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【ゴルフ上達のメンタル法】vol.12「精神状態は姿勢に影響。心で思い描くことは体の動きに現れる」

ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!

精神状態は姿勢に影響。
心で思い描くことは体の動きに現れる

ゴルフは、ショットしている時間よりもショットとショットの合間に歩いている時間の方が圧倒的に長い、特殊なスポーツ。
歩いている時、あるいはショットに臨む前のメンタル次第で体の動きやショットの良し悪しが変わってくることを理解しよう。

Joe Parent
(ジョー・ペアレント)

過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com

ミスした後も、背筋を伸ばして頭を上げ自信を持って歩こう

Illustration/Masaya Yasugahira

心と体をコントロールすればイメージ通りのショットが打てるようになる

冬の間、多くのゴルファーが、しばらくゴルフをしないと感触や感覚が鈍くなったと嘆く。
ショットする感覚は、私たちがいかに自分の知覚と同調しているかに直結している。
つまり私たちは、ショットする時はもちろん、他のあらゆることをする際にも、知覚を働かせているのだ。
私たちの感覚は、それを使用する環境から情報を収集し、処理し、こういう球を打ちたいというショットのイメージ作りをするために、心と体をコントロールしている。
練習の時、あるいはコース上でスイングの感覚を認識するために、知覚を頼りにしているのだ。

ここでは、自分の知覚を意識する練習のためのエクササイズと、ゴルフの上達のためにどのように知覚を利用できるかを紹介しよう。

知覚を意識するための練習をすれば、イメージ通りのショットが可能に

まず、左右上下の周辺視野を広げてみよう。
目を動かさず、視野の中にある、できるだけ多くのものに気づくようにするのだ。色、形、明暗の濃淡など、さまざまなものをチェック。
気づいたことについて、心の中で何か呟く必要はない。

その後1分ほど経ったら、聞こえてくるものに注意を向ける(目は開けたまま、焦点は合わせない)。
近くから聞こえる音、遠くから聞こえる音、高い音、低い音、大きな音、小さな音など、あらゆる方向から聞こえるあらゆる種類の音に耳を傾けてみよう。
ここでも、心の中で何か思う必要はなく、ただ音に気づくだけでよい。

さらに1分ほど経ったら、自分の体重が椅子にかかる感じ、足が床につく感じ、空気が顔や手の皮膚に触れる感覚、衣服が肩や足に触れる感覚など、体の感覚に集中することに切り替えてみよう。
自分の姿勢や、心臓の鼓動、呼吸に伴う体の動き、鼻孔や唇から出入りする空気の感触など、体内の感覚に注意を向けてみよう。
ここでもまた、心の中で何か言葉にする必要はなく、ただ気づくだけでよい。

感覚を意識すればするほど、環境からより多くの情報を取り入れることができ、次のショットをどのように打つかについて、より良い選択ができるようになる。
また、知覚を意識する練習をすることで、自分の意図するショットを鮮明にイメージする能力を養うことができるようになる。
視覚、聴覚、触覚など、イメージが鮮明であればあるほど、より直感的にそのショットを打つように体を動かすことができるのだ。

過去や未来の思考にとらわれず、今を感じること

知覚は現在にしか起こり得ないが、思考はほとんどが過去や未来に関するものだ。
だから、過去や未来の思考にとらわれていると、現在の知覚を認識することはできない。
つまり、自分の知覚に同調し、完全に現在に存在していれば、過去や未来に思いを馳せる余地はない。
知覚で意識を満たしていれば、過去や未来の結果に邪魔されて、気が散るようなことは少なくなるだろう。

ショットの準備中に知覚を調整すると、体はこういうショットを打ちたい、という非常に明確な指示を得る。
そして、考えすぎが原因でショットのパフォーマンスを妨げることが少なくなる。
コース以外のところで知覚を意識する練習をしておけば、コース上でより良いショットが打てるようになるのだ。

©Getty Images

ミスをしても、ミスをクヨクヨと思い悩み、引きづらないこと。

ミスしてもガッカリと肩を落とさない。
真っすぐ前を向いて、自信を持って次打地点に移動しよう。

©Getty Images

頭を上げ、胸を張り、自信を持って次のショット地点まで歩いて行こう。

体と心をシンクロさせよう

体は現在にあり、現在にしかない。心が現在にあれば、体と心はシンクロする。
残念ながら、私たちの多くは過去や未来に思いを馳せ、前に起こったことについて考えたり、次に起こることを心配したりして、大半の時間を過ごしている。
ショットがどうなるかを心配することは、体と心のシンクロの妨げとなる。
体はまだショットを打っていないのに、心はすでに未来にあるのだから、明らかにシンクロしていない。
もし、心が「体の中」以外にあるならば、体と心がシンクロしていないことになる。
それは、ゴルフ場でスイングする時も、人生におけるあらゆる行動においても、同じだ。

心と体の動きの反応がどのように表れるかには、非常に明確な関係がある。
精神状態は姿勢に影響し、立っている時や歩いている時にどのように見えるかを左右する。
18番ホールのフェアウェイを歩くゴルファーを見てみると、どのゴルファーが良いプレーをしていて、どのゴルファーが調子が悪いのか、すぐにわかる。
不調なゴルファーは、足を引きずり、肩を落とし、頭を下げ、地面を見ていて、もしかしたら独り言をつぶやいているようにさえ見える。
一方、好調なゴルファーの足取りは軽く、元気だ。
背筋を伸ばして、頭を上げ、まっすぐ前を見て歩いている。

また、心が体に与える影響を認識することは、前向きな姿勢を維持することの重要性の理解にも役立つ。
ミスショットしてしまった後に、自分がいかに下手かを自分に言い聞かせるなど、自己批判的になってしまうと、体が緊張してエネルギーがなくなり、反応も悪くなる。
それによってさらにミスショットが連発し、自己批判もひどくなり、ひいては悲惨なラウンドを確定してしまうような、負の連鎖にもつながってしまう。

体は心を映し出す鏡ミスしても自信を持ってプレーしよう

心は体に影響を与えるだけでなく、体も心にメッセージを送っている。
前かがみにうつむいて地面を見ながら歩いていると、物事がうまくいっていないことを心の中で確認することにもなり、前記のような負の連鎖反応が始まってしまうのだ。
どんなプレーをしていても、自信に満ちた姿勢を保つことで、気持ちがより前向きになる。そして、それが、次のショットに臨むにあたり、心を最高の状態にしてくれる。

より良い技術と自信をもっと身につけるために、自分のルーティーンと心をシンクロさせ、すべてのショット前、ショット中、ショット後は、自信に満ちた良い姿勢をキープしよう。

Illustration/Masaya Yasugahira Photo/Getty Images

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