「そんなことをしても、自分達にメリットがない」と「プレジデンツカップ」の会場でコメントしていた人もいたが、いずれにせよ、ツアー間や選手間の分断はゴルフ界にとっては決して良いことではないと思う。

実際、今年出場していた選手たちでも、「プレジデンツカップ」はきちんと成立しているし、米国は予想通り優勝したが、デシャンボーやパトリック・キャントレー、ダスティン・ジョンソンら、キャラクターの立った個性的な選手たちがいたら、場内の雰囲気はどうだったのか?
世界選抜チームなら、「全英オープン」チャンピオンのキャメロン・スミスの戦いぶりも見たかった。
LIVゴルフの良し悪しは別として、彼らのいない「プレジデンツカップ」に、物足りなさを感じたのも事実である。

Photo/Eiko Oizumi,Getty Images

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