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【世界のゴルフ通信】From Asia アジアのゴルフハブ”シンガポール”で主要大会が続々開催される理由

金融と物流とゴルフの拠点シンガポール

2月にDPワールドツアー(欧州ツアー)「シンガポールクラシック」を開催。優勝は南アのオキー・ストリドム(中央)。

3月2日~5日に開催された「HSBC女子世界選手権」。写真は今年の開幕戦で優勝しているブルック・ヘンダーソン。

3月9日~12日にシンガポール・アイランドCCで開催された「アジアパシフィック女子アマ選手権」。左はR&A最高責任者のマーティン・スランバーズ氏。

©LIV GOLF

4月28日~30日にシンガポール・セントーサGCセラポンコースで初開催の「LIVゴルフ・シンガポール」。

要衝シンガポールのゴルフ事情

金融と物流の拠点として、シンガポールは長年にわたり重要な役割を果たしてきたが、ゴルフの拠点としても、シンガポールは、驚くほど成功していることが証明されている。
この東南アジアの小国は、プロ・アマ問わず主要なゴルフトーナメントの人気開催地として、世界で最も魅力的な場所のひとつとなっている。

人口600万人弱、国土面積720平方キロメートルの島国は、世界第3位の外国為替センター、世界第6位の金融センター、世界第3位の石油精製・取引センター、世界最大の石油掘削装置製造国かつ船舶修理サービス拠点、世界最大の物流拠点だ。

また、シンガポールは、億万長者の割合が世界で最も高く、6世帯に1世帯が少なくとも100万米ドルの可処分財産を有していると言われている。

ゴルフ界では長年、シンガポールには世界の他のどの国よりも、国民一人当たりのゴルフ場数が多くあると言われてきた。
しかし、政府がより多くの住宅用地を求めているため、ジュロン・カントリークラブ、ラッフルズ・カントリークラブ(36ホール)、ケッペル・クラブは、全て閉鎖されており、それはもはや当てはまらないかもしれない。

それでも、シンガポールに残る18ホール以上を有する11のゴルフ施設の評判や、コースと施設のクオリティは高いままである。

世界で最も物価の高い都市のひとつであるにもかかわらず、観光業は依然として主要産業であり、2018年には同国の人口の3倍を超える1850万人の外国人観光客が訪れている。
この年、シンガポールは世界で5番目、アジア太平洋では2番目に多くの観光客が訪れた都市となった。

数々のプロ・アマ試合を開催LIVゴルフも初上陸

シンガポールでは、2023年に世界のどの都市よりも多くのトップレベルのゴルフトーナメントが開催される。
2月9日から6週間の間に、「シンガポールクラシック」(DPワールドツアー)、「HSBC女子世界選手権」(LPGAツアー)、「アジアパシフィック女子アマ(以下WAAP)」、「アラムコ・チームシリーズ」(欧州女子ツアー)がすでに開催されている。

ラグーナナショナル・ゴルフリゾートクラブが「シンガポールクラシック」と「アラムコ・チームシリーズ」を初開催し、シンガポール・アイランドカントリークラブのニューコースが「WAAP」に使用された一方で、セントーサ・ゴルフクラブのタンジョンコースでは10回目の「HSBC女子世界選手権」が開催された。

2018年にセントーサで2位に入ったメジャー2勝のブルック・ヘンダーソン(カナダ)は、仲間選手たちの気持ちを代弁して、次のように述べた。

「ツアーの中でもHSBCの試合は特別な1週間で、1年で最も好きな大会のひとつ。セントーサ島はとても美しい場所で、みんなとてもフレンドリー。それに、シンガポールには、おいしい食事とショッピングがあり、最高ですね!」

「HSBC女子世界選手権」の数週間後にLIVゴルフが初めてシンガポールにやってくる。
4月28日~30日にかけてセントーサ島のセラポンコースで開催される、 賞金総額2500万米ドル(約34億円)のこのイベントは、シンガポールでこれまでに開催されたスポーツイベントの中で最も豪華なものとなる予定だ。
昨年末の発表以来、期待の声が高まっていると、クラブの支配人のアンドリュー・ジョンストン氏は明言している。

「シンガポールゴルフ史上最高の賞金総額かつ最大の大会となるこの大会に、世界のトッププロ48名を迎え、セラポンで戦っていただく機会を得たことを誇りに思います。私たちはこの大会を開催することで、セントーサGCが世界最高のゴルフクラブのひとつとしてよく知られている理由を、何百万人もの人々にわかっていただくのが待ち遠しいですね」

セントーサ・デベロップメントコーポレーションの最高経営責任者のティエン・クィーエン氏は、次のように付け加えた。

「観光業が勢いを取り戻し、セントーサが世界的な大会を開催するためにギアを上げ続けている中、我々はサステナビリティ問題にも取り組み続け、評価を受けていることを誇りに思います」

まだまだ続くシンガポールの試合

LIVの大会が終了すると、シンガポールでは世界的な大会が5つ開催されたことになるが、まだそれでも1年の3分の1が終わったばかりだ!
アジアツアーの「インターナショナルシリーズ・シンガポール」と「シンガポール女子オープン」の開催の発表が待たれるなか、その数はさらに増える可能性が高い。

ハナフィナンシャルグループ主催の女子トーナメントの第1回大会は、シンガポールゴルフ協会(以下SGA)と韓国LPGAの共同主管で、レディースアジアツアーシリーズの一部として2022年12月に開催された。

一方、今年開催されそうにないのが、日本ゴルフツアー機構との共同主管で、過去5年間開催されてきた、SMBCがスポンサーの男子の大会「シンガポールオープン」だ。
しかし今後、シンガポールでの試合数が減少することはないだろう。

SGA会長は「私たちは、今後も引き続き、シンガポールでより多くの国際的なゴルフトーナメントを開催するため、スポンサー候補や国際的な団体と協力していくつもりだ」と述べた。

それは単なる雑談ではない。
2022年8月下旬に行なわれた国際ゴルフ連盟(IGF)の隔年総会で、SGAは2025年の「世界アマチュア・ゴルフチーム選手権(WATC・男子はアイゼンハワートロフィー、女子はエスピリトサントトロフィー)」の開催を勝ち取ったのだ。

「2025年のWATCの開催地に選ばれたことは光栄だ。シンガポールがこの名誉ある大会を開催するのは今回が初めてであり、世界中のトップゴルファーや関係者をこの島にお迎えすることを楽しみにしている」

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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