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【世界のゴルフ通信】From Australia 若手の台頭が目覚ましい豪州!軽井沢生まれNZ育ちの小堀一磨が今季すでに3勝

プロ入り後、半年以内にすでに3勝を挙げた小堀一磨

→2023年11月にプロ転向したばかりの小堀一磨は、「ウェベックス・プレーヤーズシリーズ」で3勝。アマチュア時代には2019年「ニュージーランドPGA選手権」、2023年「オーストラリアアマ」などで優勝。©️Golf Australia
↑姉の小堀桃花(右)は、現在「欧州女子ツアー」に参戦。昨年12月に開催された「ISPS HANDAオーストラリアンオープン(男女共催)」では、姉弟で出場。©️Golf Australia

日本生まれのニュージーランド人、カズマ・コボリ(以下、小堀一磨)は、2024年のオーストラリアPGAツアーの男女混合試合「ウェベックス・ プレーヤーズシリーズ」の最初の3試合で優勝し、プロキャリアの華々しいスタートを切った。
ニューサウスウェールズ州のコブラム・バルーガ大会とビクトリア州のローズバッド大会で2週連続優勝を果たし、2013年のアダム・スコット以来のオーストラリアPGAツアーの試合で連勝した男子選手となった。
ちなみに女子では、ハナ・グリーンが2022年に「VICオープン」と「マレーリバー・プレーヤーズシリーズ」で連続優勝している。

22歳の小堀はその後、「VICオープン」男子の部で堅実にトップ10フィニッシュを果たし、その直後、ニューサウスウェールズ州のキャッスルヒルで開催された「ウェベックス・プレーヤーズシリーズ」で優勝。
36ホールを終えて首位に立ち、54ホールを終えたところで3人が首位タイに並ぶと、最終ラウンドでノーボギーの66をマーク。
LPGAツアープレーヤーで、一夜にして首位タイに立ったジェニー・シンに1打差で勝利を収めたのだった。

これほど優秀な成績を持続することは、たとえかなりの経験を積んだゴルファーであっても困難なこと。
それを若い年齢で成し遂げたのは、異例なことだ。
プロとしての最初の9試合で3勝と、計6回のトップ10フィニッシュを果たしたのは、まさに驚異的である。
ゴルフライターが、プロ入り後、最初の9試合のうち3大会で優勝したタイガー・ウッズを引き合いに出して記事にしたが、もちろん小堀の3連勝とウッズのPGAツアーでの「ラスベガス招待」「ウォルト・ディズニー・ワールド・クラシック」「メルセデス選手権」の勝利とは比較にならない。

軽井沢生まれ、ニュージーランド国籍の小堀姉弟

小堀と24歳の姉、桃花は軽井沢で生まれ、6歳と8歳の時に家族とともにニュージーランドのカンタベリーに移住した。
近年、彼らはオーストラリアゴルフ界の姉弟、ミンジー・リーとミンウー・リーが刻んだ軌跡を辿り、オーストラリアンツアーでも人気者になっている。

小堀が初めて「プレーヤーズシリーズ」で優勝したコブラム・バルーガでは、桃花も優勝争いし、3位に入った。
彼女は弟より2年早くプロ転向し、2022年にハンターバレーで開催された「プレーヤーズシリーズ」と、2023年の「ニューサウスウェールズオープン」で優勝している。
今年、彼女は欧州女子ツアーで2シーズン目を戦っているが、弟も今シーズンの成績によって、チャレンジ・オーストラリアンツアーの賞金ランク上位3人に入り、2025年のDPワールドツアーのシード権を獲得するのはほぼ確実となっている。
小堀は、2019年の「ニュージーランドPGA」でプロを相手に勝利。
2023年には「オーストラリアアマ」でも優勝するなど、素晴らしいアマチュアキャリアを経て、昨年11月にプロ転向した。

コブラム・バルーガでは54ホールを終えて首位に立ち、プレッシャーに耐えて、シンガポールのシャノン・タンに2打差で優勝。
しかもその7日後に、ローズバッドでマレーシアのアシュリー・ラウに対し、4メートル弱のパットを決めて1打差で優勝したのは、彼の精神力の強さをまさに証明した瞬間だった。
これら2勝は、プロのキャリアにとっていい形となった。

若手の活躍に交じりベテラン勢も復活優勝

↑2024年「VICオープン」で優勝したアシュリー・ラウ(左・女子の部)とブレット・コレッタ(男子の部)。©️Golf Australia
↑「オーストラリアアマ」で優勝した新地真美夏(左・女子の部)と、クイントン・クローカー(男子の部)。©️Golf Australia
↑「ヘリテージクラシック」で8年ぶりに優勝したマシュー・グリフィン。以前は日本ツアーに参戦していた。©️Golf Australia

23歳のアシュリー・ラウは、わずか1週間後にサーティーンスビーチで開催された「VICオープン」女子の部で優勝した。
最終日の最終ホールで、約4メートルのパットを決めて66をマーク。
申ジエがプレーオフに進出するためには、9メートルのパットを決める必要があったが、外れたため、ラウの優勝が決まった。
ラウは、ブリスベンで最後の2年間の学校教育を修了し、その後米国・ミシガン大学で充実した大学生活を送ったが、彼女はオーストラリアを第2の故郷と考えている。
偶然にも、コブラム・バルーガで2位に入ったシャノン・タンも、クイーンズランド州の高校を卒業後、テキサス州の大学に進学。
タンは、「VICオープン」参戦後に欧州女子ツアーに向かい、「マジカルケニア女子オープン」で、早速初優勝を飾った。

ラウ、タン、そして2人の小堀は、近年のオーストラリアゴルフ界の変化を示す例であり、男女混合の「プレーヤーズシリーズ」や男女共催試合の「VICオープン」は、若いゴルファーにとって、大きなツアーへ進む足がかりとなっている。

「VICオープン」男子の部は、ビクトリア州出身のブレット・コレッタが優勝。
ジョーダン・ズニックとアンドリュー・マーティンに2打差で勝利した。
アマチュアとして出場した8年前の「クイーンズランドオープン」、そして昨年の「ハンターバレー・プレーヤーズシリーズ」に続き、3勝目となる。

オーストラリアは、若手の台頭が目覚ましいが、40歳のマシュー・グリフィンは、2024年の開幕戦「ヘリテージクラシック」で8年ぶりに優勝し、ベテラン勢として一矢報いた。
グリフィンは「ヘリテージクラシック」の初日に61(11アンダー)を記録し、終始リードを保って2位に6打差をつけて優勝。
2016年「ニュージーランドオープン」以来の優勝を果たした。
2位は21歳のクイーンズランド州のアマチュア、クイントン・クローカー。
彼は翌週、ヤラヤラGCで開催された「オーストラリアアマ」男子の部で優勝。
「ヘリテージ」での1週間の疲れも見せず、5打差で勝利したのだった。

男子と同様にヤラヤラで開催された「オーストラリアアマ」女子の部は、日本の16歳の新地真美夏が優勝。
彼女は過去7年間に「オーストラリアアマ」を制した4人目の日本人選手であり、2023年は橋本美月、2018年は山口すず夏と中島啓太が優勝している。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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