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【私の愛したゴルフコース】第30回ロイヤル・ポースコールゴルフクラブ(ウェールズ)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第30回はロイヤル・ポースコールゴルフクラブ(ウェールズ)を紹介する。

Royal Porthcawl Golf Club

©David Cannon (Getty Images)

ロイヤル・ポースコール・ゴルフクラブ
●設計:チャールズ・ギブソン
●コース:7152ヤード・パー72
●備考:ロンドン国際空港から、車で約3時間、電車で3時間10分。
メンバーコースだが、ビジターもプレー可能(火・木・日のみ)。練習場、ショートゲーム練習場、ゴルフアカデミー完備。過去、「ウォーカーカップ」「全英アマ」などアマチュアの大会や、「ダンロップマスターズ」などプロの試合も開催された。2025年「全英女子オープン」開催予定。

世界のトッププロが賛辞を贈るウェールズの宝石

「ゴルフコースに求めるもの全てがここにある。コースのレイアウトが好きだし、弱点のあるホールが一つもない。初めて見た瞬間に一目惚れしたよ。ゴルフにおいて素晴らしい挑戦であり、個人的には『全英オープン』の会場にしても申し分ないコースだと思う」トム・ワトソン

「このコースは、『全英オープン』にふさわしい。風が吹けば本当に壮観だし、海やビーチ、丘が見渡せる。ゴルフをするにはとても素晴らしい場所だ」ベルンハルト・ランガー

「私がこの国でプレーしたコースの中でもトップクラスに入る。4ラウンドをプレーするにはかなり腕の立つゴルファーでなければならない。真の試練であり、まさに壮観なコースだ」フレッド・カプルス

こうした名選手たちの証言が、この「ウェールズゴルフの至宝」と呼ばれるコースを訪れる人々の心をただちに惹きつける。
ウェールズの最大都市であるカーディフとスウォンジーのちょうど中間にあるロイヤル・ポースコールGCは、ウェールズ南部のブリストル海峡沿いに位置している。

1891年、ロックス・コモンに9ホールのコースを建設する許可が下り、1893年には、ロイヤル・ノースデボン・ゴルフクラブ(別名ウェストワード・ホー!)のクラブプロであるチャールズ・ギブソンが9ホールを設計するために招かれた。
現在のコースの場所に移されたのは、20世紀初頭のこと。
1909年には「ロイヤル」の称号が与えられ、ウェールズで2番目にこの栄誉を受けたコースとなった。
この偉大なリンクスコースのもともとの設計は、ロイヤル・セントジョージズを手掛けたラムゼイ・ハンターによるものだ。

1933年、J・シンプソンがコースの大幅な改修を監督するために招かれ、この改修により、現在目にするほとんどのホールが形成された。
しかし、第二次世界大戦はロイヤル・ポースコールに大きな打撃を与え、クラブが再建されたのは1950年になってからであった。

タイガー・ウッズが敗北した「ウォーカーカップ」

1951年、R&Aから依頼を受け、クラブは初めて「アマチュア選手権」を開催。
それ以降、7回の「アマチュア選手権」が行なわれている。
その中でも最も有名なのは、1965年の大会で、マイケル・ボナラックが36ホールの決勝戦で8ホール終了時点で7ダウンから逆転し、クライブ・クラークを2&1で破った試合だろう。

1960年代には、「カーティスカップ」や「アマチュア選手権」など、数々の名高い大会が開催されたが、おそらく最も有名なアマチュアの大会は、1995年に開催された「ウォーカーカップ」だろう。
この大会では、英国&アイルランド連合と米国が対戦し、米国チームには、17歳の若きスター、タイガー・ウッズが参加していた。
しかし、この大会は彼のゴルフ人生において最高の思い出とはならなかった。
土曜日の午後のシングルスマッチで、ギャリー・ウォルステンホルムに最終ホールで敗北を喫したのだ。
ウォルステンホルムは何度も100ヤード以上の飛距離差があるタイガーに対し、卓越したショートゲームで立ち向かい、18番ホールは両者イーブンの状態でティーに立った。
タイガーはティーショットで彼を大きくオーバードライブしていたが、左のラフに入れ、そこからショートアイアンでグリーンを狙う状況だった。
しかし、タイガーのセカンドショットは強い西風に煽られて左に大きく曲がり、クラブハウスを越え、OBに。
ウォルステンホルムが勝利し、彼はそれ以来、この勝利を誇らしげに語り続けている。

「全英シニアオープン」「全英アマ」などを開催
英国ゴルフのメジャーの舞台

2nd Par4/464yards

夕焼けが美しい、464ヤードの2番ホール。左側に海岸線を見ながらショットする。©David Cannon (Getty Images)
ロイヤル・ポースコールで開催された、1995年「ウォーカーカップ(欧米アマチュアのチーム対抗戦)」に出場したタイガー・ウッズ。©David Cannon (Getty Images)
海に面している18番ホールのグリーン。ショット、パットとも風の影響を受けやすい。©David Cannon (Getty Images)

Crown Jewel of Welsh golf
ウェールズゴルフの至宝

オーシャンフロントの18番ホールのグリーン周りに佇む、赤い屋根のクラブハウス。©David Cannon (Getty Images)

「全英女子オープン」を今年開催!

2025年、この名高いウェールズのリンクスで初めて「AIG全英女子オープン」を開催する。
この大会は、2010年の「ライダーカップ」(セルティック・マナーで開催)以来、ウェールズで開催される最大のゴルフトーナメントとなるだろう。
世界最高峰の女子ゴルファーたちは厳しくも公正な試練に直面することになる。

コースは、美しいパー4のホールから始まる。
1番ホールは海岸沿いのフェアウェイを進み、高台のグリーンへ向かうレイアウトとなっている。
スコアカード上では比較的穏やかなスタートだが、ティーショットで危険なバンカーを避けることが必須。
2番と3番も海岸沿いに位置するパー4で、風がない場合は、安定したスタートを切るチャンスとなる。
しかし、もし西風が吹けば、非常に厳しい挑戦となり、3つのパーでスタートを切ることができれば御の字だ。

ロイヤル・ポースコールの最大の特徴のひとつは、数々の見事なショートホールだ。
全てのパー3は、巧みに配置されたバンカーに囲まれており、ミドル~ロングアイアンでの非常に正確なショットが必要だ。

また、ロイヤル・ポースコールのもう一つの特徴は、パー5の3つが上りで、通常はフォローの風でプレーするという点だ。
狙うラインを決めたら、ショットに全力を注ぎ、運が良ければいいところに跳ねてバーディチャンスにつけられるだろう。

有名なフィニッシングホールである459ヤードのパー4の18番ホールは、「ウォーカーカップ」のように、「全英女子オープン」でもドラマチックなフィナーレを演出してくれるかもしれない。
フェアウェイを分断するラフの手前にティーショットを止めることが重要。
そこからは、バンカーに囲まれた美しいグリーン、左手にクラブハウス、そして背後に広がるブリストル海峡が見渡せる。
タイガー・ウッズが直面したような右からの強風が吹く日には、2打目に大きな挑戦が伴い、地面が硬いコンディションの日には、さらに解くべき課題が増えるだろう。
総じて、素晴らしく記憶に残るゴルフの試練を締めくくる、見事な上がりホールだ。

Text & Photo/David Cannon(Getty Images)

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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