2014年「全米女子オープン」チャンピオン
ミッシェル・ウィ
18年のプロ生活を経てペブルビーチで引退
13歳で「全米女子アマ・パブリンクス」に優勝。
2004年には「ソニー・オープン・イン・ハワイ」でPGAツアーに出場し、大きな話題となったミッシェル・ウィ。
2005年にプロ転向して以来、18年の年月を経て、ペブルビーチでの「全米女子オープン」を引退の場に選んだ。
彼女のこれまでを振り返るとともに、最終戦をレポートする。
「女子ゴルフの発展を手助けし、家族でゴルフを楽しみたい」
1年越しの引退
ついにペブルビーチで
2005年、15歳でプロ転向し、ゴルフ界に様々な話題を振り撒いたハワイの天才、ミッシェル・ウィ(現在、結婚後のラストネームはウエストだが、ここではウィとする)。
身長は180センチ以上で、飛距離は男子並み。
男子ツアーで優勝することを本気で夢見ていた彼女は、何度も男子ツアーに挑戦したチャレンジャーであり、タイガー・ウッズ以上の才能の持ち主だと言われたが、実際はメジャー1勝を含む、ツアー5勝に終わった。
2019年にNBAロサンゼルス・レイカーズで活躍したレジェンド、ジェリー・ウエスト氏の息子で、NBAのゴールデンステート・ウォーリアーズの幹部であるジョニーさんと長年の交際を経て結婚。
娘のマケナちゃんを出産し、現在は子育てと家事、女子ゴルフの発展のための活動に注力している。
そして昨年の「全米女子オープン」で、1年後のペブルビーチでの同大会で引退することを表明していた。
「私はいつも子供ができたら引退すると言ってきた。本当は子供ができた後でも、もっと長くプレーを続けたかったけど、体のことを考えるとそれは無理だった。母としてツアーに出るのはキツいし、犠牲も多い。難しい決断をしなければならなかったけど、これが私にとっても家族にとってもベストだった」
「1日中、涙が溢れそうだった」
そして今年、「全米女子オープン」の予選ラウンドをアニカ・ソレンスタム、チョン・インジとプレーしたウィ。
夫のジョニーさんがバッグを担ぎ、最後の戦いをそばで支えてくれた。
寒く、雨の降るペブルビーチでの戦いは厳しく、通算14オーバーで予選落ちを喫したが、2日目の最終ホールで12メートル超のロングパットが入るという、ゴルフの神様からの嬉しいプレゼントもあった。
「今日は1日中、感傷的になってしまって、涙が出そうだった。私にとって最も心に残っているのは、夫がバッグを担いでくれたこと。彼は私の人生のパートナーであり、1週間ずっと私のそばにいてくれたことは、私にとって全てだった。家族もいて、しかもペブルビーチでの全米女子オープン。全てが素晴らしかった」
決して理想通りの幕引きではなかったかもしれないが、愛娘を抱きながらインタビューに答えるウィは、競技者から穏やかな母の顔に戻っていた。
「引退したら、アドレナリンや、ドキドキ感が恋しくなるでしょうね。ツアー仲間に会えなくなるのも寂しいし、毎週の転戦の旅も恋しくなると思う。でも私はゴルフというゲームが好きだし、夫も、夫の兄弟も好き。だからパインハーストやセントアンドリュースなどにもゴルフ旅行に行きたいわね。ちょっと今は奇妙な感じがするけど、絶対楽しいと思う」
「大胆で怖いもの知らず」が私のレガシー
これまで彼女はその独自のプレースタイルやファッション、考え方で女子ゴルフ界をリードしてきた。
自身、「私の人生はたくさんの大胆な決断があったけど、私はそれを誇りに思っている。それが正しいと思えば、恐れを知らずに実行した自分も誇らしい。多くの女の子たちにも、大胆に、そして恐れを知らない決断を下してほしい」と語っている。
前人未到のことでも、突き進む、その強さと大胆さ。今後もLPGAツアーの理事として、女子ゴルフ界のために大胆に、グイグイと引っ張っていく存在となることだろう。
ミッシェル・ウィのこれまでの歩み
1989年 | ハワイで誕生 |
1993年 | ゴルフを始める(4歳) |
1994年 | 100ヤード飛ばす(5歳) |
2000年 | 「全米女子アマ・パブリンクス」に史上最年少(10歳)で出場 |
2001年 | 「ハワイ州女子ストロークプレー選手権」優勝 |
2002年 | 「ハワイ州オープン・女子の部」で優勝 LPGAツアー「武富士クラシック」に出場 |
2003年 | 「クラフト・ナビスコ選手権」「全米女子オープン」で史上最年少予選通過者に 「全米女子アマ・パブリンクス」優勝(13歳) |
2004年 | 米男子ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」 に初参戦(1打足りずに予選落ち) 女子メジャー「クラフト・ナビスコ選手権」4位 |
2005年 | 「全米アマ・パブリンクス(男子)」の出場権を獲得。 プロ転向(15歳) 「カシオワールドオープン」出場(予選落ち) |
2006年 | 「SKテレコムオープン」(韓国・欧州男子ツアー共催)で予選通過 |
2007年 | スタンフォード大入学 |
2009年 | LPGAツアー・フルタイムメンバーに 「ロレーナ・オチョア招待」でツアー初優勝 |
2010年 | 「CNカナディアン女子オープン」優勝 |
2014年 | 「LPGAロッテ選手権」優勝 「全米女子オープン」でメジャー初優勝 |
2018年 | 「HSBC女子世界選手権」優勝 |
2022年 | 「全米女子オープン」後、 1年後の引退を表明 |
2023年 | 「全米女子オープン」で引退 |