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【私の愛したゴルフコース】第27回バルハラゴルフクラブ(アメリカ)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第27回はバルハラゴルフクラブ(アメリカ)を紹介する。

Valhalla Golf Club

575ヤードの18番ホールからクラブハウスを望む。パー5だが、2オンも可能。©David Cannon (Getty Images)

バルハラゴルフクラブ(アメリカ)
●設計:ジャック・ニクラス
●コース:7675ヤード・パー72
●備考:ケンタッキー州ルイビル市内から、車で約20分。アメリカの偉大なコース100選にも選ばれた、本格チャンピオンシップコースで、今年も含め「全米プロ」を4回開催。2008年「ライダーカップ」も開催した。 https://www.valhallagolfclub.com

タイガーも優勝した「全米プロ」開催コース

ケンタッキー州ルイビル郊外に位置するバルハラGCは、数々のメジャーや「ライダーカップ」を開催したこともある、アメリカで最も現代的なコースの1つだ。

バルハラは、ノルウェー神話に登場する大広間のことで、バイキングの魂が神々とともに饗宴を催し、祝った場所とされている。
この表現は、この挑戦的で素晴らしいゴルフコースに非常に適している。

バルハラGCは、ルイビルの実業家ドワイト・ゲーム氏の発案で建設された。
1983年、ドワイト氏と彼の3人の息子は、ジャック・ニクラスと彼の設計会社に、ニクラスが「様々な地形、植生、水を備えた、ゴルフコース設計家の夢」と表現した敷地にコースを建設するよう依頼した。
工事は1984年春に始まり、1986年に完成した。

1992年、バルハラは1996年の「全米プロ」の開催地として発表され、1993年には全米プロゴルフ協会がクラブの株を購入。
バルハラは2000年「全米プロ」、2008年の「ライダーカップ」の開催地として発表された。
それからまもなく、バルハラの知名度は高まり、ケンタッキー州でNo.1の評価を得るほどに。
アメリカのゴルフコースランキングのトップ100に常に選ばれている。

1996年の「全米プロ」では、マーク・ブルックスが地元の人気選手、ケニー・ペリーに対し、プレーオフで勝利。
2000年の「全米プロ」では、タイガー・ウッズが終盤の17番、18番で連続バーディを奪い、ボブ・メイとのプレーオフに突入。
タイガーはプレーオフの1ホール目で即座にバーディを奪い、さらなる素晴らしい勝利への道を進んだ。

2008年、ポール・エイジンガー率いる「ライダーカップ」米国チームが、ニック・ファルド率いる精彩を欠いた欧州チームに対して見事な勝利を収め、2014年には再び「全米プロ」がバルハラに戻り、ローリー・マキロイが現時点で自身最後のメジャー優勝を遂げた。
彼は見事なフィニッシュでフィル・ミケルソンを押しのけ、雨に濡れそぼったコースで、暗闇の中、優勝した。
そして「全米プロ」が今年5月に再びバルハラで開催され、ザンダー・シャウフェレの勝利に終わった。

メジャーの歴史と、南部のおもてなしを味わえる世界クラスの名門コース

13thPar4/355yards

355ヤード・パー4の13番ホール。バルハラで最も短いパー4ホールで、アイランドグリーンになっている。大きな石灰岩が積まれた上に約6メートルの高さでグリーンが建設されている。©David Cannon (Getty Images)
2024年「全米プロ」チャンピオンのザンダー・シャウフェレが、最後のパットを決めた瞬間。ギャラリーが総立ちで彼の優勝を祝福した。©David Cannon (Getty Images)
クラブハウスの壁には、全米プロゴルフ協会のロゴと、「全米プロシニア」、「全米プロ」「ライダーカップ」のトロフィーが飾られている。©David Cannon (Getty Images)

Inspired by Vikings
バイキングからインスピレーションを受けたコース

600ヤード・パー5の7番ホール。フェアウェイが2つに分かれており、左ルートは右ルートに比べて50ヤード以上、距離が短いが、ランディングエリアの幅はわずか26ヤードで、ウォーターハザードに囲まれている。右ルートは長いが、安全だ。©David Cannon (Getty Images)

18番ホールはニクラスの傑作の1つ

1番ホールは、比較的緩やかな打ち下ろしのパー4で、このエリアの代名詞である、ケンタッキーのホースフェンス(馬の柵)で囲まれている。
1番グリーンからは、数ホールにわたって蛇行する「フロイドフォーク」と呼ばれる水路の上にかかる狭い木製のポントゥーン橋を渡るのだ。
6番ホール・パー4(495ヤード)、別名「ロングショット」は、「フロイドフォーク」がホールの3分の2の地点でフェアウェイを横切る難しいホールだが、フロント9で最も魅力的なホールの1つだ。
次は「本物のリスク」という名にふさわしい、600ヤードのモンスターホール(7番)に向かう。
フェアウェイは左右に分かれ、一方のルートでは2オンのチャンスがあるが、もう一方のルートでは3打でグリーンに乗せる戦術を考えなければならない。
プロがプレーするたびに翻弄される、素晴らしいデザインとなっている。

おそらくコース全体で最も印象に残るホールは、短くて危険なパー4の13番ホール「ライムストーンホール」だろう。
わずか355ヤードしかないこのホールは、ゲームのあらゆる側面で最高のプレーヤーを試すホールとなっている。
正確なティーショットが重要だが、実際には355ヤードの打ち下ろしで、グリーンは巨大な岩の上にあり、周囲はウォーターハザードで囲まれている。
従ってティーショットで1オンを狙うのは、賢明ではない。

18番ホールは「フォトフィニッシュ」という名前がふさわしい最終ホール。
カメラマンにとって夢の撮影対象だ。
高台にあるバックティーからの距離は575ヤードで、ティーショットの狙いどころは狭く、小さな谷を横切るが、左に深いラフのマウンドと木々があり、右側にはウォーターハザードがフェアウェイ沿いにある。
グリーンに到達したい場合、できるだけウォーターハザードに近い右サイドにティーショットを置ければ、正面にある深いバンカーでガードされた「馬蹄形」のグリーンに向かって打ち上げの2打目を打つことになる。
グリーンには尾根があり、間違った方にアプローチショットをすれば、尾根を越えて非常に難しいパットが残る可能性がある。
素晴らしいテストを締めくくる、素晴らしいフィニッシングホールといえる。

Text & Photo/David Cannon

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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