金谷拓実&中島啓太の元世界アマランク1位コンビがツアーを引っ張る国内男子
中島啓太
(フリー)
今季は「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」で優勝。また、2位も3回と絶好調。6月26日現在、賞金ランキング1位。
金谷拓実
(Yogibo)
今季は「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で優勝。2月にはアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・オマーン」で海外初優勝を飾った。
蟬川泰果
(フリー)
今季は「関西オープン」で優勝。「中日クラウンズ」3位、「ゴルフパートナーRRO-AMトーナメント」2位タイ。
金谷VS中島のライバル対決が面白い
10試合を終えて(6月25日現在)、ようやくツアーらしく試合が続く男子ツアーは、盛り上がりを見せている。
その中心にいるのが、金谷拓実と中島啓太だ。
2月にアジアンツアーの「インターナショナルシリーズ・オマーン」で優勝し、日本のシーズンに臨んだ金谷は、「全英への道~ミズノオープン」3位タイ、「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」優勝、「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」2位と3試合続けて優勝争いし、実力を見せた。
これに対抗するのが、ナショナルチームで金谷と一緒に戦った2歳年下の中島だ。
アマチュア時代の2021年「パナソニックオープン」で優勝しているが、プロとしての勝利には少し時間がかかっていた。
今季は「ミズノオープン」、「BMW日本ゴルフツアー選手権」といずれも惜敗(プレーオフ負け2位、2位タイ)した後、「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」で金谷をプレーオフで破ってプロ初優勝。
「ハナ銀行招待」2位、「Japan Players Championship byサトウ食品」でも3位タイと、優勝争いを続けている。
金谷との激闘はいずれも手に汗握る戦いで、2人でツアーを引っ張っているという印象が強い。
6月26日現在の賞金ランキング首位は中島だが、2人の戦いがツアーを面白くしているのは間違いない。
若い選手たちも元気いっぱいだ。
「ミズノオープン」は、3ホールのプレーオフの末、中島を撃破して平田憲聖が初優勝。
「関西オープン」は、昨年アマチュアとして2勝を挙げ、うち1勝が「日本オープン」というセンセーショナルな記録を打ち立てた蟬川泰果が制し、存在をアピール。今後への期待を集めている。
一方で、ベテラン勢も、岩田寛(中日クラウンズ)、谷原秀人(Japan Players Championship byサトウ食品)がそれぞれ優勝しており、まだまだ負けていない。
米ツアーで活躍する松山英樹だけでなく、今年は星野陸也もDPワールド(欧州)ツアーに軸足を置き、6月には「BMWインターナショナル」で3位タイに入るなど、こちらも明るい兆しが見えている。
ベテラン、若手が入り交じり、海外で活躍する選手も増え、興味深い展開の日本の男子ゴルフ。ただ、残念なのは、やはり夏場も試合数が少ないことだ。「長嶋茂雄インビテーショナル・セガサミーカップ」(6月29~7月2日)の後は3週間空いて「日本プロ」(7月27~30日)。「横浜ミナトChampionship~Fujiki Centennial」(8月3~6日)の後、また2週空いて「Sansan KBCオーガスタ」(24~27日)と、シーズン中なのに試合が続かない。9月以降は毎週試合が続くが、それまでの間は空白の期間が多い。選手にとって活躍の機会がないだけでなく、見ている側も毎週、結果を追うという形になりにくい。選手たちの責任ではないこの状況がなぜ、いつまでも続くのか。いいプレーを見せる選手たちの戦いの場を作るために、組織として根本的な対策が必要だ。
谷原秀人
(国際スポーツ振興協会)
今季「Japan Players Championship by サトウ食品」で優勝。海外遠征にも積極的で、アジアンツアー「インターナショナルシリーズ・カタール」では5位タイ。
山下美夢有、岩井姉妹のほか、申ジエらベテラン勢の活躍も光る国内女子ツアー
山下美夢有
(加賀電子)
今季、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」「ブリヂストンレディス」「リゾートトラストレディス」「ニチレイレディス」ですでに4勝。6月25日現在、メルセデス・ランキング、賞金ランキングでともにトップ。
岩井明愛&千怜
(Honda)
今季、明愛は「KKT杯バンテリンレディス」で優勝し、2位は4回。千怜は「RKB×三井松島レディス」「宮里藍サントリーレディスオープン」で2勝。双子姉妹の活躍が目覚ましい。
山下美夢有と岩井姉妹の活躍が目覚ましい女子
序盤戦は週替わりの優勝者が生まれた女子ツアーだが、中盤に入って目立ってきたのが、2022年年間女王の山下美夢有と、岩井明愛、千怜の岩井ツインズの活躍だ。
すでにシーズン4勝を挙げている山下に対し、岩井姉妹は妹の千怜が2勝、姉の明愛が1勝。
だが、勝てないときでもどちらか1人、場合によっては2人揃って優勝争いに顔を出す機会も多く、その活躍は目覚ましい。
3人の強さを象徴する試合が、「RKB×三井松島レディス」だ。山下と岩井姉妹3人がプレーオフで激突し、2ホール目でバーディの岩井千怜が優勝している。
双子ならではのお互いを意識し、それをパワーに変える戦いぶりと、それを冷静に受け止め、自分のプレーをする山下の様子は、それぞれ興味深いものとなった。
岩井姉妹が、双子としての記録を次々に塗り替え、「全米女子オープン」、「全英女子オープン」にも揃って出場する姿と、マイペースを貫く山下。
その優勝争いはまだまだ続きそうだ。
吉本ひかる、山内日菜子、神谷そらなど初優勝組、ベテラン、中堅の活躍と、ツアーの層が厚いことを示す結果も見えている。
今季2勝の申ジエは、本当はすでにツアー通算30勝に達しているのだが、規定によりJLPGA選手として登録する前の2勝を通算勝利数に数えないため、通算28勝とされている。
史上7人目の永久シード選手となるまでにはあと2勝が必要だが、年内達成の可能性も濃厚になってきた。
中堅も、優勝している青木瀬令奈、穴井詩だけでなく、菊地絵理香、笠りつ子、上田桃子らが、度々上位に入っており、いつ勝ってもおかしくない。
「ニチレイレディス」終了後には第1回リランキングも行なわれ、序盤戦とは顔ぶれが変わった女子ツアー。
メジャー続きの夏場は、上位選手が出場しないこともあるため、出場機会の少ない選手たちにもチャンスが巡って来る。
勝みなみ、西村優菜の2人が米ツアー中心になった2023年も、引き続き戦国時代が続いている。
今年の主役は誰になるのか。体力勝負の夏、そしてビッグトーナメントが続く秋へと果てしない戦いが続く。
男子と違ってこちらは、7月第3週以外、11月末まで試合がびっしり。
活躍の舞台には事欠かないが、難しいペース配分をどうするのか。
その辺りも含めた戦いに注目だ。
Text/Junko Ogawa
小川 淳子
東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。
現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。