金谷拓実

大西魁斗

星野陸也

久常涼

松山英樹

©Yoshitaka Watanabe
「日本人5人がメンバー」は、2003年以来過去最多タイ
今年のPGAツアーでは、本格参戦12年目を迎えている松山英樹、DPワールドツアーの「PGAツアー進出枠」10人に入り、昨年からPGAツアーにやってきた2年目の久常涼の他、3人のルーキーがそれぞれ異なるルートでメンバー入りを果たした。
彼らの今年の抱負や、現在の状況をお伝えする。
今年は世界最高峰のPGAツアーに、5人の日本人がメンバーとして本格参戦中だ。
その5人とは、ツアー参戦12年目のベテラン・松山英樹(33歳)の他、DPワールドツアーの「レース・トゥ・ドバイ」ランキングでトップ10入りした選手に与えられるPGAツアー出場資格(有資格者を除く)を2023年に獲得し、昨年からPGAツアーに本格参戦している久常涼(22歳)。
そして今年から三者三様のルートを辿ってやってきた3人のルーキー(28歳の星野陸也、26歳の大西魁斗と金谷拓実)だ。
過去5人の日本人がPGAツアーにメンバーとして出場していたのは2003年以来のこと。
当時は丸山茂樹、田中秀道、横尾要、久保谷健一、貞方章男が参戦していた。
この年優勝したのは、丸山ただ一人。
22年経った2025年シーズンでは松山の他に日本人優勝者が出てくるだろうか?
「自分の目標には達していない」
松山英樹

©Eiko Oizumi
2014年からPGAツアーに本格参戦し、今年で12年目を迎える松山英樹は、PGAツアーでアジア人最多の11勝を達成。
開幕戦「ザ・セントリー」ではPGAツアー史上最少スコアで優勝し、現在フェデックスポイントランキング3位、世界ランキング5位につけている。
2021年「マスターズ」ではアジア人初のチャンピオンに輝き、昨年は「パリ五輪」で銅メダルを獲得。
名実ともにアジア人最高のプロゴルファーであり、世界最高峰のPGAツアーでも実力者として、確固たる地位を築いている松山は、自身の目標を公言しないタイプだが、「自分の中でゴールはあるが、自分の目標には達していない」と語っている。
黒宮幹仁コーチと取り組んでいる、スイングやアラインメントの調整を行ないつつ、今季複数回優勝、そしてメジャー優勝を目指す。
「2年目の今年は、優勝したい」
久常 涼

©Yoshitaka Watanabe
ツアー2年目を迎える久常は、今年の抱負を次のように語っている。
「今シーズンは早く優勝したいですね。シード権をキープすることももちろんですが、より優勝争いに絡める回数を増やしていければ良いかな、と思います」
昨年、フェデックスカップ・フォールポイントランキングで93位だった久常は、シード権は確保できたものの、トップ50のみが出場できるシグネチャーイベントの出場権は獲得できていない。
DPワールドツアーからのPGAツアー進出組の中には、ルーキーシーズンで優勝したマチュー・パボン、ロバート・マッキンタイヤーらのような選手もいるだけに、「彼らに追いついていけるように頑張っていきたい」と語っている。
また、今年は「アメリカで地に足をつけてやっていきたい」という久常だが、フロリダ・オーランドに拠点を構え、「こっちでしっかり戦うためにも、帰れる場所を作りたいと思っていた。松山さんにもアドバイスを頂いた」という。
フロリダに拠点を構えたのは、バミューダ芝など、難しい芝があるため、良い練習にもなる、と考えての判断だ。
今年から日本人メンバーが5人に増えたことについて久常は、「みんな松山さんを追いかけてやっている。(松山の)11勝なんて、どうやって自分がそこを目指していけるのか、いつも考えていますが、自分も松山さんを追いかけて頑張りたいですね。4月までに優勝できれば『マスターズ』にも出られますし、30試合くらいは出る予定です。そして最終的にはトップ50入りして、シグネチャーイベントにも出たいし、違う景色を見てみたい」と語っている。
クラブを2セット用意して米ツアーに挑戦
星野陸也

©Yoshitaka Watanabe
昨年の4月、気胸を患って入院し、約2か月間、試合に出場できなかった星野陸也。
「全米オープン」で復帰したものの、筋力は落ち、飛距離も10ヤードほど落ちて、メジャーなどのトップレベルの大会で成績を残すのは困難な1年だった。
しかし、2月のDPワールドツアー「カタールマスターズ」でツアー初優勝を遂げていたため、同ツアーのレース・トゥ・ドバイランキングでは上位をキープ。
体調が万全ではない中、試合に無理やり出続けた結果、PGAツアーの出場権を獲得できるトップ10圏内を最終戦「DPワールドツアー選手権」までキープすることができ、見事9位で通過した。
そんな困難な1年をやり過ごしてきた星野にとって、今年から挑むPGAツアーは、「小学生時代からの夢の舞台」。
「ソニーオープン」から参戦しているが、「もう体の心配もないし、オフの間に毎日4時間、トレーニングを積んで、準備してきた。去年のスタート時点くらいには、筋力を取り戻した感じです。今年はトレーナーにも同行してもらっているので、すごく楽しみ」と語っている。
また、クラブに対する思い入れが人一倍強い星野は、キャディバッグ(クラブのセット)を2つ持って転戦しているのだという。
「新しいコースばかりなので、どんなクラブが必要になるかわからないし、ウェッジなども変えたりしたいので、2セット持ってきています。準備はしっかりやっていきたいですね」と米ツアー挑戦の武器にも準備を怠らない。
「DPワールドツアーでやってきた経験も活かしながら、しっかり上位にいけるようにしたいですね。そうすればいつかは優勝につながってくると思う。出場する試合でポイントを積み重ねていきたい」と抱負を語った。
「もうコーンフェリーには戻りたくない」
大西魁斗

©Yoshitaka Watanabe
昨年まで2年間、コーンフェリーツアー(PGAツアーの下部ツアー)を主戦場に戦ってきた大西魁斗。
昨年は「UNCヘルス選手権」で初優勝し、上位30人に与えられるPGAツアー出場権を獲得。
念願の一軍入りを果たし、今年からPGAツアーメンバーとして戦っている。
去年までメンバーだったコーンフェリーツアーでは、米国本土だけでなく、中南米で開催される試合もあるが、ホテルや食事の環境が過酷なこともあり、「アメリカ国内なら大丈夫なんですけど、南米ではめっちゃ苦労したんで、もう二度と戻りたくないですね。だから頑張らなきゃいけないんです(笑)」と大西。「PGAツアーでは大変な時期もあると思いますけど、諦めずにいきたい。コーンフェリーの時も、前週予選落ちしてるのに、次の週に優勝できたんで、自信を持ちました」と語る。
9歳で渡米し、13歳でIMGアカデミーに入学。南カリフォルニア大学時代は、オールアメリカンに選ばれるなど活躍していた彼には、大学時代の米国人の先輩や仲間もおり、ジャスティン・サーらいろいろと相談に乗ってくれる仲間がいるのだという。
今年は思うように試合に出られない時もあるが、「コーンフェリー1年目には、頑張るぞ!って意気込んだけどダメだったので、2年目はもう頑張りすぎないと決めたんです。そうしたらうまくいった。今年も自分には期待せず、頑張りすぎず淡々と。そしてなるべく楽しんで、体重も維持して、トレーニングもやって頑張ります」と決意を語った。
「新人王を目指して1試合1試合大事に頑張る」
金谷拓実

©Yoshitaka Watanabe
昨年のJGTO(国内男子ツアー)で賞金王に輝いた金谷拓実は、最終戦「日本シリーズJTカップ」直後にPGAツアー最終予選会受験のため、フロリダに飛んだ。
そしてそこでたった5人しか付与されないPGAツアー出場権を3位に入って獲得。
尊敬する先輩、松山英樹が長年戦っている念願のPGAツアーに到達することができたのだった。
「アマチュア時代、上手だったんで(笑)、PGAツアーやメジャーにたくさんチャンスをもらって出場した時もあったが、出るたびにすごくレベルが高いことに気づき、なかなか思うような成績が残せなかった。でも12月(予選会)は諦めずに頑張って、本当によかった。今年が1年目のシーズンだけど、毎日勉強だと思うので、必死に頑張ります。そして、1試合1試合大事に頑張って、新人王を目指したい」と抱負を語っている。
Text/Eiko Oizumi