
体の痛みとうまく付き合いながら⻑くゴルフを楽しもう!

森本貴義
Takayoshi Morimoto
1973年生まれ。スカイフェニックスジャパン代表。関西医療大学・客員教授、PHPビジネスコーチ上級、元シアトルマリナーズ&アスレティックトレーナー(2004年~2012年)などを経て、2013年より宮里優作など男女プロゴルファーのトレーナーとして活動。著書は、共著も合わせると13冊。
年齢を重ねると、あちこちに痛みが生じスポーツや日常生活でも、思い通りに体が動かないこともあるだろう。
そんな方に、ゴルフをあきらめないためのストレッチ法を宮里優作の専属トレーナーが伝授する。
ストレッチの注意点
1) 痛みが出たらやめる。
2)深呼吸し、ゆっくりと動かす。
3) 1Aから始め、問題なければ1B、違和感などがなければ2A、2Bと進める。
1 大臀部ストレッチ

床上で、前足はなるべく足関節、膝関節、股関節が90度になるよう心がけ、後ろ足は大腿部全面を床上につける姿勢を取る。
両手は床につけ、余裕があれば、両ヒジをつけること。
体の柔軟性を加味しながら、痛みが出ない程度にトライしよう。
左右20秒×3セット
2 卍姿勢回旋呼吸ストレッチ

頭上から見たときに、左右の足が床上に卍の形に見えるように座る。
その状態から、体をヒネり、両手で床を押して体を支えながら、ゆっくりと呼吸すること。
力んでいたり、股関節が硬い人は、臀部が引きつることもあるので要注意。
左右20秒×3セット
3 卍姿勢外旋臀部エクササイズ

頭上から見ると、左右の足が卍の形に見えるように座る。
両手で足首とヒザを持ち、後ろ足のヒザを床から離し、また床上に戻す。
上半身がブレないように、股関節だけでヒザが床から離れることをイメージしよう。
左右10回×3セット
4 四つん這い胸郭回旋エクササイズ
床上で四つん這いの姿勢になり、片手を床から離して、手を頭の後ろに添える。
その手のある方のヒジを2枚目の写真のように床に近づけたら、今度は反対側を向き、胸郭を開くようにして、ヒジ先が天井を向くように動かそう。
ヒジ先が床に近づくときは息を吐き、天井に上げるときは吸うようにすること。
左右10回×3セット
ゴルファーの中には、腰痛に悩んでいる方が多いようですね。
本来、健康や生活の質の向上のためにゴルフは行なわれるべきなのに、ノンゴルファーの方に比べて腰痛に悩まされているゴルファーが少なくないようです。
スイングコーチにゴルフのスイング指導を受けたとき、「腰を回しなさい」と言われたことはないでしょうか?
実は私もゴルフを始めた23歳のとき、コーチに指導を受けた際、そのように言われたことを思い出します。
しかし、この「腰を回す」は、スイング中には起こりません。
実は、腰は回らないのです。
腰(腰椎)は5個ありますが、その可動域は5度程度ですので、実際にはゴルフのスイングの回旋運動に腰部は関与していません。
その回るはずもない腰部を回しなさい、とコーチに指導を受けているのですから、その動きは間違っていますし、自分の体を動かす際、ケガの元となります。
もちろん、プロゴルファーのように毎日500球~1000球を打ち続けていれば、正しい動きをしていても腰痛を発症することもあるでしょう。
しかしアマチュアゴルファーの運動量と練習量では、正しい動きをしていれば、腰痛を発症する割合は低いのです。
それでは、スイングの回旋運動は、どの部分で行なっているのか?
それは、「胸郭」と「股関節」です。つまり腰部の上の部分と下の部分(股関節)が体の回旋運動を作っているのです。
プロの胸郭(胸椎)の回旋可動域は、35度近くありますが、アベレージゴルファーは30度未満が多く、プロのような力強いスイングを目指す方は、この胸椎の関節可動域を広げて、コントロールすることが重要です。
小柄でも飛距離が出る選手は、胸椎(胸郭)の柔軟性が高いのです。
その胸郭(胸椎)と股関節でスイングの回旋運動を行なう意識を持ち、トレーニング、ストレッチを行ないましょう。
この胸郭と股関節の運動をすることで、腰部のストレスを軽減し、腰痛を感じることなくゴルフを楽しめるようになるでしょう。