Asia-Pacific Amateur Championship
2024年10月3日〜6日/太平洋クラブ 御殿場コース
中国の巨星、ディン・ウェンイーが「アジア太平洋アマ」優勝
松山英樹も2勝した世界に羽ばたくきっかけとなったアジア最大のアマチュア大会
中野麟太朗は3位で「マスターズ」出場ならず
優勝 ディン・ウェンイー
日本での開催は松山英樹が優勝した2010年以来、14年ぶりという「アジア太平洋アマチュア選手権」。
優勝すれば「マスターズ」と「全英オープン」に出場できる、アジア最大のアマチュア大会が、今年は太平洋クラブ御殿場コースで開催され、中国のディン・ウェンイーが優勝。
中野麟太朗は3位に終わった。
アマチュア最後の大会を優勝で締めくくる
2009年に第1回大会が開催された「アジア太平洋アマチュア」。
今年で15回目を迎え、松山英樹が優勝した2010年から14年ぶりに日本で開催された。
アジア・太平洋地区から120名の選手が出場する、アジア最大のアマチュア大会で、過去、松山英樹が2勝、中島啓太と金谷拓実が1勝ずつ挙げ、「マスターズ」「全英オープン」への出場権を獲得している。
今年は、世界ランク5位のディン・ウェンイー(中国)、日本のトップランカー、中野麟太朗らも出場。
特に中野は4月に同コースで開催されたDP ワールドツアー「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」にも出場しており、優勝が期待されていた。
初日を終え、2位タイと好発進を遂げた中野は、一時単独首位に立ったこともあったが、第3ラウンドは5バーディ、3ボギー、1ダブルボギーの70で3位タイに後退。
第4ラウンドはバック9で3連続バーディを奪取したものの、通算10アンダーで終了。
ディン・ウェンイーが通算12アンダーでホールアウトし、優勝した。
「優勝できて嬉しいです。昨年は(ジェスパー・スタッブスとの)プレーオフに敗れているので、今年の方がいいプレーができて、優勝トロフィーを手にすることができ、気分は最高です」
今大会が終わったら、ディンはプロ転向すると宣言していたが、アマチュアとしてのステータスを放棄すれば、優勝しても「マスターズ」と「全英オープン」の出場権は行使できない。
しかし優勝後、その魅力的な誘惑を掴んでも、ディンの決心が揺らぐことはなかった。
「まさか優勝できるとは思っていなかったんですが、今となっては問題ですね。でも、たぶん(それらの出場を諦めて)DPワールドツアーのシード権を取ると思います。たぶん来週にはプロ転向するでしょう。プロになっても将来、『マスターズ』と『全英オープン』でプレーできると思っています」
ゴルファーの夢の舞台でアマチュアとしてプレーするよりも、「グローバル・アマチュア・パスウェイ(注)」のポイントランキングで1位となり、欧州ツアーのシード権を手にし、プロとしての道を進む方がいいと判断したのだ。
(注:世界アマチュアゴルフランキング《以下WAGR》を基に、大学生以外のエリートアマチュアが欧州ツアーや世界中のツアーに参戦できる道を作るもの。グローバル・アマチュア・パスウェイランキング1位かつ、WAGR で20位以内に入った1名が、来季の欧州ツアーの出場権を獲得する)
日本期待の中野「マスターズ」挑戦はお預け
一方、今年の最大の目標は「アジアアマ」で優勝することだと宣言していた中野は、単独3位に終わり、次のように語った。
「まだまだだったんだな、と。悔しかったですが、足りないというのは薄々気づいていました。順位を気にしてばかりで、優勝しないとダメだと思ってプレーしていたら、どんどん縛られてしまって。ショットが良くなりつつあると思ってましたが、マスターズやアジアの一番がかかったこういう試合で、まだその精度はない。こういう場所に来ないとわからないことです」
来年、大学4年生になる中野は、次回ドバイで開催される「アジア太平洋アマ」については「ちょっと保留。考え直します」と笑った。
12月には「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」の出場も控えている。
課題がいろいろ見つかったと語ったが、技術面でもメンタル面でも足りない部分を洗い出し、補いながら、これからも成長を続け、世界の大舞台に挑む準備を続けていく。
今年で9回目の出場を果たした今大会最高齢のアキ・ラシッド(レバノン・66歳)と、今大会最年少のサレム・アラブダラト(ヨルダン・12歳)の歳の差はなんと54歳!
まるで祖父と孫のような年齢で話題になった2人だ。
レバノンはイスラエルと国境を接しており、現在、戦争状態にあるため、ラシッドさんは今大会出場のために、いったんヨルダンに移動し、ヨルダンからアラブダラトくんらと共に、空路日本に向かったのだという。
「今年、子供を4人戦争で亡くし、非常に悲しい思いをしています。日本は平和ですね。大会が終わったら、いったんヨルダンに戻りますが、レバノンに帰れる日がいつになるかはわかりません」
中東エリアもアジアの一部。
レバノン、ヨルダン、イラン、イラク、パキスタンなど、紛争地帯からも選手が出場していたが、いつかは「マスターズ」や「全英オープン」という最高の舞台で彼らが心穏やかにプレーする機会があればいいのに、と願った。
アジア太平洋アマ最終成績
優勝 | ディン・ウェンイー | −12 |
2位 | チョウ・ズチン | −11 |
3位 | 中野麟太朗 | −10 |
4位 | 丸尾怜央 | −9 |
5位 | 隅内雅人 アン・ソンヒョン | −7 |
7位 | 小林翔音 | −5 |
8位 | チョ・ソンヨプ 福住 修 クーパー・ムーア リスク・アダム・ロヒザム | −4 |
19位 | 本 大志 | +1 |
24位 | 松井琳空海 | +2 |
30位 | 古瀬幸一朗 | +4 |
43位 | 佐藤快斗 | +9 |
56位 | 豊島 豊 | +17 |
日本ならではのおもてなし
日本開催の「アジア太平洋アマチュア選手権」ならではの、選手や関係者へのおもてなしをご紹介!
Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Asia Pacific Amateur Championship